愛犬に与えるご飯は、ドッグフードにしているという飼い主さんも多いかと思います。
ドッグフードは、水分量によって、「ドライ」「セミモイスト、ソフトドライ」「ウェット」の3種類に分けられます。
特に、カリカリと食べ応えがありそうなドライのドッグフードは、未開封での長期保存が可能で、使いやすいという特徴があります。
まだ硬いドライフードを食べられない消化器官が未熟な仔犬にも、ふやかしてあげれば、消化吸収がしやすくなり、与えられます。
さらに、身体が大きくなって、ドライのまま食べられるようになったら、同じドッグフードをそのまま与えられるので、慣れたフードで移行できます。
また、ダイエット中の子には、少ない量で満腹感が得られるなどのメリットもあります。
この記事では、ドッグフードの正しいふやかし方とふやかすメリットについてご紹介します。
ドッグフードをふやかすべき犬はこんな犬
消化器官の未発達な仔犬、噛む力が弱くなったり、消化機能が低下してきたりした老犬には、
ふやかしたドッグフードを与えてあげることをおすすめします。食べやすくなるだけでなく、消化吸収しやすくなります。
特に仔犬の場合、乳歯が生えそろう生後3か月ぐらいまでは、ふやかして食べさせてあげると良いでしょう。また、食欲が落ちているときや療養中のときは、ふやかすことで食べやすくなり、食べがすすむことがあります。夏の暑い時期で、水分をしっかりとる必要がある時には、特に有効です。
逆に、ダイエット中のときは、ふやかすことでドッグフードが膨らみ、少ない量で満足感が得られる効果があります。
ドッグフードをふやかす3つのメリット
健康な犬に与えるドッグフードを敢えてふやかしてあげる必要はありません。
ただし、若い犬でも、夏バテや胃腸の調子が良くないなど、体調を崩すことで食欲が落ちることがあります。
そんなときには、ドッグフードをふやかしてあげるのも対処方法の一つです。
では、ドッグフードをふやかしてあげることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
風味や香りが増す
愛犬の食が細いことを悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
うま味の凝縮されたドライのドッグフードは、ふやかすことで、風味や香りが強くなります。さらに、フワッとやわらかい肉のような食感になり、食欲が刺激されるため、ドライのまま与えるより、食欲増進効果が期待できます。
このように、ドライフードが苦手な子も、食欲が落ちている子も、「ふやかす」ひと手間で、食べるようになってくれたり、食べる量が増えるようになったりするのです。
消化吸収が良くなる
ドライのドッグフードも、ふやかすことで水分を含み、柔らかくなります。
柔らかくすることは、単に食べやすくなるだけでなく、胃腸に優しく、消化吸収も良くなり、より多くの栄養素が摂取できるようになります。
また、特にまだ食べるのが上手でない仔犬、噛む力の弱くなった老犬などは、ドライのまま与えてしまうと喉に詰まったり、誤嚥してしまったりする恐れもあるため、ドライのドッグフードはふやかして与えてあげるとよいでしょう。
水分補給ができる
胃腸の機能が低下していると、食が細くなるだけでなく、水分もあまり摂らなくなることがあります。
夏の暑い季節や病気療養中など、十分な水分摂取が必要になるようなときは、お水をそのまま与えるだけでなく、ドッグフードもふやかして与えてあげるとよいでしょう。
ふやかすことで食べやすくなり、栄養が取りやすくなるだけでなく、水分も同時に摂取できるので、水分補給にはとても効率的な方法です。
ドッグフードをふやかす3つのデメリット
ドッグフードをふやかすことは、消化吸収が良くなり、水分補給にも有効で、体力のない犬にはとても
メリットの多い方法です。しかし、健康な犬にとっては、必ずしもメリットばかりではありません。
では、ドッグフードをふやかしてあげることに、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
歯周病の原因となる可能性がある
ドッグフードは、ふやかすことで柔らかくなり、歯につきやすく、そのままにしておくと、歯石ができやすくなったり、歯周病を発生させたりする可能性があります。
人間と同じように、犬の場合も、歯周病などで口内環境が悪くなると、噛む力が低下するだけでなく、
他の病気を発生させたりする恐れもあり、健康上よくありません。
そのため、ふやかしたドッグフードを食べさせた後は、歯磨きや布で拭いてあげるなどのケアをしてあげるようにしましょう。
時間がかかる
ドライフードをふやかす場合、当然、そのまま与えるよりも与えるまでに時間がかかります。
この待ち時間を我慢できない犬もいます。
特に食欲旺盛で、元気な成犬に与えるドッグフードは、わざわざふやかす必要はありません。体調が良くないとき、食欲がないときの手段として考えましょう。
噛む力が弱くなってしまう
犬は、強い顎が特徴の生き物です。
しかし、毎日柔らかいものばかり食べているような生活では、当然、噛む力も弱くなってしまいます。
嚙む力が弱くなることが、病気を発生させる原因になる場合もあるので要注意。
健康な犬に、常にふやかしたドッグフードを与えることは避けましょう。
ドッグフードの正しいふやかし方
ここまで見てきたように、愛犬にふやかしたドッグフードを与えるときは、体調がよくなかったり、食欲がなかったりと、主に元気のないときです。
元気のない愛犬に与えるフードは、少しでもおいしく食べてもらいたいものです。では、おいしく食べてもらうためには、どのようにふやかしてあげたらよいのでしょうか。
ここでは、ドッグフードの正しいふやかし方について、ご紹介します。
ぬるま湯でふやかす
ふやかす際、お湯の温度が高すぎると、せっかくの栄養素が壊れてしまうことがあります。
沸騰したお湯ではなく、40~50℃ほどに冷ましたぬるま湯でふやかすようにしましょう。
ドッグフードにお湯を入れて10~15分置きます。もしも、柔らかさが足りないと感じるときは、もう少し時間を置きましょう。なお、ドッグフードの種類や硬さの好みによって、ふやかす時間は変わってきます。
常に、様子を見ながら調整してあげてください。
細かく砕いてふやかす
ドッグフードは、あらかじめフードプロセッサーやミキサーを使って細かくしておくと、
水分が浸透しやすくなり、ふやかす時間も短くなります。また、口の小さい仔犬や小型犬、あまり口を大きく
上げられないときなどは、細かくしてあげることで食べやすくなります。
ドッグフードをふやかす時に覚えておきたい3つの注意点
ドッグフードをふやかしてあげるときは、主に、愛犬の体調が良くないとき、食欲がないときなどです。
飼い主さんも、ふやかすことで消化吸収を良くし、愛犬が少しでも多くの栄養や水分を補えることを
期待して与えるでしょう。
ここでは、ドッグフードをふやかすことのメリットを損なわないようにするための注意点を3点ご紹介します。
熱湯は使わない
ドッグフードに含まれるビタミンなどの栄養素は、特に熱に弱く、熱湯を使用すると、せっかくの栄養素が壊れてしまう恐れがあります。栄養素を壊さないためにも、一度沸騰したお湯は、必ず白湯ぐらいの温度まで冷まして使用します。
また、熱湯でふやかしたドッグフードの場合、熱い状態のまま愛犬に与えてしまうことになります。
やけどの危険もあるので、ふやかすお湯の温度には、十分に気を付けましょう。
ふやかした時のぬるま湯は一緒に与える
ふやかしたときの水分には、ドッグフードの栄養素が溶け出しているので、捨ててしまうのは非常にもったいないです。
成長促進や健康維持のためにも、残った水分は、栄養たっぷりのスープとして、フードと一緒に与えてあげてください。
1回分だけをふやかす
ドライのドッグフードの特徴は、水分が少なく保存期間が長いことです。
ドッグフードをふやかすことで、大量の水分を含みます。水分を含むと、雑菌が繁殖しやすくなり、
通常より劣化が早く進むようになります。
ふやかしたドッグフードは作り置きせず、その都度、1回分だけを作るようにします。
また、食べ残したからといって、次の食事として与えることもしないようにしましょう。
まとめ
ドッグフードをふやかしてあげることは、次のようなことを解決する手段として有効です。
- 仔犬、老犬、消化機能や体力の低下した成犬が、栄養や水分を取れるようにすること
- 食欲旺盛すぎてダイエットが必要な犬が、少ない食事で満足感を得られるようにすること
健康な成犬にとっては、決して、良いことばかりではありません。
今回挙げたように、ふやかしたドッグフードは、歯に残りやすく、口腔内にトラブルが起こることもあります。また、柔らかいものばかり食べていると、顎や口回りの筋肉が発達せず、健康を害することも考えられます。
愛犬の状況に応じて、加減しながら与えてみましょう。
なお、ふやかしたドッグフード与えるときは、お口のなかのアフターケアもセットにしてあげましょう。
愛犬がドッグフードを思うように食べてくれないことは、飼い主さんにとって、とても心配なことです。
食が細い、体調が良くないといったときは、是非、試してみてください。