
愛犬の耳掃除は「どれくらいの頻度で、どうやってやればいいのか」「やりすぎや自己流で病気にしてしまわないか」と不安に感じる飼い主さんは少なくありません。本記事では、犬の耳のしくみから、適切なチェック頻度と自宅でできる安全な耳掃除の手順、やってはいけないNG行為、病気のサインと受診の目安までを整理して解説します。耳掃除がストレスにならないコツや、サロン・動物病院との上手な使い分けも紹介し、愛犬の耳を病気から守るための実践的なポイントをお伝えします。
犬の耳のしくみと汚れがたまりやすい理由

犬の耳はL字型に曲がった長い耳道をしており、入り口から鼓膜までの道が細くて湿りやすい構造です。さらに耳道の皮膚には皮脂や耳垢を作る腺が多く、毛が生えている犬種も多いため、空気がこもりやすく、汚れと湿気がたまりやすい環境になりがちです。
耳垢は皮脂や古い皮膚、ほこりが混ざった分泌物で、少量であれば自然に出口側へ押し出されていきます。しかし、通気性が悪かったり、アレルギー体質や皮膚が弱い犬では分泌量が増え、耳の中が常に湿った状態になりやすくなります。すると細菌やマラセチア(カビの一種)が増えやすくなり、外耳炎などの耳の病気につながります。
犬の耳掃除では、まずこのような構造上「汚れがたまりやすい臓器」であることを理解し、汚れを取り除くだけでなく、湿気をためない・炎症を悪化させないケアを心がけることが大切です。
立ち耳と垂れ耳で違う通気性とリスク
立っている耳(立ち耳)と垂れている耳(垂れ耳)では、耳の中の空気の流れが大きく異なります。立ち耳は耳の穴が外側に開いているため通気性が良く、熱や湿気がこもりにくい一方、垂れ耳は耳介が耳の穴をふさぐ形になり、蒸れやすく細菌やカビが増えやすい環境になりやすいことが特徴です。
垂れ耳の犬種(トイプードル、ダックスフンド、コッカースパニエルなど)は、外耳炎やマラセチア性皮膚炎などの耳の病気のリスクが高くなります。水遊びやシャンプー後に耳の中が乾きにくい点も注意が必要です。一方で、立ち耳の犬種(柴犬、ジャーマンシェパードなど)は通気性が良くトラブルは比較的少ないものの、砂ぼこりが入りやすいなど別のリスクがあります。
そのため、垂れ耳はこまめな耳の観察と適度な耳掃除、立ち耳は汚れや異物の有無を重点的に確認するなど、耳の形に合わせたケアを意識することが大切です。
耳垢の役割と自浄作用について知っておく
耳垢(みみあか)は、耳の中を守るために分泌される油分や古い細胞などが混ざった分泌物です。耳垢には、汚れやほこり、細菌・カビなどが奥に入り込むのを防ぐ“バリア”の役割があります。 そのため、耳垢を完全にゼロにする必要はなく、少量ならむしろ正常な状態といえます。
犬の耳の中では、鼓膜の近くで作られた耳垢が、あごの動きや頭を振る動きによって少しずつ外側へと押し出されます。これを「自浄作用」と呼びます。健康な耳では、この自浄作用のおかげで、特別なケアをしなくてもある程度の清潔さが保たれます。
一方で、湿気がこもりやすい耳の形や、アレルギー体質などがあると、自浄作用がうまく働かず耳垢がたまりやすくなります。その状態で無理に頻繁な耳掃除を行うと、逆に炎症を起こすこともあります。耳垢は「取りすぎない」「たまりすぎない」バランスが大切で、見た目やにおいの変化を観察しながらケアの頻度を決めることが重要です。
耳掃除が必要な犬とあまり要らない犬の違い

犬によって耳掃除の必要性は大きく異なります。 重要なのは「一律に耳掃除をする」のではなく、耳の状態と体質を見て判断することです。
耳掃除が必要になりやすい犬は、垂れ耳や耳道が狭い犬、アレルギー体質や皮膚が弱い犬、耳垢が湿ったタイプの犬、プールやシャンプーの機会が多い犬などです。耳の中が蒸れやすく、耳垢もたまりやすいため、こまめな観察とケアが欠かせません。
一方で、立ち耳で耳の通気が良く、耳垢が少なく乾いたタイプの犬は、自浄作用が働きやすく、家庭での耳掃除はほとんど不要な場合もあります。このような犬は、「定期的な耳掃除」よりも「汚れや異常がないかのチェック」だけで十分なことが多いです。
どちらのタイプの犬であっても、共通して大切なのは、耳をのぞいたときの色・におい・耳垢の量の変化に早く気づくことです。普段から耳の状態を把握しておくと、耳掃除が必要なタイミングや病院へ行くべきサインも分かりやすくなります。
耳の形や体質で汚れやすい犬種の特徴
耳の汚れやすさには、耳の形(立ち耳か垂れ耳か)と耳道の構造、体質が大きく関わります。代表的な特徴をまとめます。
| 汚れやすい主なタイプ | 主な犬種例 | 汚れやすい理由 |
|---|---|---|
| 垂れ耳タイプ | ダックスフンド、コッカースパニエル、ビーグル、バセットハウンドなど | 耳の入口がふさがれ、湿気と熱がこもりやすく、細菌やカビが増えやすい |
| 耳道が狭くて深いタイプ | トイ・プードル、マルチーズ、シーズー、ヨークシャー・テリアなど | 耳の中が見えにくく、通気性も悪いため、少しの汚れでもたまりやすい |
| 耳毛が多いタイプ | プードル系全般、シュナウザーなど | 耳の中の毛が換気を妨げ、耳垢や湿気が残りやすい |
| アレルギー・皮膚が弱いタイプ | フレンチブルドッグ、柴犬、シーズーなど | 体質的に炎症が起きやすく、耳も赤くなりやすい |
垂れ耳や耳毛が多い犬種、アレルギー体質の犬は、耳掃除の頻度よりもこまめな観察が重要です。犬種にかかわらず、においや赤み、かゆがる様子が出たときは早めに動物病院で相談しましょう。
子犬やシニア犬で注意したい耳トラブル
子犬とシニア犬は耳のトラブルを起こしやすく、特に注意が必要です。成犬よりもこまめなチェックと、自己判断で耳掃除をしすぎないことが重要です。
子犬は免疫力が未発達なため、外耳炎などの炎症が起こりやすく、体質としてアレルギーが隠れている場合もあります。初めてシャンプーやトリミングを経験する時期でもあり、水が耳に入りやすいこともリスクになります。生後数か月のうちは、耳の中を週1回程度覗き、赤み・におい・汚れの変化を確認しましょう。
シニア犬は免疫力低下に加えて、ホルモンバランスの乱れや慢性疾患により、耳の自浄作用が弱くなります。その結果、耳垢がたまりやすく、慢性的な外耳炎やポリープ、腫瘍が見つかることもあります。頭を振る、耳をかく、ふらつきが出る、といった変化は加齢のせいと決めつけず、早めの受診が望まれます。
自宅での耳チェック頻度と観察ポイント

犬の耳は個体差が大きいため、「どの犬も○日に1回」と一律に耳掃除するより、こまめな観察で状態を見極めることが重要です。目安としては、週に1回程度、顔まわりをなでるタイミングやブラッシングのついでに耳の中を軽くのぞき、におい・汚れ・赤み・かゆがりの有無をチェックします。
観察するときは、明るい場所で耳をめくり、耳の入り口付近だけを確認します。異常がない耳は、うっすら耳垢がある程度で、強いにおいやベタつきはありません。反対に、耳を頻繁に掻く・頭を振る・こすりつける様子が目立つときは、たとえ汚れが少なく見えても、外耳炎の初期などトラブルのサインの可能性があります。
自宅での耳ケアは「掃除の頻度」よりも「観察の頻度」を高くする意識を持つと、病気の早期発見につながります。週1回の定期チェックに加え、様子が気になる日はその都度、短時間で状態を確認しましょう。
週1回を目安に確認したいチェック項目
耳の状態は、週1回を目安に「チェックだけ」行うと、病気の早期発見につながります。以下のポイントを順番に確認しましょう。
| チェック項目 | 見る・触るポイント |
|---|---|
| 見た目 | 耳の内側の色(薄いピンクが目安)、赤み・腫れ・傷・カサブタがないか |
| 汚れ | 耳垢の量・色(少量で薄茶色程度が目安)、ベタつきや湿り気が強くないか |
| におい | 鼻を近づけてかいだとき、強いにおいや酸っぱい・腐ったようなにおいがしないか |
| さわった感じ | 耳たぶや付け根を軽く触れて、熱っぽさや痛がる様子がないか |
| 行動 | 頭をよく振る、耳をかく、床や家具に耳をこすりつけるなどの仕草がないか |
チェック中に黒い耳垢が多い・悪臭・強い赤みやかゆみのいずれかがあれば、耳掃除で対応しようとせず、動物病院への相談が安心です。
耳掃除そのものの適切な回数とタイミング
耳掃除の頻度は、耳の状態や犬種によって大きく変わります。一般的には「耳掃除=毎週」はやり過ぎで、健康な耳なら月1~2回程度が目安です。耳垢が少なくニオイもない犬では、1か月以上耳掃除をしなくても問題ない場合もあります。
一方で、垂れ耳やアレルギー体質などで耳が汚れやすい犬では、2週間に1回程度まで頻度を上げることがあります。ただし、頻度を決める前に必ず週1回の耳チェックを行い、「汚れ・ニオイ・赤み・かゆみ」があるかどうかで実際に耳掃除をするか判断することが重要です。
耳掃除をするタイミングは、散歩やシャンプーの後、プールや川遊びの後など、耳が湿りやすいイベントの直後がひとつの目安になります。特に水遊び後は水分が残りやすく外耳炎の原因になるため、早めに耳を乾かし、必要であればイヤークリーナーで軽くケアすると安心です。
自宅でできる犬の耳掃除の基本手順

自宅での耳掃除は、「耳の入り口だけを優しくきれいにする」ことが基本です。奥まで無理に触らないよう、流れをイメージしておきましょう。
-
環境を整える
静かな場所で、滑りにくいマットやタオルの上に犬を座らせます。体を優しく支え、落ち着かせてから始めます。 -
耳の中を観察する
耳をめくり、赤み・腫れ・強い臭い・ベタついた耳垢がないかを確認します。異常が強い場合は掃除は中止し、動物病院を受診します。 -
耳の入り口の汚れを拭き取る
イヤークリーナーを含ませたコットンやガーゼで、耳の「見える範囲」だけを優しく拭きます。シワの間や耳たぶの裏側も、こすらず押さえるようにして汚れを取ります。 -
必要に応じて洗浄液で洗う
獣医師や商品説明で勧められる方法に従い、耳の中に洗浄液を入れて、耳の付け根をやさしくマッサージします。その後、犬に頭を振らせ、出てきた液と汚れをコットンで拭き取ります。 -
水分をしっかり拭いて終了
耳の中が過度に湿ったままにならないよう、入口付近の水分を丁寧に拭きます。終わったらたくさん褒め、おやつを与えて「耳掃除=うれしい時間」と印象づけると、今後も協力してもらいやすくなります。
用意する道具と安全なイヤークリーナー
犬の耳掃除では、使用する道具選びが安全性を大きく左右します。基本的に用意したいのは、犬用のイヤークリーナー、コットン(コットンパフやガーゼ)、タオル、必要に応じておやつです。イヤークリーナーは必ず「犬用」「ペット用」と明記されたものを選び、アルコールや強い香料が入った製品は避けます。
安全なイヤークリーナーの目安は、動物病院で勧められている製品や、外耳炎治療中であれば獣医師から指定されたものです。目的も「日常の汚れ落とし用」「外耳炎ケア用」などで異なるため、自己判断で市販薬を選ばず、愛犬の耳の状態に合ったタイプを使うことが重要です。綿棒や人間用の耳掃除グッズは、耳道を傷つけるおそれがあるため準備しないようにします。
コットンで外側から優しく拭き取る方法
コットンを使った耳掃除は、「見える範囲だけをやさしく拭く」ことが基本です。奥まで入れようとせず、耳の入口から外側のケアにとどめます。
- 犬を落ち着かせ、横か飼い主の膝の上に座らせる
- 片手で耳介(耳たぶ)をめくり、内側が見えるようにする
- コットンにイヤークリーナーを少量含ませ、軽くしぼって湿らせる
- 耳の入口まわり・耳介の内側を、円を描くようにやさしく拭く
- しわや溝にたまった汚れも、コットンの角を使って軽く拭き取る
- 仕上げに、乾いたコットンで軽く水分を押さえる
このとき、指先が入る深さより奥には絶対に入れないことが重要です。汚れがこびりついて強くこすりたくなっても、皮膚を傷つける原因になるため無理にこすらず、汚れが多いときやベタつきが強いときは、後述の洗浄液を使った方法か動物病院でのケアを検討しましょう。
洗浄液を使った耳の洗い方と注意点
犬用のイヤークリーナーを使う場合も、ゴシゴシこすらず「入れて・なじませて・犬に振ってもらう」ことが基本です。
洗浄液を使った耳の洗い方
- イヤークリーナーを少し温める
冷たいとびっくりしやすいため、容器を手で包んで人肌程度にします。 - 耳をめくり、ボトルの先を浅く当てる
耳の穴の入り口に軽く当て、直接奥に差し込まないようにします。 - 適量を耳の中に入れる
イヤークリーナーの説明書どおりの量を入れます。入れすぎはNGです。 - 耳の付け根をやさしくマッサージ
耳の付け根を30秒ほどモミモミして、汚れと洗浄液をなじませます。 - 犬に頭を振らせる
自然に頭をブルブルさせることで、汚れが手前に飛び出してきます。 - 飛び出した汚れをコットンで拭く
見える範囲だけをコットンでやさしく拭き取ります。
洗浄液使用時の注意点
- 必ず「犬用イヤークリーナー」を使うこと(人用やアルコール入りは使わない)
- イヤークリーナーは毎回同じ綿棒やスポイトに移し替えない(雑菌が増えやすいため)
- 痛がる、強く嫌がる、すでに赤く腫れている耳には自己判断で洗浄液を入れない
- 垂れ耳・外耳炎を繰り返している犬は、獣医師に「洗浄液の種類と頻度」を確認してから行う
洗浄液は便利ですが、健康な耳に頻繁に使いすぎると、かえってトラブルを招くことがあります。基本は「見える範囲の汚れはコットンで、必要なときだけ洗浄液」と考えると安心です。
終わった後の乾かし方とごほうびの与え方
耳掃除が終わったら、まず耳の中に残った洗浄液と水分をしっかり抜くことが大切です。耳の付け根を軽く揉んだあと、犬が頭をブルブル振るので、そのまま振らせて余分な液を飛ばします。その後、柔らかいコットンやガーゼで、耳の入口から見える範囲だけをそっと押さえるようにして水分を拭き取ります。強くこすったり、奥まで入れたりする行為は耳の中を傷つける原因になるため避けましょう。
乾燥が心配な場合でも、ドライヤーの温風を直接耳に当てるのは危険です。使う場合は、弱風・低温に設定し、耳から十分離した位置で短時間だけ、周囲の毛を乾かす程度にとどめます。
耳掃除のあとには、必ず褒め言葉とごほうびをセットにします。好物のおやつを少量あげたり、遊びや散歩の時間に直結させたりすると、「耳掃除=うれしいこと」と結びつきやすくなります。毎回同じ流れで、短時間で終わらせ、たっぷり褒めることが、耳掃除を嫌いにさせないコツです。
犬の耳掃除でやってはいけないNG行為

犬の耳掃除では、「きれいにしよう」と頑張りすぎることで、かえって耳を傷つけて病気のきっかけを作ってしまう場合があります。耳の奥をいじる、強い薬品を使う、頻繁に掃除しすぎる行為はNGです。
具体的には、以下のような行為は避けましょう。
- 綿棒や耳かきなど硬いもので耳の奥まで触る
- 消毒用アルコールや人間用のウェットティッシュで拭く
- 動物病院で処方されていない洗浄液を独自判断で頻繁に使う
- 毎日のように耳掃除をして耳垢を完全になくそうとする
- 犬が強く嫌がっているのに無理に押さえつけて続ける
どれも一見「念入りなケア」に見えますが、鼓膜や皮膚を傷つけたり、耳の自浄作用を壊したりして外耳炎などのトラブルを招きます。耳掃除は「最低限・やさしく」が基本です。次の見出しから、代表的なNG行為の理由を詳しく解説します。
綿棒や耳かきで奥まで触る危険性
犬の耳の奥はとてもデリケートで、鼓膜までの距離も人より短いため、綿棒や耳かきを耳の中に入れる行為は基本的にNGです。
綿棒で耳垢を押し込んでしまうと、汚れが奥にたまり外耳炎や中耳炎の原因になります。また、少し力が入っただけでも耳の皮膚を傷つけたり、動いた拍子に鼓膜を傷つける危険があります。特に、痒がって頭を振る犬や、じっとしていられない子犬ではリスクが高くなります。
自宅ケアでは、綿棒や耳かきを耳の穴の中には入れず、見える範囲の入り口部分だけをコットンやガーゼでやさしく拭く方法が安全です。 耳の奥の汚れが気になる場合や、耳垢が多いと感じる場合は、動物病院で獣医師に内部の洗浄を任せるようにしましょう。
消毒液や人間用ウェットティッシュの問題
市販の消毒液(オキシドールやアルコールなど)や人間用ウェットティッシュは、犬の耳掃除には使用しないことが大切です。
消毒液は刺激が非常に強く、耳の皮膚や鼓膜を傷めたり、乾燥させてかゆみや炎症を悪化させる原因になります。アルコール成分はしみるため、耳掃除自体を強く嫌がるようになることも少なくありません。
人間用ウェットティッシュも、香料・アルコール・防腐剤などが含まれることが多く、デリケートな耳の中に使うと赤みやかぶれを起こしやすくなります。また、繊維が残って耳の奥に入り込む危険もあります。
耳の中を拭く場合は、必ず犬用のイヤークリーナーとコットンやガーゼを使用することが安全です。成分表示に「耳用」「ペット用」と明記されたものを選び、迷う場合は動物病院でおすすめの製品を確認すると安心です。
頻繁な耳掃除がかえって病気を招く理由
犬の耳はもともと自浄作用があり、耳垢は汚れを包み込んで外へ運ぶ働きをしています。必要以上に耳掃除を繰り返すと、この耳垢を取りすぎてバリア機能が弱まり、外からの細菌やカビが増えやすくなります。
また、こまめに器具を入れてこすることで、耳の皮膚に目に見えない細かな傷がつき、炎症やかゆみの原因になります。かゆみが出ると犬が後ろ足で掻いたり、床に頭をこすりつけたりして、さらに耳を傷つけてしまい、外耳炎が慢性化しやすくなります。
頻繁な耳掃除は、耳の中を常に湿らせてしまう点も問題です。湿った環境はマラセチアなどの酵母菌が増えやすく、悪臭やベタベタした耳垢の原因になります。基本的には「毎回きれいにしよう」と考え過ぎず、汚れやにおい、かゆみなどの異変があるときに必要な範囲だけケアすることが、病気予防につながります。
耳掃除を嫌がる犬への慣らし方とコツ

耳掃除を極端に嫌がる犬に無理をすると、耳への恐怖心が強くなり、日常的なケアがより困難になります。大切なのは「一気に完璧を目指さず、少しずつ慣らすこと」と「耳に触られる=良いことがある、と学習させること」です。
まず、いきなり掃除を始めず、普段のスキンシップの延長として耳の周りを軽くなでるところから始めます。少し触れられても落ち着いていられたら、すぐにおやつや言葉でほめて「耳タッチ=ごほうび」をセットにします。
次の段階として、イヤークリーナーのボトルやコットンを見せるだけの練習を行い、見せたあとにおやつを与えます。実際の耳掃除は、機嫌がよく落ち着いているタイミングを選び、短時間で終えることがポイントです。嫌がり始めたら深追いせず中断し、「いつも嫌なことばかりされる」と感じさせないようにします。
触られるのが苦手な子への段階的トレーニング
耳に触られることが苦手な犬にいきなり耳掃除をすると、強い拒否反応や噛みつきにつながるおそれがあります。まずは「触られる=嫌なことではない」と学習させる段階的なトレーニングが重要です。
段階の一例は次の通りです。
- 頭や首まわりなど、触られても平気な部分をなでながら、おやつを与える。
- 耳の付け根付近を一瞬だけ触り、すぐに手を離しておやつを与える。
- 慣れてきたら、耳を軽くめくる、数秒さわる、耳の周りをマッサージする、など少しずつ時間と範囲を広げる。
- 触るたびに明るい声かけとおやつやほめ言葉をセットにして、「耳に触られると良いことが起きる」と関連づける。
どの段階でも、犬が身をすくめる、逃げようとする、唸るなど嫌がるサインが出たら、一歩前のレベルまで戻すことがポイントです。1日に数分を目安に、短時間で終えて成功体験を積み重ねると、耳掃除への苦手意識が和らぎやすくなります。
抱え方・保定のポイントとやめ時の判断
耳掃除のときは、犬ができるだけ安心できる体勢と力加減を意識します。小型犬は膝の上に座らせ、胸とお尻側を軽く腕で支えます。中・大型犬は床に座らせ、犬の横か少し後ろに座り、首の付け根あたりに腕を回して体を自分の方へ引き寄せると安定します。どちらの場合も、首を強く押さえつけないことが大切です。
怖がって暴れる犬を無理に押さえ込むと、耳を傷つけたり、耳掃除そのものが苦手になります。「体が固くなる」「震えが強くなる」「唸る」などが見えた時点がいったんやめるサインです。片耳だけできたら十分、と考え、続きは翌日以降に分けて行っても問題ありません。短時間で終わらせ、「今日はここまで」と区切ることで、犬も飼い主も負担が少なくなります。
耳垢の色やにおいでわかる異常サイン

愛犬の耳の異常は、耳垢の色やにおいがわかりやすいサインになります。「色」「量」「におい」「ベタつき具合」の4点をセットで確認することが重要です。
代表的な異常サインの例をまとめます。
| 耳垢の状態 | におい | 考えられる異常の一例 |
|---|---|---|
| 黒〜こげ茶でベタベタ | 酸っぱい・強いにおい | 外耳炎、マラセチア感染など |
| 黄色〜黄褐色で湿っている | 生臭い・ツンとしたにおい | 細菌性外耳炎など |
| 赤黒く、耳の中や耳たぶにかさぶた | 血のにおい、強いにおい | 外傷、重度の炎症、耳ダニなど |
| 少量でも強い悪臭 | 強烈な悪臭 | 進行した外耳炎・中耳炎の可能性 |
耳をしきりに掻く・頭を振る・顔をこすりつける・触ると痛がる様子がある場合は、耳垢の量が少なくても動物病院の受診を急いでください。状態が軽いうちに治療を始めると、治りも早く再発予防もしやすくなります。
正常な耳と耳垢の色・量・においの目安
正常な耳かどうかを見分けるには、耳の「色・量・におい」の3点をセットで確認すると判断しやすくなります。目安を表にまとめると、次のようになります。
| チェック項目 | 正常な状態の目安 |
|---|---|
| 耳の中の色 | 薄いピンク色~肌色で、赤みや腫れがない |
| 耳垢の色 | 薄い茶色~淡い黄〜オレンジ色程度 |
| 耳垢の量 | 少量で、コットンで1~2回軽く拭き取れる程度 |
| 耳垢の状態 | べったりしすぎず、サラッとした油分~少ししっとり程度 |
| におい | ほとんど無臭~わずかに犬特有のにおいがする程度 |
正常な耳では、耳垢は「少しある」程度が理想で、強いニオイやベタつき・ベタベタした大量の汚れは異常のサインになりやすいです。 週に1回、光の当たる場所で耳をめくり、左右差がないかも合わせて確認すると変化に気付きやすくなります。
黒い耳垢や悪臭があるときに疑う病気
黒い耳垢や強い悪臭は、早めの受診が必要なサインである場合が多いです。代表的な病気と特徴をまとめます。
| 耳垢・においの特徴 | 疑われる病気 | 目立ちやすい症状の例 |
|---|---|---|
| タール状でベタベタ、黒〜こげ茶色、強い悪臭 | 外耳炎(細菌・マラセチア) | 耳をかく、頭を振る、耳が赤く熱い |
| コーヒーかすのような黒い耳垢、やや甘酸っぱいにおい | 耳ダニ(ミミヒゼンダニ) | 激しいかゆみ、子犬・多頭飼いでうつりやすい |
黒っぽい耳垢が増え、においも強く、耳をしきりに気にする場合は、自宅で掃除を続けるよりも動物病院での検査と治療が優先です。綿棒で深くまで触ると、かえって炎症を悪化させる危険があるため避けましょう。
赤みやかゆみが強いときに考えられる原因
耳の赤みや強いかゆみは、多くの場合炎症やアレルギーが関わるサインです。代表的な原因を知っておくと、受診の目安になります。
| 主な原因 | 特徴的な症状・状況 |
|---|---|
| 細菌性外耳炎 | 耳が赤く腫れる、熱っぽい、触ると嫌がる、黄色〜茶色のベタっとした耳垢 |
| マラセチア性外耳炎(カビ) | 強いかゆみ、赤み、ベタベタした耳垢と酸っぱいような臭い、垂れ耳や脂っぽい皮膚の犬に多い |
| アレルギー(食物・アトピーなど) | 季節によって悪化したり良くなったりする、耳以外の皮膚もかゆい、左右両方の耳に出ることが多い |
| 外耳道の傷・異物 | 片方だけ急にかゆがる、散歩後などに悪化、触ると急に嫌がる |
赤みとかゆみが数日以上続く、何度も頭を振る、夜も落ち着かないほど掻く場合は、家庭での耳掃除では改善しません。早めに動物病院で原因検査と治療を受けることが重要です。
動物病院を受診すべき症状とタイミング

耳のトラブルは、飼い主が判断しきれない場合も多いため、「迷ったら早めに受診」が基本です。特に次のような様子が見られた場合は、動物病院での診察を検討しましょう。
| 受診を考えたいサイン | 目安となるタイミング |
|---|---|
| 耳をかゆがる・頭を振る・耳を床や壁にこする | 数日続く、または回数が増えてきたとき |
| 耳が赤い・熱っぽい・触ると嫌がる | 1~2日でおさまらないとき |
| 耳垢が急に増えた、色が変わった、においがきつい | 変化に気づいた段階で早めに相談 |
| 耳から液体や膿のような分泌物が出る | その日のうちに受診が望ましい |
耳の状態は悪化すると外耳炎だけでなく中耳炎、内耳炎に進行し、痛みやめまい、平衡感覚の異常を起こす場合があります。家庭での耳掃除で改善しない、もしくは悪化するように感じたときは、自宅ケアを中止し、動物病院で原因を確認することが大切です。
すぐ受診したい危険なサインと緊急度
耳の状態によっては、自宅ケアを中止してすぐに動物病院を受診する必要があります。強い痛みや神経症状を伴う場合は、時間帯に関わらず早めの受診が重要です。
| 症状の例 | 緊急度の目安 | 行動の目安 |
|---|---|---|
| 頭を激しく振る・首を傾けて歩く | 高 | 当日中に受診。夜間なら救急も検討 |
| 耳を少し触るだけで大きく鳴く・噛みつく | 高 | 当日中に受診 |
| 耳介がパンパンに腫れている(耳血腫の疑い) | 高 | 当日〜翌日までに受診 |
| 耳から出血、膿のような分泌物が大量に出ている | 高 | 当日中に受診 |
| ふらつき・まっすぐ歩けない・目が揺れる(眼振) | かなり高 | 直ちに病院や夜間救急へ相談 |
| 発熱・食欲不振と耳の異常が同時にみられる | 高 | 当日〜翌日までに受診 |
一方で、軽度の赤みや少量の耳垢、においの変化のみで、元気・食欲が普段通りの場合は、1〜2日以内の受診を目安にすると安心です。迷ったときは自己判断で耳掃除を続けず、動物病院に電話で症状を説明し、受診のタイミングを確認すると安全です。
外耳炎など慢性トラブルの予防と治療の流れ
外耳炎などの慢性トラブルは、「治療」だけでなく「再発を防ぐ生活管理」が重要です。まずは動物病院で耳垢の検査(顕微鏡検査)や必要に応じて培養検査を行い、原因となる細菌・カビ・耳ダニなどを特定します。その結果に合わせて、点耳薬や内服薬、耳洗浄液を使った治療を数週間~数か月続けます。
治療の基本的な流れは次の通りです。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 診断 | 問診・耳鏡検査・耳垢の顕微鏡検査などで原因を確認 |
| 2. 初期治療 | 痛みやかゆみを抑えつつ、原因菌・カビを薬で減らす |
| 3. 再診 | 数日~1、2週間おきに耳の状態をチェックし、薬を調整 |
| 4. 維持・予防 | 良くなってからも、獣医師の指示に従い耳掃除の頻度やケアを管理 |
予防のためには、自己判断で薬を中断しないこと、症状が落ち着いても定期的に耳を観察することが大切です。アレルギー体質や垂れ耳の犬では、季節ごとの通院チェックや、獣医師が指示した頻度での耳洗浄を続けることで慢性化を防ぎやすくなります。
トリミングサロンと病院の耳掃除の違い

トリミングサロンと動物病院では、耳掃除の目的とできる処置の範囲が大きく異なります。サロンの耳掃除は「お手入れ・見た目のケア」、病院の耳掃除は「診断と治療を目的とした医療行為」と考えると分かりやすくなります。
| 項目 | トリミングサロン | 動物病院 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 日常ケア・臭い対策・見た目を整える | 病気の診断・治療・再発予防 |
| 耳掃除の範囲 | 耳の入り口〜見える範囲の汚れ取り | 耳の奥までの診察・専用器具による洗浄 |
| 使用できるもの | 市販のイヤークリーナー、コットンなど | 獣医師が選ぶ薬用洗浄液、点耳薬、内服薬など |
| 行えること | 軽い汚れの拭き取り、耳毛カット・一部抜き | 外耳炎や耳ダニなどの検査・治療、鼓膜の確認 |
耳の状態が健康で、軽い汚れやにおいが気になる程度であればサロンのケアで十分な場合があります。一方で、赤み・強いかゆみ・悪臭・黒い耳垢などがある場合は、サロンではなく必ず動物病院での耳掃除と診察が必要です。サロンの予約時に気になる症状がある場合は、その旨を伝え、無理に耳掃除をしないよう相談することも大切です。
プロに任せたほうが安心なケース
プロに任せたほうが安心なケースは、次のような場合です。少しでも不安がある場合は、無理をせずトリミングサロンや動物病院に相談することが病気予防につながります。
| 状況・タイプ | プロに任せたい理由 |
|---|---|
| 垂れ耳・耳道が狭い犬種(プードル、コッカーなど) | 汚れが見えにくく、奥にたまりやすいため、素人判断で奥まで掃除すると外耳炎を悪化させるおそれがあるため |
| すでに赤み・におい・黒い耳垢がある | 耳の病気の可能性が高く、家庭用ケアではなく、診察と治療(薬)が必要なことが多いため |
| 強く嫌がる・噛もうとする・暴れる犬 | 無理に押さえつけるとケガや「耳に触られること自体が嫌い」になるため、プロの保定と段階的トレーニングが望ましいため |
| 初めて耳掃除をする飼い主 | 一度プロのやり方・頻度・道具の選び方を見てから、自宅ケアの基準にすると安心なため |
| 耳毛が多い犬 | 耳毛を抜く・カットする必要性の判断や処置は、獣医師や経験豊富なトリマーに任せたほうが安全なため |
家庭では「日常の観察と軽い汚れの拭き取り」を中心に行い、耳の状態が気になるときや、やり方に自信がないときはプロに任せるという役割分担が理想的です。
耳毛抜きが必要な犬と不要な犬の見分け方
耳毛抜きが必要かどうかは、犬種だけでなく「耳の中の毛の量」と「通気性」で判断します。
| 耳毛抜きが【必要になりやすい】犬 | 耳毛抜きが【基本的に不要】な犬 |
|---|---|
| 耳の穴の内部まで毛が密集して生えている犬(トイ・プードル、ビション、シュナウザーなど) | 耳の穴の中はほとんど毛が生えておらず、皮膚がよく見える犬 |
| 耳の中が湿りやすく、耳垢がベタつきやすい犬 | 耳の中が乾いていて、耳垢も少なくサラサラな犬 |
| 外耳炎をくり返している犬 | 耳トラブルがほとんどない犬 |
耳の中を見て、穴が毛でふさがるほど生えていない限り、無理に耳毛を抜く必要はありません。耳毛抜きは痛みや炎症の原因にもなるため、耳のトラブルがなく、通気が確保されている場合は「抜かない」ほうが安全です。
耳毛が多い、耳垢がたまりやすい、外耳炎をくり返す場合は、トリミングサロンや動物病院で耳の状態を確認してもらい、抜く量や頻度を獣医師やトリマーに相談すると安心です。
病気予防のための耳ケア三つのポイント

病気予防の耳ケアで大切なのは、回数を増やしてひたすら掃除をすることではありません。「日ごろの観察」「犬に合った適切なケア」「早めの受診」の3つを意識することが、外耳炎などの病気予防につながります。 まず耳の見た目やにおい、かゆがり方の変化に気づけるように、定期的なチェックを習慣にします。
次に、耳の形や体質に合った道具・頻度でケアを行い、やりすぎて耳の自浄作用を壊さないように注意します。そして少しでも赤みや悪臭、耳垢の急な変化が見られたときは、自己判断でケアを続けるのではなく、早めに動物病院で相談することが重要です。3つのポイントを意識することで、無理なく安全に愛犬の耳を守ることができます。
ポイント1 耳掃除より「観察」を習慣にする
耳の病気を防ぐために最も大切なのは、こまめな耳掃除よりも「日常的な観察」です。汚れを取る行為より、「普段と違う変化に早く気づくこと」が病気予防の近道になります。
観察するときは、次のポイントを意識しましょう。
- 耳の見た目:赤み、腫れ、傷、湿った感じがないか
- 耳垢の状態:色(黄〜茶色が通常)、量、ベタつきやニオイの有無
- ニオイ:ツンとした悪臭や酸っぱいような臭いがないか
- 行動の変化:耳をかゆがってかく、頭を振る、こすりつけるしぐさが増えていないか
週1回程度の「耳チェックの習慣化」だけでも、多くのトラブルは早期に発見できます。異常がなければ、無理に耳掃除を増やす必要はありません。観察して少しでも「いつもと違う」と感じた場合は、自己判断で強く掃除をするよりも、早めに動物病院へ相談することが安全です。
ポイント2 犬に合う道具と頻度を守る
犬の耳掃除は、「どの道具を使うか」と「どれくらいの頻度で行うか」を愛犬に合わせて選ぶことが大切です。基本は、犬専用のイヤークリーナーとコットン(またはガーゼ)を使用し、綿棒や人間用の耳かきは使わないことが安全の目安になります。
代表的な組み合わせと頻度の目安をまとめると、次のようになります。
| 状態・タイプ | 道具の目安 | 耳掃除の頻度の目安 |
|---|---|---|
| 健康な立ち耳の成犬 | 犬用イヤークリーナー+コットン | 2〜4週間に1回程度 |
| 垂れ耳・耳垢がやや多い犬 | 同上(場合により病院推奨品) | 1〜2週間に1回程度 |
| 外耳炎治療中などトラブルあり | 必ず獣医師指定の薬・洗浄液 | 獣医師の指示どおり |
「汚れていないときは無理に掃除しない」「耳をかゆがる、赤い、におう場合は頻度を増やさず受診する」ことが、病気を防ぐための大事なポイントです。愛犬の耳の形や体質を踏まえて、かかりつけの動物病院にも適した道具と頻度を確認しておくと安心です。
ポイント3 少しでも変なら早めに病院へ相談
耳の状態に「少し違和感がある」と感じた段階で、早めに動物病院へ相談することが、耳の病気を重症化させない最大のポイントです。悪化してから治療を始めると、治りにくく通院や費用の負担も大きくなります。
受診を迷う目安としては、次のような変化が見られたときです。
- 耳をかく回数が増えた、頭を振るしぐさが増えた
- 耳が赤く見える、少し腫れているように感じる
- 耳垢の色がいつもより濃い、量が急に増えた
- かすかなニオイが出てきた、耳を近づけると湿った感じがある
これらは軽度の外耳炎の始まりであることが多く、早期であれば短期間の治療で良くなりやすくなります。「様子を見る」を繰り返すより、「少し気になる段階」で受診し、耳の中をきちんと診てもらう習慣をつけると安心です。
季節別に注意したい耳トラブルと対策

犬の耳トラブルは、一年を通して起こりますが、季節によって原因や注意点が少し変わります。季節ごとの特徴を知っておくと、適切なタイミングで耳をチェックしやすくなり、外耳炎などの病気予防につながります。
代表的な季節ごとのリスクは次のとおりです。
| 季節 | 主なリスク | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 春 | 花粉・黄砂によるアレルギー | 耳の赤み・かゆみ、体をかく様子の増加 |
| 梅雨〜夏 | 高温多湿による細菌・カビの増殖 | 耳の臭い、ベタついた耳垢、外耳炎の悪化 |
| 秋 | 夏のダメージの持ち越し | 慢性的な外耳炎の長期化 |
| 冬 | 乾燥・シャンプー後の濡れの放置 | 乾燥によるかゆみ、冷えによる免疫低下 |
季節が変わるタイミングで、耳の状態をいつもより念入りに観察し、気温や湿度に合わせて耳掃除の頻度やシャンプー後の乾かし方を調整することが大切です。
梅雨や夏に増える外耳炎への予防ケア
梅雨から夏にかけては湿度と気温が高くなり、犬の耳の中が蒸れやすくなります。とくに垂れ耳・耳周りに被毛が多い犬・元々外耳炎になりやすい犬は、梅雨〜夏は要注意シーズンです。
予防の基本は「乾かす・増やさない・早く気づく」の3つです。
| 予防のポイント | 具体的なケア |
|---|---|
| 耳を乾かす | 散歩後に耳をめくって風を通す、シャンプーや水遊び後は耳の入り口をコットンで軽く拭き、自然乾燥させる |
| 菌を増やさない | 汚れが多いときのみ、獣医師推奨のイヤークリーナーで週1回程度までの耳掃除にとどめる |
| 早く気づく | 週1回は耳のにおい・赤み・耳垢の色をチェックし、においが強くなった・黒っぽい耳垢が増えた・かゆがるなどがあれば早めに受診する |
プールや川遊びが多い季節は、遊んだ日の夜に必ず耳の中を軽く確認し、濡れていそうなら入り口だけ優しく拭き取ります。痒がりや首振りが数日続く場合は、自宅で洗浄を繰り返すより、早めに動物病院で診察を受けたほうが安全です。
冬場の乾燥やシャンプー後に気をつけること
冬場は空気が乾燥し、暖房で室内も乾きやすくなります。耳の中まで乾燥すると皮膚バリアが弱くなり、少しの刺激で赤みやかゆみが出やすくなります。冬は「念入りな耳掃除」よりも、保湿と刺激を減らすことが重要です。
シャンプー後は、耳の中に残った水分が外耳炎の原因になります。以下を意識してケアすると安心です。
| シーン | 気をつけるポイント |
|---|---|
| 冬の日常 | ・耳掃除の頻度を増やしすぎない |
| ・アルコール入りのクリーナーを避ける | |
| ・かゆがりやフケが増えたら早めに受診を検討 | |
| シャンプー前 | ・垂れ耳や耳毛が多い犬は、綿球などで軽く耳の入口をふさぎ、水の入りすぎを防ぐ |
| シャンプー後 | ・タオルで耳の入口をやさしく押さえて水分を吸い取る |
| ・ドライヤーは弱風・低温で、耳の中に直接風を入れない | |
| ・必要以上に奥まで拭き取らない |
シャンプーのたびに必ず耳掃除をする必要はありません。赤みやにおい、かゆみの様子を見ながら、異常がなければ軽く水分を拭き取る程度にとどめると、耳のトラブル予防につながります。
犬の耳掃除は「たくさん掃除すること」よりも「正しく観察し、必要なときだけ適切に行うこと」が大切です。耳の構造や耳垢の役割を理解し、犬種や体質に合った頻度・道具で優しくケアすれば、多くの耳トラブルは防げます。黒い耳垢や悪臭、赤みやかゆみなど気になるサインがあれば、自宅で無理をせず早めに動物病院へ相談することが、病気を悪化させないいちばんの近道といえます。
