
愛犬が大きなあくびをしたとき、「眠いのかな?」と思う一方で、「もしかしてストレス?」と不安になる飼い主さんは多いでしょう。犬のあくびには眠気だけでなく、ストレスや緊張をやわらげるサイン、相手を落ち着かせるための合図、体調不良のサインが隠れている場合もあります。
本記事では、犬のあくびの意味を状況別に整理し、ストレスサインの見分け方や対処法、病気の可能性までを分かりやすく説明します。愛犬の「小さなサイン」を正しく読み取り、毎日の暮らしに生かすためのガイドとして役立ててください。
犬のあくびは「眠いから」だけじゃない――4つの意味を整理しよう

犬が大きなあくびをしたとき、「眠いのかな?」と考える飼い主さんは多いはずです。ただ、動物病院や専門家の解説を見ると、犬のあくびにはいくつか異なる意味があると分かってきます。
日本獣医生命科学大学の獣医学部が監修するコラムでは、「犬は、眠いとき以外にも、不安なときや緊張したとき、相手が興奮しているときなどにもよくあくびをします」と説明され、「このあくびは『カーミングシグナル』と呼ばれ、自分や相手を落ち着かせるための行動です」と紹介されています(※1)。
動物病院の解説では、あくびが「生理的な眠気」「ストレス」「自分や周囲を落ち着かせたい気持ち」「病気のサイン」など、複数の理由で起こると整理されています(※2)。
ここでは、日常でよく見られる犬のあくびを、次の4つに分けて考えてみましょう。
- 眠気・生理現象によるあくび
- ストレス・緊張を和らげるためのあくび(カーミングシグナル)
- 相手を落ち着かせるためのあくび
- 体調不良・病気のサインとしてのあくび
①眠気・生理現象によるあくび
一番イメージしやすいのが「眠いときのあくび」です。日本獣医生命科学大学のコラムでも、「犬も眠いときにあくびをするしぐさがよくみられます。リラックスした姿勢であくびをしているときは、眠い可能性が高いです」と説明されています(※1)。
眠気によるあくびは、くつろいだ体勢でまぶたが重そうになっているときや、寝る前・起きた直後などに出やすいとされます。このときのあくびは生理的なもので、基本的には心配ありません。
動物病院の解説では、あくびの仕組みについて「犬も眠い時に生理的なあくびをします。あくびをすることで、脳に酸素を送り、血行をよくするために酸素を多く取り込むと言われていますが、はっきりとわかっていません」と説明されています(※2)。
つまり、眠気のあくびは「体のスイッチを切り替えるための自然な反応」と考えられます。
犬同士や人から犬へ伝染するあくびも、この生理的なあくびの一種とみなせます。獣医大学のコラムでは、「犬同士でもあくびは伝染しますし、人のあくびが犬に伝染することもあります」と書かれており(※1)、京都大学の研究でも、人のあくびが犬にうつる現象が報告されています。この研究では、「人からイヌにうつるあくびには飼い主とイヌの絆が重要であること」を示し、親しい相手のあくびほど犬にうつりやすいとされています(※3)。
自分があくびをした直後に犬もつられてあくびをした場合は、「眠い+飼い主との距離感が近いサイン」と受け止めてもよいでしょう。
②ストレス・緊張を和らげるためのあくび(カーミングシグナル)
次に重要なのが、「ストレス」や「緊張」と結びついたあくびです。眠いわけではなく、犬が不安やプレッシャーを感じているときに出やすいタイプです。
獣医大学のコラムでは、「犬は不安なときや緊張したとき、相手が興奮しているときなどにもよくあくびをします。このあくびは『カーミングシグナル』と呼ばれ、自分や相手を落ち着かせるための行動です」と解説されています(※1)。
動物病院の記事でも、「犬は不快感を抱き、強いストレスを感じている時もあくびをします」とされ、あくびのほかに「問題行動や自傷行為、下痢、嘔吐、食欲の低下など様々な症状」が一緒に出る場合があると注意を促しています(※2)。
ストレス由来のあくびが出やすい具体的な場面としては、次のようなシチュエーションが挙げられます。
- 動物病院の待合室など、苦手な場所にいるとき
- 初めての公園や人混みでキョロキョロしているとき
- シャンプーや爪切りなど、慣れていないケアをされているとき
- 叱られている、怒鳴り声が聞こえるなど、緊迫した空気の中にいるとき
こうした場面で、目をそらしながら何度もあくびをしていたり、舌なめずりや身体をぶるぶる震わせる行動が一緒に見られる場合は、「今はつらい」「怖い」と感じている可能性が高くなります(※1)。
このタイプのあくびは、犬が自分を落ち着かせようとしているサインです。無理に作業を続けたり、厳しく叱り続けるのではなく、いったん距離をとる、声のトーンを落とす、おやつを使って楽しい印象に変える、といった工夫が役立ちます。
③相手を落ち着かせるためのあくび
カーミングシグナルとしてのあくびは、自分を落ち着かせるだけでなく、「相手に向けたメッセージ」になっているとも考えられています。
動物病院の記事では、眠くなる場面ではないのにあくびをしている場合について、「自分や周囲を落ちつけたいという気持ちの表れかもしれません」とし、次のような場面を例に挙げています(※2)。
- 苦手な場所、苦手な人や動物がいる場から離れたい
- 何が起こるかわからなくて不安
- 怒られたときの緊張や謝罪の気持ち
- 頭を撫でるのをやめてほしい
ここで大事なのは、犬が「ケンカしたい」「反抗したい」と思っているわけではないことです。「落ち着いて」「やめてほしい」と穏やかに伝えようとしている可能性が高いと考えられます。
獣医大学の解説でも、「眠くなる場面ではないのにあくびをしているときは、緊張や、やめてほしい、落ち着いてほしいなどの気持ちの表れです」とされています(※1)。
例えば、子どもがしつこく抱きついているときに犬が繰り返しあくびをしているなら、「もう十分だから離れてほしい」というサインのことがあります。そのまま無視すると、うなり声や噛みつきといった強い自己主張につながる恐れもあります。
あくびが「相手を落ち着かせるSOS」になっている場面では、次のような対応がポイントです。
- 抱っこやスキンシップを一度やめて距離をとる
- 相手(子どもなど)に、静かに接するよう伝える
- 犬が安心できる場所(クレートや別室)に移動させる
こうした小さなサインに気づけると、犬がストレスをため込みにくくなり、事故の予防にもつながります。
④体調不良・病気のサインとしてのあくび
見逃したくないのが、「体調不良や病気が隠れている可能性があるあくび」です。
多くの解説では、「気持ちを表すシグナルとして、大きな問題はない場合も多いものの、頻繁に続く場合は病気が隠れている可能性もあります」と注意が促されています(※2)。
特に次のような場合は、早めに動物病院で相談しておくと安心です。
- 眠い様子でも緊張している様子でもないのに、一日に何度もあくびを繰り返す
- 口を開けるときに痛そうにする、鳴く、よだれが増える
- あくびと一緒に、ぐったりしている・呼吸が早い・咳が出る
- あくびの増加に加えて、食欲不振・下痢・嘔吐・体重減少などがある
動物病院の解説では、ストレスによるあくびの場合、「あくびの他にも問題行動や自傷行為、下痢、嘔吐、食欲の低下など様々な症状が出ることがあります」とされています(※2)。これらは強いストレスだけでなく、消化器疾患やホルモン異常などの病気で見られる場合もあります。
あくび自体はよくあるしぐさでも、「頻度」「一緒に出ているサイン」「出ている場面」がいつもと違っていないかが判断材料になります。
- シニア期に入ってから急にあくびが増えた
- 散歩を嫌がるようになったタイミングであくびが目立つ
- 食事中や直後に口を大きく開けたがらない
こうした気になる変化が見られたときは、「様子見」で長引かせず、動画を撮って獣医師に見せると状態を説明しやすくなります。
犬のあくびは、「眠い」というシンプルなサインだけではありません。ストレス・不安・相手へのメッセージ・体調の異変など、さまざまな意味を持つと分かってきています。どのパターンに当てはまりそうかを整理しながら、愛犬が何を伝えようとしているのかを日頃から観察することが、ストレスの少ない暮らしへの第一歩になります。
※1 日本獣医生命科学大学コラム「犬はどんな時にあくびをするの?」
※2 動物病院解説「犬のあくび 原因と考えられる病気について解説」
※3 京都大学プレスリリース「人からイヌにうつるあくびには飼い主とイヌの絆が重要であることを証明」
カーミングシグナルとしてのあくびとは?――犬の「気持ちの言葉」を知ろう

犬が見せるあくびには、「眠い」「退屈」という意味だけでなく、気持ちを伝えるサインとしての役割もあります。動物病院の解説でも、犬のあくびについて「不快感を抱き、強いストレスを感じている時もあくびをします」「自分や周囲を落ちつけたいという気持ちの表れかもしれません」と説明され(※2)、このようなあくびは「カーミングシグナル」の一種とされています(※1)(※2)。
カーミングシグナルとは、簡単に言えば「犬が犬や人に向けて送る、落ち着いてほしいというボディランゲージ」です。ノルウェーのトゥーリッド・ルーガス氏が広く紹介した概念として知られ、日本の獣医系コラムでも「あくびのほかに、口周りをなめる、目を細める、ぶるぶると身体を震わすなどがあります」といった具体的なしぐさが挙げられています(※1)。
あくびは、その中でも特に分かりやすく、日常でよく目にするサインのひとつといえます。
カーミングシグナルが生まれる仕組み(自律神経との関係)
犬がストレスを感じたとき、体の中では自律神経のバランスが変化します。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つから成り、交感神経は戦う・逃げるためのスイッチ、副交感神経は休む・落ち着くためのスイッチとよく例えられます。
獣医師やトレーナーの解説動画では、犬のあくびについて「自律神経のスイッチを切り替える動き」「交感神経と副交感神経のバランスをとるための行動」と説明されることが多くあります。緊張や不安で交感神経側に偏りかけたとき、あくびをすることで自分を落ち着かせようとしている、という考え方です。
実際、日本獣医生命科学大学のコラムでも、「犬は不安なときや緊張したとき、相手が興奮しているときなどにもよくあくびをします。このあくびは『カーミングシグナル』と呼ばれ、自分や相手を落ち着かせるための行動です」と紹介されています(※1)。動物病院の解説でも、「苦手な場所、苦手な人や動物がいる場から離れたい」「怒られたときの緊張や謝罪の気持ち」などの場面で見られるあくびを、「カーミングシグナル」の一つと位置づけています(※2)。
この仕組みを踏まえると、あくびをした犬を叱るのは逆効果になります。犬はすでにストレスや緊張を感じ、自分を落ち着かせようとしてあくびをしている状態です。そのタイミングで声を荒げたり、顔を覗き込んだりすると、交感神経側がさらに優位になり、「怖い」「もっと嫌だ」という感情を強めてしまう危険があります。
むしろ、あくびは「今しんどい」「これ以上はきつい」というSOSサインと受け止めたいところです。たとえば、次のような場面です。
- 初めての場所で周りを気にしながら何度もあくびをしている
- 動物病院の待合室で、落ち着きなくウロウロしつつあくびが出る
- 飼い主に叱られている途中で、大きなあくびをした
こうしたときは、「眠い」のではなく「緊張している」「怖さを紛らわせたい」という気持ちが強い可能性があります。いったん距離をとる、声のトーンを落とす、その場から離れるなど、犬が安心できる方向に環境を調整することが、ストレスケアと信頼関係の両方につながります。
あくび以外の代表的なカーミングシグナル一覧
あくびはカーミングシグナルの一つにすぎません。ほかにも多くの「落ち着いて」のサインが知られています。日本獣医生命科学大学(※1)や動物病院(※2)の解説をもとに、代表的なものをまとめてみます。
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口周りをなめる(ペロッと舌を出す)
おやつが出てきたわけでもないのに、舌で鼻先や口の周りをなめるしぐさです。緊張している相手や状況に対して「争うつもりはない」「落ち着いて」と伝えていると解釈されることが多くあります(※1)(※2)。 -
目を細める・目をそらす
まっすぐ見つめ合うのは犬にとってプレッシャーになる場合があります。そのため、視線を外したり、目を細めたりして「ケンカする気はないよ」とアピールします。 -
身体をぶるぶると震わせる(ブルブルする)
シャンプー後の水切りのように見える動きです。けれども、緊張したあとや、嫌なことが終わった直後に全身を震わせることもあります。これは「緊張をリセットする動き」と説明されることが多く、獣医師コラムでもカーミングシグナルの一つに挙げられています(※1)。 -
地面のにおいを嗅ぐ
急に足元の匂いを一生懸命嗅ぎ始めるときがあります。相手を直接見ないことで、その場の緊張をやわらげようとしていると解釈されることがあります。ドッグランなどで相手の犬との距離をとりたいときにもよく見られるしぐさです。 -
体をかく・身づくろいをする
かゆそうな様子もないのに、急に体をポリポリとかく、足先をなめるなどの行動を見せることがあります。これも「自分を落ち着かせるためのしぐさ」として紹介されることが多くあります。
これらの行動は一つひとつだけを見ると、「たまたまかゆかっただけ」「ただ匂いが気になっただけ」という場合もあります。大事なのは、場面と組み合わせて見ることです。たとえば、次のような組み合わせです。
- 子どもに抱きつかれているときに、あくび+口をペロペロ
- 動物病院の待合室で、視線そらし+ブルブル+あくび
- 見知らぬ犬が近づいてきたときに、匂い嗅ぎ+体をかく
このように、複数のカーミングシグナルが重なっているときは、「かなりストレスがかかっている」と考え、距離をとる、スキンシップを一旦やめるなど、負担を減らす配慮が必要になります。
しつけ中・トレーニング中にあくびが出たときの正しい解釈
しつけやトレーニングの最中に犬があくびをすると、「ふざけている」「やる気がない」と受け取ってしまいがちです。しかし獣医師の解説では、こうした場面のあくびを「緊張・不安・不満などを感じたときに見られる」「自分や周囲を落ちつけたいという気持ちの表れ」としています(※2)。
つまり、次のような状態で、犬がストレスを調整しようとしてあくびをしている可能性が高いと考えられます。
- コマンドが難しくて混乱している
- 叱責のトーンが強く、怖くなっている
- いつ終わるか分からず疲れてきている
日本獣医生命科学大学のコラムでも、「叱られているときなど、眠くなる場面ではないのにあくびをしているときは、緊張や、やめてほしい、落ち着いてほしいなどの気持ちの表れです」と示されています(※1)。
このことから、トレーニング中のあくびは「反抗」ではなく、「これ以上はつらい」「よく分からない」というサインと受け止めるのが妥当といえます。対応のポイントは次のとおりです。
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難易度を下げる
うまくできていないときにあくびが増えるなら、その課題は今の犬には少し難しすぎる可能性があります。「できるレベル」までハードルを下げ、成功体験を積ませましょう。 -
時間を短く区切る
長時間続くトレーニングは、それだけで大きな負担になります。あくびが増えてきたら、いったん休憩を入れる、そこで終わりにして遊びに切り替えるなど、メリハリをつけます。 -
叱るより、ほめるを増やす
動物病院の解説では、ストレス由来のあくびが続くと「問題行動や自傷行為、下痢、嘔吐、食欲の低下など様々な症状が出ることがあります」と注意喚起されています(※2)。厳しい叱責中心のしつけは、犬のストレスを積み上げてしまうおそれがあります。小さな成功でもしっかりほめる「陽性強化」をベースにしたいところです。 -
その日のコンディションを考える
体調が万全でない日や、環境の変化が大きかった日などは、普段よりもあくびなどのカーミングシグナルが出やすくなります。そうした日は無理をせず、「今日は軽めに」「遊びメインで」など、柔軟に切り替えることも重要です。
しつけやトレーニングは、犬にとって「学び」であると同時に「ストレス」にもなり得ます。あくびをはじめとしたカーミングシグナルを読み取りながら進めることで、「怖い時間」ではなく「安心して一緒に学べる時間」に変えていけます。犬が出している小さなしぐさの意味をくみ取り、必要以上に追い込まないことが、心の健康を守る土台になります。
ストレスが原因のあくびが出やすい場面・シチュエーション

ストレスや不安から出るあくびは、どんな場面で出やすいかを知っておくと、「今しんどいのかな」と早めに気づきやすくなります。動物病院の解説でも、犬は「苦手な場所に行ったとき、知らない人に抱っこされたとき、叱られているときなど、眠くなる場面ではないのにあくびをしているときは、緊張や、やめてほしい、落ち着いてほしいなどの気持ちの表れ」と説明されています(※1)。
ここでは、日常でよくあるシチュエーションごとに、ストレス由来のあくびが出やすい場面を整理します。
叱られているとき・飼い主がケンカしているとき
しつけ中やいたずらをした直後などに、犬が大きくあくびをした経験はないでしょうか。獣医師監修の解説では、犬は「怒られたときの緊張や謝罪の気持ち」であくびをすることがあるとされ、「自分や周囲を落ちつけたいという気持ちの表れかもしれません」とまとめられています(※2)。これはカーミングシグナルの一つで、「もうやめてほしい」「落ち着いてほしい」というサインと受け取ることができます。
直接叱っていないときでも、家族同士が大声でケンカしているときなど、「場の空気がピリピリしている」状況では、不安や緊張からあくびが増えることが多くあります。犬は人間の表情や声のトーンに敏感で、人が興奮しているときにもあくびをすることがあると解説されています(※1)。
視線をそらしながらのあくびや、舌なめずり、体をブルブルと震わせる動きが一緒に出ている場合は、かなり気持ちが高ぶっていると考えられます。
このような場面では、まず声のボリュームを落とし、叱る時間を長引かせないことが大切です。前のセクションで触れたように、厳しい叱責を続けるとストレスが積み重なり、「問題行動や自傷行為、下痢、嘔吐、食欲の低下など様々な症状が出る」おそれがあると動物病院も注意を促しています(※2)。
あくびが増えてきたら一度区切りをつけ、静かな声で指示を出したり、別室でクールダウンさせたりして、心を落ち着かせる時間を挟みましょう。
知らない人・犬に会ったとき/苦手な場所に行ったとき
初めて会う人に囲まれたときや、ドッグランで多くの犬に一度に出会ったとき、あるいは動物病院やトリミングサロンなど「苦手な場所」に着いた瞬間に、何度もあくびをする犬は少なくありません。動物病院のQ&Aでも、「苦手な場所に行ったとき、知らない人に抱っこされたとき」などは、眠くないのに出るあくび=カーミングシグナルが見られる代表的な場面として挙げられています(※1)。
別の獣医師監修記事でも、犬は「苦手な場所、苦手な人や動物がいる場から離れたい」「何が起こるかわからなくて不安」と感じているときに、自分や周囲を落ち着かせるためにあくびをする、と説明されています(※2)。
知らない人や犬と急に近距離で接触したり、にぎやかな場所に長時間いると、犬にとっては「怖い」「戸惑っている」状況になりやすくなります。
このようなときのポイントは、無理に触らせたり、相性の分からない犬同士を一気に近づけたりしないことです。あくびに加えて、しっぽを下げる、後ろに下がる、体を低くするなどのしぐさが見られたら、一歩下がって距離をとり、静かな場所に避難させると安心しやすくなります。
動物病院やサロンなどどうしても行かなければならない場所は、短時間の「顔見せ」から始めるなど、少しずつ慣らしていく工夫が負担軽減につながります。
散歩中・引っ越しなど環境が変わったとき
散歩の途中で急にあくびが増えた場合や、引っ越しや模様替えのあとにあくびを連発する場合も、環境変化によるストレスが関係していることが多くあります。獣医師による解説では、犬は「何が起こるかわからなくて不安」な場面で、自分を落ち着かせるカーミングシグナルとしてあくびを出すことがあるとされています(※2)。
たとえば、いつもと違うコースを歩いた日や、車や工事音の多い道を通ったとき、慣れない地面(グレーチング、滑りやすい床など)を歩かせたときなどに、歩きながら何度もあくびをしていることがあります。これは単なる「のんびり」ではなく、「ここ大丈夫かな」と周囲を警戒しているサインと考えられます。
引っ越し直後や、家具の配置替えで家の雰囲気が変わったときも同様です。新しい環境に慣れるまで、あくびや体をブルブル振るう動作、家の中をうろうろ歩き回る行動が増えることがあります。動物病院の情報でも、ストレスが続くと下痢や食欲低下などの症状が出る可能性があると指摘されています(※2)。
あくびだけでなく、体調の変化も合わせてチェックしておきたいところです。
散歩中にあくびが目立つ場合は、にぎやかな道や苦手そうなポイントを避けてルートを調整したり、短めの散歩に切り替えたりするとよいでしょう。環境が大きく変わったときは、いつも使っているベッドやおもちゃをそばに置き、静かで落ち着ける「安心スペース」をつくると、不安の軽減につながりやすくなります。
撫でられているときや長時間のマテのあと
「撫でている最中」や「マテを長く続けたあと」に出るあくびも、ストレスや軽い不満のサインであるケースがあります。獣医師監修の記事では、犬が自分や周囲を落ち着かせたいときの例として「頭を撫でるのをやめてほしい」と感じている場面が挙げられており(※2)、このときにあくびが出ることがあると説明されています。
トレーナーの解説でも、撫でられている最中に何度もあくびをしている犬について、「触られ方や場所があまり好きではない」「そろそろやめてほしい」という気持ちの表れとされることが多くあります。特に、体を硬くしていたり、耳が後ろに倒れていたり、視線をそらしながらあくびをしている場合は、リラックスというより「がまんしている」可能性が高くなります。
トレーニング中に長い時間マテをさせたあとや、難しい課題に集中したあとにも、まとめてあくびが出ることがあります。これは前のセクションで触れたように、「学び」と「ストレス」が同時にかかっている状態です。集中し続けた緊張をほぐすためのカーミングシグナルと考えられます。
撫でているときのあくびが気になる場合は、撫でる場所や強さ、時間を変えてみるとよいでしょう。胸や首まわり、腰など、犬が自分から近づいてきて撫でられたがるポイントを中心にします。顔まわりや足先など苦手な部位は短時間から慣らしていくと安心です。
マテのあとにあくびが増える場合は、待たせる時間を短くし、こまめに休憩とごほうびを入れ、「がんばりすぎない」よう調整することが、ストレスの蓄積予防につながります。
※1 公益社団法人日本獣医師会「犬はどんな時にあくびをするの?」(獣医師によるQ&A)
※2 動物病院監修記事「犬のあくび 原因と考えられる病気について解説」(自分や周囲を落ち着かせたいとき・ストレス時のあくびに関する説明)
撫でているときに犬があくびをするのはなぜ?――信頼と緊張が混ざった複雑な心理

「嫌い」ではなく「今はちょっとしんどい」のサイン
飼い主がなでている最中に犬が大きなあくびをすると、「もしかして嫌がっているのかな?」と不安になることがあります。実際には、「完全にリラックスして気持ちいい」と「少し緊張してがまんしている」の両方の可能性があり、その中間の微妙な気持ちが出ているケースも少なくありません。
公益社団法人日本獣医師会のQ&Aでは、犬のあくびについて「眠いとき以外にも、不安なときや緊張したとき、相手が興奮しているときなどにもよくあくびをします」と説明されています(※1)。なでられているときにあくびが出るのも、この「不安や緊張をやわらげるためのあくび(カーミングシグナル)」の一種と考えられます。
なでてもらうこと自体は好きでも、「触られる強さが少し強い」「今日は疲れている」「長時間じっとしているのがきつい」といったとき、犬はその場の空気を乱さず自分を落ち着かせようとしてあくびをします。獣医師監修の解説でも、「犬はストレスを感じたとき、自分や周囲を落ち着かせるためにあくびをすることがある」とされており(※2)、なでられている場面でもこの仕組みが働くと考えられます。
特に、次のような様子があれば、「完全に心地よいだけではなく、少ししんどさもある」可能性が高まります。
- 耳が後ろに倒れている、または寝かせ気味
- 目を細めるというより、視線をそらしがち
- 口角が引きつり気味で、体が少しこわばっている
- 連続して何回もあくびをする
一方で、飼い主との関係性が深いほど、リラックスした状態でのあくびも出やすくなります。人のあくびが犬にうつる現象を調べた研究では、「人からイヌにうつるあくびには飼い主とイヌの絆が重要である」ことが示されており、見知らぬ人よりも、普段から一緒にいる飼い主のあくびの方が犬に伝染しやすいと報告されています(※3)。
犬は飼い主の表情や感情をよく見ており、「一緒にリラックスする」タイミングであくびが出やすいと考えられます。
つまり、なでられている最中のあくびは、次のようなサインになっている場合があります。
- 飼い主のそばで安心して気持ちがゆるんだ結果のあくび
- ちょっと緊張していて、自分を落ち着かせようとするカーミングシグナル
信頼と軽いストレスが混ざった複雑なサインになっていることもあります。「嫌い」「もう撫でないで」という極端なメッセージではなく、「今のやり方は少ししんどいかも」「でも一緒にいたい」という気持ちの揺れと受け止めると、行動の意味がつかみやすくなります。
撫でるのをやめたあとの行動で気持ちを見分ける方法
なでているときのあくびが「気持ちよい」のか「しんどい」のかを見分けたい場合、表情だけで判断しようとせず、「なでるのを一度やめたあと」の行動を見ると分かりやすくなります。
犬のボディランゲージを詳しく解説しているトレーナーは、「なでるのをやめたときに、犬がどう動くか」で気持ちを読み取る方法を紹介しています。ポイントは次の2つです。
- なでるのをやめたあと、犬が自分から近づいてくるかどうか
- その場に残るのか、離れていくのか
具体的には、次のように考えると判断しやすくなります。
-
あくびをしていても、なでるのをやめた瞬間に、犬が頭や体を押しつけてきたり、前足で「もっと」と合図してきたりする場合
→「疲れてはいるけれど、なでられるのは好き。まだ続けたい」というサイン -
あくびのあと、すっと距離をとって寝床に行く、水を飲みに行く、体を伸ばしてから横になる、といった動きを見せる場合
→「今は休みたい」「刺激から離れたい」というメッセージ
日本獣医師会のQ&Aでも、「不安なときや緊張したときのあくびのときは、犬がリラックスできるようにしてあげましょう」と述べられています(※1)。なでたあとに犬が離れていく行動は、「リラックスできる場所に移動したい」という意思表示と考えられます。そのままそっとしておいた方が安心しやすくなります。
この見分け方を日常に取り入れるなら、次のような流れがおすすめです。
- 犬をなでているときにあくびを見かけたら、10〜20秒ほどでいったん手を止める
- 犬の様子を数秒観察し、「近づいてくるか」「その場にとどまるか」「離れるか」をチェックする
- 近づいてきたり、体を預けなおしてきたら、同じ場所か犬が好む別の場所をやさしくなでる
- 離れた場合は、追いかけずに休めるよう見守る
これを何度か繰り返すと、「この子はどのくらいの時間・どの部位なら心地よく撫でられるのか」という“その子なりの線引き”が見えてきます。あくびそのものよりも、「あくび+次の行動」をセットで見ることが、信頼とストレスのバランスを読み取る近道になります。
条件付けで癖になるあくびもある
なでているときのあくびには、もう一つ見落としがちなパターンがあります。それが、「条件付け」で癖になっているあくびです。
犬は、ある状況と自分の行動が何度もセットになることで、「この場面ではこうする」という行動パターンを身につけます。トレーナーの解説では、「撫でる→あくび→撫で方が変わる/やめてくれる」という流れが繰り返されると、犬が無意識にその場面であくびを出すようになるケースが紹介されています。
たとえば、次のような経験が積み重なるとします。
- 飼い主が頭をなでる
- 犬が軽くストレスを感じてあくびをする
- 飼い主がそれを見て、「嫌だったかな」と撫でる場所を体や胸に変える、あるいは撫でるのをやめる
この繰り返しにより、犬の中で「頭をなでられたときにあくびをすると、状況が自分にとって楽な方向に変わる」という学習が進みます。その結果、最初は本当に緊張をほぐすためのあくびだったものが、やがて「頭を触られたらとりあえずあくびをする」という“パターン行動”になっていくことがあります。
こうした条件付け自体は悪いものではありません。むしろ犬が自分の気持ちを伝えるコミュニケーションとして機能しているとも言えます。ただし、「本当にストレスが強くて出ているあくび」と「なんとなく習慣で出ているあくび」を区別しづらくなるため、他のサインも合わせて見ることが大切です。
見分けるときのポイントは、次のような点です。
- あくび以外に、体のこわばり・しっぽの位置の低さ・耳の倒れ方など“イヤそうなサイン”がセットで出ているか
- 撫でる強さや場所を変えてもあくびが続くか、それとも落ち着いてくるか
- その場面以外(遊びの最中、散歩中など)でも同じようなあくびが頻繁に見られるか
「頭をなでると毎回大きなあくびをするが、体はゆるんでいて、すぐに自分からもっと近づいてくる」といった様子であれば、緊張というより「そういう癖になっている」可能性が高くなります。この場合は無理にやめさせる必要はありません。犬が不快そうなサインを出していないかだけ確認しながら、スキンシップを楽しめば問題ありません。
一方、「あくびと一緒にそっぽを向く・体を引く・しっぽが下がる」といったサインが続くなら、ストレスが強めにかかっていると考えられます。撫でる場所や時間を見直すことが大切です。獣医師会の解説が述べるように(※1)、「不安や緊張を感じたときのあくび」は、犬からの大事な相談サインです。条件付けで癖になっているように見えても、その背景には「このくらいが限界」というその子なりのラインがあると受け止める視点が欠かせません。
※1 公益社団法人日本獣医師会「犬はどんな時にあくびをするの?」(不安や緊張時のあくび=カーミングシグナルの説明)
※2 動物病院監修記事「犬のあくび 原因と考えられる病気について解説」(ストレス時・自分や周囲を落ち着かせたいときのあくびに関する説明)
※3 大阪大学などの研究グループによる報告「人からイヌにうつるあくびには飼い主とイヌの絆が重要であることを証明」(人と犬の絆と“うつるあくび”に関する研究)
飼い主のあくびが犬にうつる?――絆と信頼関係を示す「伝染するあくび」の科学

あくびが伝染するのは親密な相手だけ――東京大学の研究が示すこと
「自分があくびをしたら、横で寝ていた愛犬もつられてあくびをした」という経験は、多くの飼い主が一度は目にしているでしょう。この“うつるあくび”は、ただの偶然ではない可能性が高いと、大学の研究で示されています。
東京大学などの研究グループは、「人から犬にうつるあくび」に注目し、人と犬のどんな関係のときにあくびが伝染しやすいかを調べました(※3)。この研究では、次の条件を比べています。
- 飼い主が犬の前であくびをする場合
- 犬にとってあまり親しくない人(見知らぬ実験者など)があくびをする場合
犬がどれくらいの頻度であくびを返すかを観察した結果、次のような内容が報告されています。
「人間の子どもに見られる“共感性の高い相手にだけあくびがうつる”という現象が、イヌにも当てはまる可能性が高いことが示された」(※3)
つまり、犬は誰に対しても機械的にあくびをコピーしているわけではありません。「この人は特別」「安心できる」と感じている相手ほど、あくびがうつりやすいと考えられます。
研究グループはさらに、次のようにも述べています。
「飼い主とイヌのあいだに形成された強い絆や信頼関係が、あくびの伝染に関わっている」(※3)
単なる生理現象ではなく、心のつながりが反映された行動として“うつるあくび”を位置づけていると言えます。
この点は、人間同士の研究結果ともよく似ています。人のあくびがうつりやすいのは、家族や親しい友人、恋人など「感情的なつながりが強い相手」であり、まったく知らない他人にはあまりうつらないことが知られています。そのパターンが犬にも見られるというのが、東大の研究の重要なポイントです。
伝染するあくびは信頼関係のバロメーター
ここまで見ると、犬の“うつるあくび”は、ストレスというよりむしろ絆や信頼のバロメーターと考えた方がよさそうだと分かります。
前のセクションで触れたように、日本獣医師会は「あくびは不安や緊張を和らげるサインとしても見られる」と解説しています(※1)。動物病院監修の記事でも、「犬はストレスや不安を感じたとき、自分や相手を落ち着かせるためにあくびをする」と説明されています(※2)。
つまり、あくびが必ずしもリラックスを意味するわけではなく、ストレスのサインになる場面もあるということです。
では、「飼い主のあくびがうつったように見えるとき」はどう受け止めればよいでしょうか。東大の研究結果を踏まえると、次のように整理すると分かりやすくなります。
- 飼い主があくびをする
- その直後、犬がこちらを見たり、目を細めたりしながらあくびを返す
- そのとき、耳やしっぽ、体全体がリラックスしている
こうした状況なら、「今のあくびは、ストレスよりも“共感”や“安心”のサインである可能性が高い」と考えられます。東大の研究グループも、次のような趣旨の解説をしています。
「人のあくびに共鳴して自分もあくびをする犬は、その人とのあいだに情緒的な結びつきがあると推測される」(※3)
信頼関係が形成されているからこそ起こる行動だと評価しているわけです。
逆に、次のような場合はどうでしょうか。
- 飼い主が近づいた瞬間にそっぽを向き、大きなあくびを何度も繰り返す
- しっぽが下がる、体が固い、舌なめずりが増える
このようなサインがセットになっている場合は、日本獣医師会が説明するように「不安や緊張を和らげようとするカーミングシグナル」と見た方が安全です(※1)。
同じ「あくび」でも、表情や体の様子が違えば、意味もまったく変わってきます。この点に注意したいところです。
日常生活では、次のように受け止めると、愛犬とのコミュニケーションが少し楽しくなります。
- リラックスした雰囲気の中で、自分のあくびに愛犬がつられてあくびをしたら、「信頼されているサインかもしれない」と前向きにとらえる
- 叱っているときや、怖がっている場面でのあくびは、「優しくしてほしい」「距離を取りたい」という小さな相談サインとして受け止める
あくびは、睡眠不足や病気のサインになることもあります(※2)。一方で、人との絆が強い犬ほど“うつるあくび”を見せやすいという研究結果もあります(※3)。
ストレスサインとしてのあくびと、信頼関係の証としてのあくび。両方を知っておくことで、「うちの子はいま、どんな気持ちであくびをしているのか」を、これまでより細かく読み取れるようになります。
声を出すあくびと声を出さないあくびの違いは?

犬のあくびには、声を「フゥーン」「アゥ〜」と漏らしながらするものと、ほとんど音を立てないものがあります。inunavi の獣医師監修記事では、声が出るあくびは「飼い主に向けたサイン」になりやすく、声が出ないあくびは「自分を落ち着かせるため」に出ることが多いと説明されています(※4)。
どちらも同じ「あくび」ですが、気持ちや状況の読み取り方が少し変わってきます。
声ありあくびは「飼い主に伝えたい」サイン
声を出しながらのあくびは、眠気だけでなく、飼い主に何かを伝えたいときに見られることが多くなります。inunavi では、「かまってほしい」「退屈」「おねだり」といった気持ちが背景にあるケースが多いと紹介されています(※4)。
たとえば、次のようなシーンが当てはまりやすくなります。
- 飼い主がスマホや仕事に集中していて、しばらく構っていなかったときに、「フゥーン」と声付きのあくびをしながら近づいてくる
- ごはん前や散歩前に、目を見つめながら「あぅ〜」と大きな声付きあくびをする
- 遊びが途中で終わって物足りないときに、こちらをチラチラ見ながらあくびをする
inunavi では、こうしたあくびを「退屈だったり何かをしてほしいとき、“要求サイン”としてあくびをすることがある」と説明しています(※4)。単なるクセではなくコミュニケーションの一種と考えた方が分かりやすくなります。
声ありあくびが出たときの対応の目安は次のとおりです。
- 退屈そうにしているなら、散歩やおもちゃ遊び、知育トイなどで少し発散させる
- ごはんや散歩の時間が大きくズレていないか、生活リズムを見直す
- 叱った直後に声付きあくびが出る場合は、ストレスも重なっている可能性があるので、怒鳴るよりも落ち着いた声かけを意識する
日本獣医師会は犬のあくびについて、「不安や緊張を和らげるためのカーミングシグナルになる」と説明しています(※1)。叱責が強すぎるときなどは、「優しくしてほしい」という気持ちが、声付きあくびという形で出ている可能性もあります。
声なしあくびは「自分を落ち着かせる」サイン
ほとんど音を立てない静かなあくびは、眠いときの生理現象に加え、自分の気分を落ち着かせたいときによく見られます。inunavi では、犬のあくびの意味として、次のような心理があると解説しています(※4)。
「自分の気分をリラックスさせたい」「相手の気分を落ち着かせたい」
日本獣医師会も、あくびを「相手に敵意がないことを伝えるカーミングシグナル」の一つとして紹介しています(※1)。
特に、次のような場面での声なしあくびは、ストレスとの関係も意識したいところです。
- 初めての場所や人・犬に会ったときに、緊張した表情で静かにあくびをする
- 動物病院の待合室や、トリミング台の上で体を固くしたままあくびを繰り返す
- 叱られているときに、目をそらしながら何度も静かなあくびをする
こうした状況は、「不安や緊張を自分でなだめようとしているサイン」と考えられます(※1)(※4)。そのままにしておくとストレスが蓄積し、吠えや噛みつき、下痢など別の形で表れることもあります。
次のような対応をとると安心です。
- 苦手な場面では、無理に長時間とどめず、「今日はここまで」と早めに切り上げる
- 落ち着けるクレートやお気に入りベッドなど、「避難場所」を日頃から用意しておく
- 新しい環境・トレーニングは、短時間・低いハードルから始め、成功体験を積み重ねる
声を出さないあくび自体は自然な行動です。ただし、頻度が極端に多い、ゼーゼーした呼吸や咳、ぐったり感を伴う場合は、inunavi が指摘するように「病気のサインになり得る」ため(※4)、早めの受診が勧められます。
声の有無に加え、「いつ・どこで・どんな様子であくびをしているか」をセットで見ることで、ストレスなのか、単なるリラックスなのかをより正確に見極めやすくなります。
病気・体調不良が原因のあくびを見分けるチェックポイント

危険なあくびのサイン――こんな症状が重なったら要注意
あくびそのものは自然な行動です。ただ、「回数が急に増えた」「いつもと様子が違う」と感じたときは、ほかの症状が一緒に出ていないかを落ち着いて確認する必要があります。
ベネッセの獣医師監修記事では、「犬のあくびは、眠気やストレスなど意味のあるサインである一方、頻繁に続く場合は病気が隠れている可能性がある」と注意喚起しています(※2)。rouken-care(老犬介護情報サイト)も、あくびが増えた犬で「元気消失」「食欲不振」「舌の色の変化」などが見られる場合、病気が背景にあることがあると解説しています(※3)。
“あくび+別の変化” がセットで出ていないかを確認することが重要です。スマホでも確認しやすいよう、チェックリスト形式でまとめます。
あくびと一緒に出ていないか見るチェックシート
- 【元気】
- 散歩や遊びへの反応が鈍くなった
- ぼんやりしている時間が増えた/呼んでも反応が弱い
- 立ち上がるのがつらそう、動きがゆっくりになった
- 【食事・飲水】
- 急に食欲が落ちた、フードを残すようになった
- 逆に、普段より水をがぶ飲みする、ほとんど飲まない
- 食べるときに口を気にする(片側だけで噛む、顔を振るなど)
- 【呼吸・体温感覚】
- あくびのあとも、ずっとハアハアと口を開けて荒い呼吸をしている
- 呼吸が浅く速い、胸やお腹の動きが苦しそう
- 触るといつもより熱い、あるいは冷たいと感じる
- 【口の中・舌の色】
- 歯ぐきや舌の色が、いつものピンクではなく白っぽい
- 舌が紫色っぽい/青っぽい(チアノーゼ)
- 口臭が急にきつくなった
- よだれがダラダラ出る、口を気にして前足でかく
- 【消化器・全身状態】
- 下痢や軟便が続いている
- 吐くことが増えた(特に食後まもなく)
- 体重が短期間で減ってきた
こうしたサインが、ここ数日で急に増えたあくびと同時に見られるなら、「様子を見よう」と長く引き延ばさず、早めの受診が安心です。inunavi でも、「あくびが頻繁に続く場合は、何らかの病気が隠れている可能性がある」とし(※4)、下痢や嘔吐・食欲低下など他の症状があれば受診をすすめています。
あくびの増加で疑われる主な病気(低血糖症・貧血・口腔内疾患)
rouken-care では、老犬のあくび増加と関連する病気として、低血糖症・貧血・口腔内疾患を代表例として挙げ、具体的な症状を説明しています(※3)。若い犬でも起こり得るため、主なポイントを整理します。
低血糖症
低血糖症とは、血液中のブドウ糖が不足し、脳や体に十分なエネルギーが行き渡らなくなる状態です。rouken-care は、「元気消失」「ふらつき」「意識レベルの低下」などを症状として挙げています(※3)。放置すると命に関わる緊急状態になり得ます。
低血糖症が疑われるチェックポイント
- あくびを繰り返しながら、ぼんやりしている
- 立ち上がろうとしてフラフラする、よろける
- 呼んでも反応が鈍い、急に座り込む
- 震えたり、体が冷たく感じられる
- ひどい場合は、痙攣や失神のような症状
一般に、空腹時間が長くなりすぎたときや、糖尿病のインスリン量が合っていないときなどに起きやすいとされます。こうした症状があれば、「ただ眠いだけのあくび」とは考えず、至急の受診レベルと判断したほうが安全です。
貧血
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、全身に酸素が十分運べなくなる状態です。rouken-care は、「舌や歯ぐきの色が白っぽくなる」「運動を嫌がる」「すぐに疲れてしまう」などをサインとして説明しています(※3)。
貧血が疑われるチェックポイント
- あくびをしたとき、舌や歯ぐきの色がいつもより白っぽい
- 少し歩いただけでハアハアと息が上がる
- 散歩中に座り込む、以前より動きたがらない
- なんとなく元気がない、寝てばかりいる
ベネッセでも、「あくびは脳への酸素供給や血行を促す行動の一つと考えられている」とし(※2)、貧血のように酸素不足の状態では、あくびが増えて見えることも理屈としてあり得るとしています。普段から、健康なときの舌や歯ぐきの色を写真に撮っておき、違いを比べられるようにしておくと、変化に気づきやすくなります。
口腔内疾患(歯周病・口内炎など)
rouken-care は、「口の中のトラブルがある犬では、食欲不振やよだれ、強い口臭に加え、あくびやあごの開閉の際に痛みが出ることがある」とし、歯周病や口内炎、口腔腫瘍などの可能性に触れています(※3)。
口腔内疾患が疑われるチェックポイント
- あくびをしたときに、痛そうに顔をゆがめる、すぐ口を閉じる
- 片側だけで噛む、固いものを嫌がる
- 口臭が急に強くなった
- よだれが増えた、血が混じることがある
- 口の周りをしきりになめる、前足で口をかくしぐさを見せる
ベネッセの「あくび」に関する記事でも、「口周りをなめる」「ぶるぶると身体を震わせる」といった行動が、ストレスやカーミングシグナルとして出ることがあると説明しています(※1)。ただし、口を気にするしぐさがしつこく続く場合は、ストレスだけでなく“痛み”が原因のこともあります。
口を開くあくびが増えたタイミングで、こうした行動がセットになっていないか観察しておきたいところです。
動物病院に連れて行く目安
「何となくあくびが多い気がするけれど、受診するほどなのか判断しづらい」という迷いは少なくありません。inunavi では、「あくびが頻繁に続き、下痢・嘔吐・食欲不振などの症状を伴う場合は、早めに動物病院を受診して原因を特定する必要がある」と解説しています(※4)。
“頻度の増加” と “他の異常” の組み合わせを受診の目安と考えましょう。具体的には、次のような場合は受診を検討したいタイミングです。
- 24時間以上、あくびの回数が明らかに多い状態が続く
- あくびに加え、次のいずれかの症状がある
- 食欲低下/まったく食べない
- 下痢・嘔吐
- 元気消失・ぐったり
- 呼吸が荒い
- 舌や歯ぐきの色の変化
- あくびのたびに痛そうな表情をする、鳴く
- 意識がぼんやりしている、ふらつきや痙攣が見られる
特に、貧血を疑う舌や歯ぐきの蒼白、低血糖を疑うふらつき・脱力、呼吸困難を疑う紫色の舌(チアノーゼ)は緊急性が高いサインです。rouken-care でも、「舌の変色や急な元気消失が見られる場合、すぐに受診が必要」と強調しています(※3)。
診察をスムーズにするため、次の点をメモしておくと役立ちます。
- あくびが増えたと感じ始めた日時
- 1日にどれくらいの頻度であくびをしているかの目安
- 食欲・水を飲む量・排泄の様子の変化
- 舌や歯ぐきの色、呼吸の様子
- 直近での環境の変化(引っ越し・家族構成の変化・フード変更など)
ベネッセの記事が指摘するように、犬のあくびには「眠気」「ストレス」「カーミングシグナル」といった意味があり(※1)(※2)、必ずしも病気に直結するわけではありません。それでも、「いつもと違うあくび」が続き、不調のサインが重なっていると感じるなら、迷うより一度獣医師に相談したほうが、結果的に安心して暮らしていけます。
愛犬のストレスによるあくびへの対処法と環境づくり

ストレスからくるあくびは、「ただのクセ」ではなく、犬からの大切なサインです。ベネッセの解説でも、眠くなる場面ではないのに出るあくびは「不安や緊張を感じたとき」によく見られ、「ストレスとなっているものを取り除き、犬がリラックスできるようにしてあげましょう」と伝えています(※1)(※2)。
ここでは、毎日の暮らしの中でできる具体的な対処法と、ストレスと上手に付き合う環境づくりをまとめます。
ストレスの原因を特定して取り除く
まず大切なのは、「なぜ今ここであくびをしているのか」原因をできるだけ具体的に想像することです。ベネッセの記事では、次のような場面でのあくびが「カーミングシグナル(自分や相手を落ち着かせるためのサイン)」になりやすいと紹介されています(※1)(※2)。
- 苦手な場所に連れて行かれたとき
- 知らない人に抱っこされたとき
- 叱られているとき
- 撫でられていて「やめてほしい」と感じたとき
アニコムも、あくびは「不安なときや緊張したとき、相手が興奮しているときなど」に見られ、こうした場面では「犬がリラックスできるようにしてあげましょう」と説明しています(※1)。
あくびが出ている“状況”をヒントに、何が負担になっているかを探ることが第一歩です。原因を推測できたら、次のような形で少しずつ負担を減らしていきます。
- 苦手な場所
- 病院やトリミングサロンなら、用事がない日に「挨拶だけ」「おやつをもらうだけ」で短時間立ち寄り、いい印象を積み重ねる
- 音やにおいが強い場所なら、距離をとってから徐々に近づく
- 知らない人・犬
- 無理に触らせず、犬が自分から近づくまで待ってもらう
- 会わせる時間を短くし、様子を見ながら少しずつ慣らす
- 叱られてあくび
- 大声や長時間の説教は控え、「してほしい行動」を静かに教え直す
- 叱る場面を減らすために、環境を整える(イタズラしやすい物を片付けるなど)
- 撫でていてあくび
- いったん撫でるのをやめて、犬の反応を見る(離れる、体を震わせる、別の場所へ行くなら、もう十分のサイン)(※3)
特に、「頭を撫でるのをやめてほしい」というときのあくびは、ベネッセも「カーミングシグナルの一つ」として挙げています(※2)。気持ちよさそうに見えても、あくびが出たら一度手を止めることを習慣にすると、犬の「もうやめて」のサインを見逃しにくくなります。
スキンシップ・散歩・遊びでストレスを発散させる
ストレスを完全になくすことはできません。こまめに発散させる工夫が大切です。SBIいきいき少短の解説では、ストレス対策として次の3つをすすめています(※4)。
- 飼い主とのスキンシップを増やす
- 十分な散歩・運動をさせる
- 噛むおもちゃなどでストレスを発散させる
それぞれ、できる範囲で「質」を意識すると効果的です。
1. スキンシップ(なでる・声をかける)
- 犬がリラックスしやすい胸・首の横・耳の付け根など、好む場所を中心に短時間から始める
- 同じ場所を長時間触り続けず、途中でやめて様子を見る
- 人のあくびが犬にうつるのは「親密な関係にある飼い主からうつることが多く、信頼関係を表すサイン」とも言われており(※4)、落ち着いたトーンで話しかける時間を増やすことも安心感につながる
2. 散歩・運動
- 毎日だいたい同じ時間帯に歩くと、生活リズムが整いやすくなる
- 匂いを嗅ぐ時間を十分とることで、脳の刺激とストレス解消になる
- 怖がりな犬は、人や車が少ない時間帯・ルートを選ぶ
3. 噛むおもちゃ・知育トイ
- 噛む行為自体がストレス発散になりやすく、SBIも「噛むおもちゃでの遊び」を推奨しています(※4)
- フードを中に入れた知育トイは、留守番中の退屈や不安の軽減にも役立つ
- 誤飲を防ぐため、犬のサイズに合った丈夫なものを選ぶ
こうした日常ケアを続けることで、ストレスであくびが出やすい状況そのものを減らしていけます。
しつけ中にあくびが出たら――トレーニングの見直しポイント
しつけやトレーニングの最中にあくびが出る場合、多くは眠気ではなく「緊張」「混乱」「負担」を示すカーミングシグナルと考えられます(※1)(※2)。ベネッセは「怒られたときの緊張や謝罪の気持ち」であくびをすることもあるとし(※2)、アニコムも「叱られているとき」にあくびが出ると紹介しています(※1)。
次のような様子があれば、トレーニング方法を見直すタイミングです。
- コマンドが続くとあくびが増える
- 飼い主の声が強くなるほど、あくび・舌なめずり・体を震わせる行動が増える
- レッスンの途中で集中が切れ、ぼんやりしてしまう
その場合は、次のポイントを意識します。
- 難易度を下げる
「おすわり」1回できたらすぐ褒めて終わりにするなど、成功体験を増やす - 時間を短くする
1回5分以内を目安にし、こまめに休憩を入れる - 叱るよりも褒めるを増やす
失敗を責めるより、「できた瞬間」を見逃さずにご褒美をあげる - 環境を静かに整える
人通りや物音が少ない場所で練習し、慣れてきたら少しずつレベルアップする
「しつけ中のあくび」を責めたり無理に続けたりすると、トレーニングそのものが大きなストレスになります。一歩手前で切り上げ、「今日はここまで」にする勇気も大切です。
ストレスゼロは目指さなくていい――適度なストレスとの付き合い方
最後に意識しておきたいのが、「ストレスを完全にゼロにする必要はない」という点です。SBIいきいき少短は、犬のストレスについて「不快感を抱き、強いストレスを感じている時もあくびをします」としつつ、「できるだけストレスを取り除いてリラックスできる環境に整えてあげましょう」とまとめています(※4)。
ここで重要なのは、「できるだけ」という部分です。
どんな犬でも、次のような場面では少なからず緊張や不安を感じます。
- 初めての場所に行くとき
- 初対面の人や犬と会うとき
- 病院やトリミングに行くとき
こうした経験をまったくさせないと、いざというときに対応できず、かえって大きなストレスや危険につながることもあります。
一方で、アニコムが述べるように、不安や緊張の場面でのあくびは「やめてほしい」「落ち着いてほしい」という気持ちの表れでもあります(※1)。強いストレスが続く状態だけは避けるべきです。そのためにできるのは、次のような工夫です。
- 不安が強く出る場面は「短時間+ご褒美」で終わらせる
- 慣れてきたら、少しだけ条件をステップアップする
- 不調のサイン(食欲低下・下痢・嘔吐・自傷行為など)が出ていないか定期的にチェックする(※4)
「適度な負荷」と「安全な休憩」をセットにした生活を意識しましょう。
人と犬のあくびがうつる現象を調べた研究では、「人からイヌにうつるあくびには飼い主とイヌの絆が重要である」ことが報告されています(※5)。信頼関係が深いほど、人のあくびが犬に伝染しやすいという結果は、「日頃から安心できる関係を築くこと」がストレス対策の土台になるとも言い換えられます。
眠くなる場面ではないのにあくびをしている愛犬を見かけたら、「何が不安なのかな?」「どこがしんどいのかな?」と一度立ち止まって考えてみてください。原因を減らしつつ、スキンシップや遊び、無理のないトレーニングでストレスと上手に付き合える暮らしを整えていくことが、長く穏やかに過ごすための近道になります。
まとめ
犬のあくびには「眠い」以外にも、ストレスや緊張をやわらげるカーミングシグナル、相手を落ち着かせる合図、病気のサインなど、さまざまな意味があります。本記事では、シーン別の見分け方や、伝染するあくびと信頼関係の関係、危険なあくびのチェックポイント、ストレスを減らす環境づくりまで説明しました。
あくびの回数や状況、ほかの仕草も合わせて観察することで、愛犬の心と体の変化にいち早く気づけます。より安心で心地よいライフスタイルを整えていく助けにしてみてください。
よくある質問(FAQ)

Q1. 犬がよくあくびをするのはストレスがたまっているサインですか?
A. 必ずしも「ストレス=NG」というわけではありませんが、眠い場面ではないのに頻繁に出る場合はストレスサインの可能性があります。
犬のあくびには大きく4つの意味があります。
- 眠気・生理現象
- ストレスや緊張を和らげるカーミングシグナル
- 相手を落ち着かせたいときの合図
- 体調不良・病気のサイン
「ストレス由来かも」と考えた方がよいのは、次のような場面です。
- 叱られているとき、家の空気がピリピリしているとき
- 動物病院・トリミング・人混み・苦手な場所
- 知らない人や犬に囲まれているとき
- 撫でられていて、体が少しこわばっているのに何度もあくび
このようなシーンでのあくびは、「今ちょっとしんどい」「落ち着いてほしい」というカーミングシグナルの可能性が高いです。場所を変える、距離をとる、声のトーンを落とすなど、負担を減らす工夫をしてあげましょう。
Q2. 眠いときのあくびとストレスのあくびはどう見分ければいいですか?
A. 「出る場面」「体の力の入り方」「一緒に出ているしぐさ」をセットで見ると見分けやすくなります。
【眠気・リラックスのあくびの特徴】
- 寝る前・起きた直後・くつろぎ中など“眠気があって当然”のタイミング
- 体がゆるんでいる/横になっている
- しっぽ・耳が自然で、表情も柔らかい
- あくびが終わったら、そのまま眠りに入る・目がトロンとしてくる
【ストレス・緊張のあくびの特徴】
- 叱られている・知らない人や犬に囲まれている・病院の待合室など、眠い場面ではない
- 体が少し固い、耳が後ろに寝ている、しっぽが下がり気味
- 舌なめずり、体のブルブル、視線そらしなど他のカーミングシグナルも一緒に出ている
- 何度も連続してあくびを繰り返す
「状況+ボディランゲージ」で判断するのがコツです。迷ったら一度その場の刺激を弱めてあげると安心です。
Q3. 撫でているとき・甘えているときにあくびをするのは嫌がっているから?
A. 完全に「嫌」ではなく、“信頼しているけれど今は少ししんどい/がまんしている”という中間のサインであることが多いです。
なでられているときのあくびには、
- 飼い主のそばで安心して気持ちがゆるんだ結果のあくび
- 触られ方や時間が少し負担で、自分を落ち着かせるカーミングシグナル
という2つのパターンが混ざります。見分けるポイントは「手を止めたあとの反応」です。
- 手を止めたら、犬が頭や体を押しつけてきて「もっと」と催促する → 基本的には気持ちよく、接触自体は好き
- 手を止めたら、そのままスッと離れて寝床へ行く/体をブルブルして別の場所へ → 「今はもう十分」「少し疲れた」のサイン
あくびが出たら一度撫でるのを止めて、犬の動きを観察する習慣をつけると、ストレスをためにくいスキンシップがしやすくなります。
Q4. どんなときの犬のあくびなら「病院に行ったほうがいい」ですか?
A. 回数の急な増加に加えて、元気・食欲・呼吸・舌の色などに異常があるときは受診をおすすめします。
次のような“あくび+他の症状”があれば、様子見より早めの相談が安心です。
- ここ数日であくびの回数が明らかに増えた
- 食欲が落ちた/まったく食べない
- 下痢・嘔吐がある
- ぐったりしている、散歩や遊びを嫌がる
- あくびのあとも口を開けてハアハア苦しそうに呼吸する
- あくびのたびに痛そうな表情をする・鳴く
- 舌や歯ぐきがいつものピンクではなく、白っぽい/紫っぽい
とくに、舌や歯ぐきの色の変化、ふらつき・失神、呼吸の苦しさがある場合は緊急性が高くなります。動画を撮っておくと、獣医師に状態を説明しやすくなります。
Q5. 飼い主のあくびが犬にうつるのはストレスですか?それとも安心のサイン?
A. 研究では「親しい人ほど犬にあくびがうつりやすい」とされており、多くの場合は“絆や安心感”のサインと考えられます。
大学の研究では、「人からイヌにうつるあくびには飼い主とイヌの絆が重要である」と報告されています。家族など親しい相手のあくびほど犬にうつりやすく、人間の“共感のあくび”と似た現象と考えられています。
次のような状況なら、ストレスより「共感・安心」の意味合いが強いと考えられます。
- 飼い主がリラックスしているときにあくび → 犬もそばでのんびりしながらあくび
- 体も表情もゆるんでいる/しっぽも自然に下がっている
一方、叱られているときや怖がっている場面でのあくびは、ストレスを和らげるカーミングシグナルの可能性が高いので、場面ごとに意味を切り分けて考えることが大切です。
Q6. ストレスが原因のあくびが多いとき、家庭でできる対処法は?
A. 「原因を減らす」「発散させる」「しつけの負担を調整する」の3つが基本です。
【1. 原因を減らす】
- 苦手な場所・人・犬とは、短時間+ごほうびで少しずつ慣らす
- 叱る時間を短くし、大声より“静かな指示+ほめる”を増やす
- 撫でられてあくびが出たら、一度手を止めて様子を見てあげる
【2. 発散させる】
- 毎日の散歩で匂い嗅ぎの時間をしっかりとる
- 噛むおもちゃや知育トイで、留守番中や退屈な時間のストレスを解消
- 飼い主と落ち着いたトーンで触れ合う時間を増やす
【3. しつけ・トレーニングの調整】
- 1回5分程度の短時間で、簡単な課題から始める
- できたらすぐ褒めて終わりにし、「楽しく終わる」経験を積ませる
- あくび・舌なめずり・体のブルブルが増えたら、その日は無理をせず切り上げる
「ストレスゼロ」は不可能ですが、強いストレスが続く状態を避けることはできます。あくびを“イライラのサイン”ではなく、“今ちょっとしんどいよ”という小さな相談として受け止めてあげてください。
Q7. 声を出すあくびと、無言のあくびで意味は違いますか?
A. 厳密な線引きはできませんが、目安として「声あり=要求・かまって」「無言=自分を落ち着かせる・眠気」の傾向があります。
【声を出すあくびの傾向】
- 「フゥーン」「アゥ〜」など、こちらを見るようにしてあくび
- 暇そうにウロウロしている/ごはん・散歩の時間が近いとき
→ 退屈・かまってほしい・おねだりのサインであることが多い
【声を出さないあくびの傾向】
- 静かに大きく口を開けるだけ
- 眠いときの生理的なあくび
- 緊張・不安な場面で、自分や相手を落ち着かせるカーミングシグナル
いずれの場合も、「いつ・どこで・どんな表情とセットで出ているか」を見ることが重要です。場面によっては、声ありでもストレス(叱られた直後の「フゥーン」など)が混ざることがあります。
