メスの犬を飼うと、いつかは考えなくてはならない避妊手術。
初めて犬を飼った方にとっては、大切な愛犬に手術を受けさせることはとても不安ですよね。
避妊手術は決して強制されるものではなく、手術を受けるかどうかは飼い主さんの判断次第です。
どちらを選ぶにせよ、「やっぱりこうしておけばよかった……」と後悔することがないように、しっかりと決断する必要があります。
本記事では、避妊手術をする理由やしたくない理由について解説し、飼い主さんの決断をサポートします。避妊手術を迷っている飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
避妊手術とは?
避妊手術とは、メスの犬の子宮と卵巣を摘出する外科的な処置のことです。
動物病院によっては、卵巣のみを摘出する場合もあります。
避妊手術は、望まない妊娠を避けるために行われる大切な手術です。
手術の主な流れは、以下の通りです。
1.術前検査
2.全身麻酔
3.手術
4.術後管理
5.退院
6.抜糸
避妊手術は犬に全身麻酔をかけて、お腹を切開します。
犬のお腹を切開するので回復までに時間がかかり、一般的には手術後に1日入院をすることが多いです。
避妊手術を受けることで、生殖器に関わる病気の予防や発情の抑制、犬のストレスを減らすなどのメリットがあります。
避妊手術をする3つの理由
避妊手術には、以下の3つのメリットがあります。
手術を受けさせる場合は、ぜひ以下のメリットを参考にしてください。
発情期のストレスや不都合が避けられる
メスの犬は、発情期が年に1〜2回訪れます。
発情中は犬もストレスが溜まり、食欲の減少や落ち着きがなくなることがあります。
また、散歩中やお出かけの際にはおむつをつける、そして妊娠を望まな場合にはオス犬に近づけないなどの配慮が必要です。
特にドッグランやトリミング、ペットホテルなどの利用はほかの犬とのトラブルにつながることがあるので、利用を避けなければいけません。
しかし、避妊手術を受けることで犬は発情することがなくなります。
そのため、犬のストレスや飼い主の負担も減らすことができるでしょう。
予定していない妊娠が避けられる
避妊手術を受けることで、予定していない妊娠を避けることができます。
発情期の間は、オスの犬を興奮させてしまうことがあるので、公園やドッグランは避けなければいけません。
散歩ルートも、できるだけほかの犬と会わないように変更する必要があるでしょう。
しかし、避妊手術を受けて妊娠の可能性がなくなると、いろいろな犬と気兼ねなく遊ばせてあげることができます。
たくさんの犬と関わることができるので、ほかの犬や飼い主との交流も増えて、散歩やお出かけが楽しくなります。
シニア期の病気のリスクが下げられる
避妊手術で、シニア期の病気のリスクを下げることもできます。
犬はシニア期を迎えると、生殖器系の病気にかかるリスクが大きくなります。
シニア期には、特に以下の病気に気をつけなければいけません。
・子宮蓄膿症
・乳腺腫瘍
・卵巣腫瘍
特に子宮蓄膿症は命のかかわる病気で、細菌感染によって子宮内に膿が溜まります。
細菌の毒素で血栓ができる、腎不全を起こすこともあり、犬の健康のためにも発症を避けたい病気です。
これらの病気の予防には、避妊手術が最も効果的です。
将来起こる可能性がある病気を予防できることは、避妊手術の大きなメリットであるといえます。
避妊手術をしたくない理由
避妊手術は、メリットだけではなくデメリットも存在します。
メリットやデメリットを総合的に考えて、避妊手術を受けない選択をする飼い主もいます。
では、一体どのような理由で避妊手術を受けない選択をするのでしょうか。
ペットがかわいそう
犬に避妊手術を受けさせない理由として、「かわいそうだから」という声がよくあげられます。
手術中は、全身麻酔によって犬が痛みを感じることはありませんが、お腹を切開するので犬への負担が大きいです。
また、手術後に麻酔が切れた後も、犬に痛みがないとは言い切れません。
ほかにも「生まれたままの自然な状態で生活させてあげたい」という飼い主の願いも、避妊手術をしたくない理由としてあげられます。
全身麻酔のリスクが不安
避妊手術のメリットはわかっていても、全身麻酔のリスクが不安で手術を受けさせられないという飼い主も多いです。
犬は体が小さければ小さいほど、より全身麻酔のリスクが大きくなる傾向があります。
しかし、人に使用される麻酔と同じく、100%完全に安心できる麻酔は存在しません。
そのため、麻酔のリスクを完全に解消することは難しいでしょう。
動物病院では、麻酔後も手術中も常に犬の状態を獣医師が確認しながら手術を行っているので、緊急時にも早急に対処できます。
信頼できる獣医師を見つけることで、全身麻酔のリスクへの不安は解消できる可能性があるでしょう。
太りやすくなる
犬は避妊手術を受けると、代謝が落ちて太りやすくなります。
なぜなら、子宮や卵巣がなくなることで、生殖機能の維持に使っていたエネルギーの消費がなくなるからです。
また、手術後は犬の食欲が増加することもあります。
「太りやすくなるから避妊手術は受けさせたくない」という飼い主も多いようです。
代謝が落ちることを防ぐのは難しいですが、手術後の体重コントロールで犬が太らないようにすることは可能です。
後悔しないためにできる4つのこと
避妊手術は犬に全身麻酔を行うため、麻酔のリスクがあることも考えなければいけません。
麻酔だけではなく、手術自体もお腹を切開するので犬への負担が大きいです。
しかし、避妊手術はリスクだけではなく、犬の病気を予防できるなどのメリットがあります。
手術を受ける、受けないのどちらを選んだとしても、後悔しないようにしっかりと情報収集を行いましょう。
自分の選択を後悔しないためにも、以下の4つの行動をおすすめします。
①信頼できる獣医師を選ぶ
獣医師は、避妊手術の時だけではなく犬の一生の伴走者となる存在です。
犬も一生の間で体調を崩したり、時には病気にかかることもあるかもしれません。
そういった場合に備えて、かかりつけ医を見つけておくとよいでしょう。
信頼できる獣医師には、安心して愛犬を任せられます。
信頼できる獣医師かどうか、飼い主さんがしっかりと判断しましょう。
②避妊手術の内容確認と相談する
避妊手術は、子宮と卵巣の全摘出が一般的です。
しかし、動物病院によっては卵巣のみを摘出する場合もあります。
そのため、手術内容については相違がないように確認が必要です。
避妊手術の内容・方法・術後のケアについて納得できるまで説明を受け、気になることはすべて相談しましょう。
③術前術後の体調管理をする
避妊手術を受ける場合は、術前・術後の体調管理はしっかり行うようにしましょう。
手術を受ける前には術前検査があるので、もし犬の体調に異変があれば手術は受けられません。
手術後は犬の体力も落ちているので、体調管理・ケアが必要です。
手術前に気になることがあれば、些細なことでもよいので獣医師に伝えましょう。
④愛犬のライフプランを考える
避妊手術をすると、手術以降は出産ができなくなります。
一度手術を受けるとやり直しはできません。
そのため、犬の繁殖を望むのであれば、避妊手術は受けるべきではないでしょう。
繁殖をするか迷っている場合は、時間をかけてじっくり考える必要があります。
将来、繁殖を希望するかしないかは、飼い主がしっかりと考えましょう。
まとめ
避妊手術で後悔しないためにできることや、手術をしない理由、する理由を紹介しました。
避妊手術は、犬の一生に関わる大切なことです。
発情期には犬もイライラしたり、情緒不安定な状態が続きます。さらに人間とは違い、犬には閉経がありません。
もし避妊手術を受けない場合は、発情期の問題と一生付き合っていかなければならないといえるでしょう。避妊手術を受けるメリットとデメリットを比べて、愛犬にとってどんな一生を過ごさせてあげたいのかを考える必要があります。
どのような選択をするとしても、後悔がないようにじっくりと情報を集め、獣医師とも話し合って決断しましょう。