「犬の耳に茶色く汚れた耳垢がついている」
「犬の耳から気になる臭いがする」
このように愛犬の耳に普段とは違う耳垢がついていたり、気になる臭いがすると、病気なのではないかと不安になりますよね。
普段から愛犬の耳のケアをしている飼い主さんは、より不安になるのではないでしょうか。犬の耳に茶色い耳垢がついていると、耳の中でトラブルが起きている可能性が高いです。
耳垢が茶色くなる時に考えられる原因を知っておくと、動物病院の受診の目安や適切な対処につながります。
本記事では、犬の耳垢が茶色くなる原因や、普段から気をつけておくことについて解説します。
なぜ犬の耳垢が茶色くなるのか
犬の正常な耳垢は、白色〜乳白色、もしくは薄茶色です。
臭いはほとんどなく、量も少量でべたついていることもありません。
しかし、茶色い耳垢は臭いがあることが多く、質感もべたついていることが多いです。
明らかに通常の耳垢とは異なる茶色い耳垢ですが、なぜ耳垢は茶色くなってしまうのでしょうか?
人とは違う耳の構造が関係している
犬の耳は外耳・中耳・内耳の3つに分かれています。
外耳から鼓膜につながる外耳道は、人の場合は鼓膜まで水平にまっすぐ一直線です。
しかし、犬の外耳道はL字型に曲がっていて、奥まで見えない構造になっています。
そのため、日頃のシャンプーや水遊びで耳の奥まで水が入ってしまうと、そのまま水が抜けづらい状態になるのです。
耳の中の汚れが取れにくい構造なので、犬の耳はさまざまなトラブルを抱えがちです。
耳トラブルが起こることで茶色になる
耳トラブルが起こると、耳垢は普段より茶色になりやすいです。
特に以下の犬種は、耳トラブルが起きやすいといわれています。
- 垂れ耳の犬種
- 耳毛が多い犬種
- 耳道の狭い犬種
これらの犬種は、耳の構造的にほかの犬種よりも耳の中が汚れやすいです。
特に垂れ耳や耳毛が多い犬種は耳の中が蒸れやすく、汚れによって炎症が起こることもあります。
耳の中が汚れていると、普段は犬の健康に問題がない「マラセチア」という常在菌が増殖することがあります。
マラセチアが増殖すると、濃い茶色の耳垢が急激に増えて外耳炎を発症することもあるので、耳トラブルはできるだけ避ける必要があります。
トラブルが起こる3つの原因
耳のトラブルが起こる原因は、以下の3つです。
- 暑さや湿気で蒸れる
- 耳垢がたまりやすい、皮脂が多い
- 異物が入り込む
暑さや湿気で蒸れる
暑さや湿気で耳の中が蒸れることで、耳のトラブルが起きやすくなります。
暑さや湿気で蒸れやすいのは、以下の犬種です。
- 垂れ耳の犬種
- 耳毛が多い犬種
実は犬の耳は犬種に関係なく、耳の構造から耳の中はとても蒸れやすい環境になっています。
犬の耳の中は蒸れやすいので、細菌が繁殖しやすい環境です。
さらに垂れ耳の犬種は、耳が蓋のように外耳道を閉じてしまっているので、なおさら蒸れやすくなります。
耳毛が多い犬も、耳毛によって耳の中が蒸れやすいので、定期的に耳毛をカットしてあげる必要があります。
これらの犬種は、特に梅雨や夏などの蒸れやすい時期は耳のケアをしっかりと行いましょう。
耳垢がたまりやすい、皮脂が多い
耳道が狭く耳垢がたまりやすい犬種は、耳のトラブルが起きやすいでしょう。
耳道が狭い犬種は以下の通りです。
- パグ
- ブルドッグ
- フレンチ・ブルドッグ
これらの犬種は耳道が狭く、鼓膜に近づくにつれて耳の穴は狭くなっています。
さらに皮脂が多いこともあり、ほかの犬種に比べて耳が汚れやすいです。
定期的な耳のケアで、清潔な状態を保ってあげましょう。
異物が入り込む
耳の中に異物が入り込むと、耳のトラブルを起こす可能性があります。
たとえば散歩などに草むらの中に入ると、植物の種や虫が耳の中に入り込むことがあります。
ほかにも、犬自身の被毛が耳の中に入ってしまうこともあるでしょう。
これらの異物は鼓膜を刺激したり、外耳道が赤く腫れて炎症を起こす場合があります。
耳の中の異物は飼い主が取ることは難しいので、動物病院で取り除いてもらわなければいけません。
もし犬が耳を気にしていたり、頭を振ることが多ければ異物が入り込んでいる可能性があります。
犬の様子がおかしければ、早めに動物病院を受診しましょう。
普段から気を付けることは?
普段の耳のケアは、以下の2つを気を付けるとよいでしょう。
- 耳毛の定期的なケア
- 耳掃除は目に見えている部分だけを優しく行う
耳毛の定期的なケア
全身に毛が長く伸びている犬種は、耳の中の毛も多い傾向があります。
耳毛が多いと耳の中が蒸れやすくなるので、定期的なケアを行いましょう。
もし飼い主が耳毛をカットする場合は、犬の耳は小さいので人の眉毛カット用のハサミを使用することをおすすめします。
犬はじっと大人しくするのはできないことが多いので、できれば2人で作業を行うとよいでしょう。
1人は犬の体を抑えて、もう1人は耳毛のカットをします。
自分で犬の耳毛をカットするのは難しいと感じる場合は、トリミングサロンで耳毛のカットをお願いするとよいでしょう。
プロに頼んで定期的に耳毛をカットをしてもらい、耳の通気性を良くしてあげると、耳を清潔な状態に保つことができます。
しかし、耳毛を処理しすぎるとかえって耳の衛生状態が悪くなることがあります。
耳毛の処理を行う場合は、獣医師に相談して耳毛をカットした方がよいか確認しましょう。
耳掃除は目に見えている部分だけを優しく行う
犬の耳掃除は、奥の方まで行う必要はありません。
目に見えている部分だけを綺麗にするようにしましょう。
犬の耳の皮膚は薄くデリケートなので、汚れを落とそうと無理に擦ったり、奥までケアをするために綿棒を使うのはやめましょう。
かえって耳垢を奥に詰まらてしまったり、鼓膜や耳の皮膚を傷つける可能性があります。
犬の耳掃除をする時は、目に見えている部分をコットンなどで優しく拭き取るだけにしましょう。
まとめ
犬の耳の中でトラブルが起きていると、茶色い耳垢がついていることが多いでしょう。
茶色い耳垢は、犬の耳の中でトラブルが起きているサインです。
どの犬種であっても茶色い耳垢が発生する可能性はありますが、特に耳の中が汚れやすい犬種は定期的なケアが必要です。
獣医師と相談しながら、ケアの方法や頻度を決めておくことをおすすめします。
大切な愛犬の健康を守るためにも、耳のトラブルは未然に防ぎたいですね。
犬の耳はとてもデリケートなため、さまざまなトラブルが起きやすいといえます。
耳の臭いや耳垢の色など、犬の耳に関して何か気になる症状があれば、早めに動物病院を受診して適切な治療を受けましょう。