知っておきたい! 保健所に収容された犬や猫の現状と助け方

保健所に収容された犬や猫の現状をご存知でしょうか。実は、毎年8万頭以上の犬や猫が保健所に収容されてます。

「飼い主から保健所へ引き取り依頼があった」
「迷子になってしまった」

など、犬や猫が保健所に収容される理由はさまざまです。

もし、自分の愛犬が迷子になってしまったらどうなるのでしょうか。

運良く誰かに保護されて、無事に見つかるかもしれません。しかし、場合によっては自治体の保健所や動物愛護センターに連絡されることもあります。「そのまま見つけてあげることができなかったら……」と考えると、とても不安になりますよね。

保健所に収容された犬・猫を助けてあげるには、保健所から引き取って保護する動物を保護する活動を支えるなどの方法があります。

本記事では、保健所に収容された犬・猫の現状と、助ける方法を詳しくご紹介します。「保健所から犬や猫を引き取りたい」「力になりたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

知ってほしい保健所の犬・猫の現状

保健所に収容された犬・猫は、一体どのような理由で収容されているのでしょうか。そして、どのくらいの助けられる命があるのでしょうか。

ここからは、保健所に収容された犬や猫の現状を詳しく解説します。

保健所に引き取られる動物たちの理由

保健所には、主に以下の種類の動物たちが収容されています。

  • ウサギ
  • セキセイインコ
  • フェレット
  • ハムスター

そして動物たちが収容されている理由は、

  • 飼育することが難しくなり飼い主に預けられた
  • 飼い主に捨てられていた
  • 迷子として保護されている

などがあげられます。

さまざまな理由で保健所に収容されている動物たちですが、実は飼い主の都合による飼育放棄は「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」「終生飼養」という考えに反することをご存知でしょうか。

1973年に制定された「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」では、飼い主は「できる限り当該動物がその命を終えるまで適切に飼養することに努めなければならない。(終生飼養)」と定められています。

そのため、飼い主はペットがその命を終えるまで飼育環境を整えることに努めなければいけません。今後、さらに終生飼養の考え方が広まることによって、保健所に引き取られる動物たちの数を減らす効果が期待できるでしょう。

そして、保健所や動物愛護センターによっては動物の命を守って譲渡につなげる活動を積極的に行っているところもあり、保護された動物たちの殺処分ゼロを達成している地域もあります。

たとえば、神奈川県では令和2年度までの間に犬は8年間、猫は7年間の殺処分ゼロを継続しています。

(出典:神奈川県記者発表資料

数字で見る保健所へ収容される犬や猫

ここで、保健所へ収容される犬や猫の数を見てみましょう。

以下は、環境省自然環境局が発表している犬・猫の引き取り及び負傷動物などの収容状況です。(対象期間:平成31年4月1日~令和2年3月31日)

(引用:環境省自然環境局「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」)

数字で見ると、保健所へ収容される犬や猫はほとんどが所有者不明です。しかし、飼い主から保健所に引き取りを依頼する割合が犬は10%猫は20%あることがわかります。

そして全体としては猫の数が多く、特に幼齢の猫が多いです。

助けられる命は10,000頭以上

続いて、保健所で殺処分される犬や猫の数を見てみましょう。

①譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等) 

②①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難) 

③引取り後の死亡

(出典:環境省自然環境局「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」)

グラフを見ると、犬よりも猫の殺処分が圧倒的に多いです。

そして、健康上や飼育上に大きな問題はなく、救える可能性があるのに救えなかった②の犬・猫の数は合計12,011頭。改めて数字で見ることで、助けられる命は10,000頭以上もあることがわかります。

行政の施設に収容されている犬・猫の助け方

ここからは、保健所や動物愛護センターなどの行政の施設に収容されている犬・猫の助け方を詳しくご紹介します。

基本的に、行政の施設に収容されている犬・猫を引き取りたいときは、まずは施設に問い合わせを行いましょう。そして、施設の里親応募条件に合致しているかを確認する必要があります。

里親応募条件としてよく提示される条件は、

  • 引き取り手が成人であること
  • 家族全員が動物の飼育に同意していること
  • 集合住宅の場合は動物の飼育が認められていること

などがあげられます。

施設によって里親応募条件は異なるので、事前に必ず確認しておきましょう。

保健所の場合

地域の保健所で保護されている犬や猫の情報は、インターネットで公開されています

たとえば、環境省自然環境局の「収容動物検索情報サイト」では、全国の保健所に保護されている犬・猫の情報を掲載。各自治体の譲渡会や取り組みについても紹介されています。

保健所にいる犬・猫を引き取るためには、まずは引き取りたい子を探します。そして、自治体の保健所に問い合わせをしましょう。

保健所からの犬・猫を引き取りは、主に以下の流れで行われます。

1.譲渡前に、適切な動物の飼い方などの情報を伝える講習会を受講。

2.犬・猫を引き取るために飼い主の情報を登録。

3.引き取りたい犬・猫との相性確認や、職員との面談を受ける。

4.譲渡申し込み。

5.犬・猫を引き取る。(家庭訪問や飼育環境の確認が行われる可能性もある)

まずは情報サイトから引き取りたい犬・猫を探して、保健所に問い合わせてみましょう。

動物愛護センターの場合

保健所と同じく、動物愛護センターの場合も環境省自然環境局の「収容動物検索情報サイト」などで保護された犬・猫の情報が公開されています。

動物愛護センターから犬・猫を引き取る場合も、まずは引き取りたい子を探しましょう。その後、気になる子を見つけたら自治体の動物愛護センターに問い合わせを行います。

そして、動物愛護センターから犬・猫を引き取る流れも保健所と同じです。

1.譲渡前に、適切な動物の飼い方などの情報を伝える講習会を受講。

2.犬・猫を引き取るために飼い主の情報を登録。

3.引き取りたい犬・猫との相性確認や、職員との面談を受ける。

4.譲渡申し込み。

5.犬・猫を引き取る。(家庭訪問や飼育環境の確認が行われる可能性もある)

情報サイトから引き取りたい犬・猫を探して、自治体の動物愛護センターに連絡しましょう。

保護動物の現状をもっと知りたい人へ

保護動物の現状をもっと知りたい方には、以下の2つの活動がおすすめです。

・保護動物の今がわかるマンガを読む

・動物を保護する活動を支える

保護動物の今がわかるおすすめマンガ

保護動物の現状をもっと知りたい方には、『しっぽの声』というマンガがおすすめです。

(出典:Amazon

『しっぽの声』とは、「ペット流通の闇」がテーマの作品。ペットショップで売れ残った動物たちがどこへ行きどのように扱われるのかなど、これまでにあまり意識されることがなかったペット流通の闇が描かれています。

『しっぽの声』を読むことで、現実では動物たちに何が行われているのか、そして保護動物たちの現状を知ることができます。

動物を保護する活動を支える

「保健所の犬や猫を引き取りたいけど、一緒に暮らせる環境ではないので難しい……」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

保健所に収容された犬や猫を引き取ることだけが、保護動物を助けられる方法ではありません。動物を保護する団体への寄付ボランティアなどで、動物の保護活動を支えることが可能です。

たとえば「公益財団法人 日本動物愛護協会」や「公益財団法人 どうぶつ基金」では、犬や猫の保護活動を支援するための寄付を受け付けています。

そして、保護施設で犬の​​簡単なしつけを行うボランティアなどを募集している団体もあります。ボランティアの募集情報は、インターネットで公開されていることが多いです。

無理のない範囲でできる支援から始めて、動物の保護活動を支えていきましょう。

まとめ

一昔前までは、保健所に収容された犬や猫のほとんどが殺処分されていました。しかし、現在は少しずつではありますが、殺処分される犬・猫の数は減っています。

これは、動物愛護センターやボランティアの人々の努力と、保護犬や保護猫を飼いたいと考えている人が増えていることの成果ではないでしょうか。

一方で、飼い主が保健所に犬・猫の引き取りを依頼するケースもあります。

コロナ禍でライフスタイルが変わり、保護猫や保護犬を家族に迎えようと考える人が増えてきました。もし本当に家族に迎えようとするときは、思い付きではなくこうした現状を正しく理解して、大切な家族として迎えてあげたいですね。

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