はじめて子犬を迎えるときは、嬉しい気持ちと同時に、さまざまな心配や不安もあるのではないでしょうか。
たとえば、
- 餌はどのくらいの頻度でどのくらいの量を与えれば良いのか
- どのように与えてあげるのがよいのか
- そもそもどのような餌を選んだらよいのか
など、ご飯の与え方や選び方もその一つでしょう。
餌の適量や選び方は、愛犬の犬種や子犬の体質、生活環境などによっても変わるものですが、基準を知ることは、子犬の健康と成長にとって大切なことです。この記事では、子犬期の適切な餌の量や与え方、餌の選び方について解説します。
子犬の餌の量、回数、与え方を知ろう
急激に成長する子犬期は、生涯でもっとも摂取カロリーを必要とする時期です。
人間の場合でも、食べ盛りの子どものダイエットは身体や成長に良い影響を与えないといわれるように、犬の場合も、太りやすい犬種だから、去勢や避妊手術をしたから、サイズが大きくなると困るからといって、子犬期に餌の量を抑えるのは良いことではありません。
生後1歳頃までは、肥満になるなどと考えず、骨や筋肉や体の組織が健全に発育できるよう、しっかりと栄養のサポートすることがもっとも大切です。では、適正な餌の量や餌の与え方とは、どのようなものなのでしょうか。
子犬にとって適切な餌の量は?
子犬の成長がゆるやかになる生後5カ月過ぎまでは、ドッグフードは計量せず、子犬が軟便にならない範囲で食べたいだけ与えるというブリーダーさんも少なくありません。しかし、ドッグフードの栄養バランスはそれぞれ異なるため、基本は、パッケージに記載されている量を元に与えるようにしましょう。
ドッグフードの量の基準は、一般的に成犬時の体重を元に決めていきます。
なお、成犬時の体重をもとにした月齢ごとの餌の量の基準は、次のとおりです。
▼成犬時の体重をもとにした月齢ごとの1日の餌の量
月齢 | 超小型犬(成犬時1~5㎏) | 小形犬(成犬時5~10㎏) | 中型犬(成犬時10~25㎏) |
---|---|---|---|
2~3ヵ月 | 60~70g | 140~150g | 210~220g |
4~5ヵ月 | 80~90g | 160~170g | 230~240g |
6~7ヵ月 | 90~100g | 175~185g | 250~260g |
8~9ヵ月 | 80~90g | 160~170g | 230~240g |
10~11ヵ月 | 60~70g | 150~160g | 220~230g |
12~13ヵ月 | 60~70g | 160~170g | 210~220g |
子犬のうちは成犬よりも体内の水分量が多いため、生後4カ月頃までは、全体的にぽっちゃりしているように感じられる体格で問題ありません。むしろ、身体を触ってみて、背骨や肋骨や腰骨が明らかにわかるようであれば、痩せていると考えられるため要注意です。
特に子犬期は、ワクチン接種時や、フィラリアやノミやダニの予防薬をもらいに行くようなときにでも、体重や体格が適正かどうかを獣医師さんにこまめにチェックしてもらうことをおすすめします。
子犬の成長段階に合わせた餌の回数は?
子犬の1日の食事の回数は、3~5回といわれています。子犬期は、消化器官が未発達のため、一度に食べられる量が少なく、1日に必要な餌の量を与えるためには、食事の回数で調整してあげる必要があります。
なお、月齢ごとの餌の回数の目安は、次のとおりです。
▼月齢ごとの1日の餌の回数
月齢 | 回数 |
---|---|
3カ月まで | 1日5回程度 |
4・5カ月 | 1日4回程度 |
6カ月〜1年 | 1日2〜3回 |
さらに、子犬は、空腹が原因で低血糖症を起こしてしまうことがあり、常に糖が不足しない状態にするためにも、こまめに食べさせてあげることが重要です。
子犬の規則正しい食習慣を身につけてもらうには?
子犬期は、しっかりと食べて栄養状態をよくするのはもちろんのこと、規則正しい食習慣を身に着つけることも大切です。食事の時間や場所を覚えさせるためにも、餌は、いつも同じ場所、同じ時間、同じボウルを使って与えるようにします。
なお、餌が15〜20分以上放置されているような場合は、たとえ食事に口をつけなくても片付けましょう。こうすることで、食事は飼い主さんが決めた時間にとるものだと認識させることができます。
犬の食欲は日によって変わることも多いので、用意した餌をすべて食べなくてもあまり心配する必要はありません。大切なのは食事の習慣です。きちんと時間や場所などを決め、固定的なサイクルで食事を摂る習慣があれば、次第に、そのサイクルのなかで空腹を満たしていくようになります。
子犬の餌が適正でない場合に起こること
与えた餌が適正でない場合、下痢をしたりするなど、便に変化が現れます。
たとえば、ヒツジやウサギの便のように、小さく固いコロコロとした塊状の便の場合は、餌や水分が足りない可能性が考えられるため、便の様子を見ながら給与量や回数を調整する必要があります。
また、逆に便がゆるくなるようであれば、1回の餌の量が多いために消化不良を起こしている可能性が考えられるため、1回の餌の量を減らすなどして調節します。
さらに、餌と餌の間隔が長く、空腹になってしまっているような場合は、胃液を吐いてしまうこともあります。そのようなときは、餌から餌までの間隔を短くしてあげましょう。
子犬の餌を選ぶときのポイント
1歳頃までは、子犬期に必要な栄養素が十分に含まれている「子犬用」のドッグフードを与えましょう。
特に、フードのパッケージに「総合栄養食」と書かれたものは、三大栄養素と呼ばれる「炭水化物」「脂肪」「タンパク質」のほか、犬に必要なビタミンやミネラルがバランス良く配合されており、サプリメントなどで栄養素を補う必要がありません。
また、ドッグフードは、質も重要です。粗悪な原材料や過度な添加物を使ったドッグフードは、ガンなどの病気の原因になるといわれています。そのため、良質なフードを選ぶのがポイントです。使用されている原材料の質を考えると、最低でも1kgあたり1,000円以上のドッグフードを選ぶと良いといわれています。
餌選びに加え、さまざまな種類のフードに慣れさせてあげることも大切です。
メーカーやタンパク源の異なる3種類くらいのドッグフードに慣れさせてあげると、食の偏りを防ぐことができます。
たとえば、常に同じフードしか食べていない場合、アレルギーや病気が見つかったときの療法食や災害時に避難先などで提供されるフードが食べられないという可能性もあり、もしものとき、愛犬につらい思いをさせてしまう恐れがあります。
なお、新しいフードに変更する場合は、いきなり変えてしまうと体調を崩す可能性があります。新しいフードに切り替えるときは、これまでのフードに混ぜて与えながら、1週間ほどかけて、徐々に新しいフードの割合を増やしていくようにしましょう。
乳歯が生え揃うまで餌をふやかす必要がある
餌の与え方として、特に注意が必要なのが、乳歯が生え揃うまでの期間です。
乳歯が生え揃うまでは、硬いドライフードを食べられません。また、その頃は消化器官が未熟なため、消化吸収をしやすくするためにも、餌はふやかして与えるようにします。
ドライフードは、目安として指で潰してみて芯が残らない程度までふやかします。だんだんと乳歯が生えて来たら、少し芯が残る程度にします。なお、ドッグフードは熱湯でふやかすと、栄養素が壊れてしまう危険性があるため、ぬるま湯か常温の水で、時間をかけてふやかすようにしましょう。
また、ミネラルウォーターはNGです。犬は人間ほどミネラルを必要としません。犬がミネラルを摂りすぎると、尿路結石などの病気の原因になるので注意してください。
消化機能や咀嚼力が発達してきたら、もう、ふやかす必要はありません。個体差はありますが、だいたい生後4カ月以降には、ドライフードのまま与えられるようになります。
まとめ
生涯でもっとも多くの摂取カロリーを必要とする子犬期は、ライフステージにマッチした餌をしっかりと食べさせてあげることが大切です。
子犬期の食事は、今後の成長に影響を及ぼす可能性があります。あまり食事を摂らならかったり、体重がなかなか増えなかったりした場合、逆に、太り過ぎが心配というような場合には、速やかに獣医師さんに相談しましょう。特に子犬期は、動物病院で適正体重をこまめに確認してもらうと安心です。
愛犬が常にベストな栄養状態でいられるよう食事を正しく管理し、食習慣を身につけさせてあげながら、健全な発育を促してあげてください。