犬は、時折口を開けて舌を出し、ハアハアと口呼吸をすることがあります。愛犬が急に口を開けてハアハアと息を荒くしていると、体調が悪いのかと心配になりますよね。
特に初めて犬を飼った場合には、愛犬が苦しんでいるように見えるかもしれません。
実は、この口を開けて舌を出す荒い呼吸は、犬にとってはよくあることです。体温調節のために行うことが多く、この呼吸によって犬は自分の体温を管理しているのです。
しかし、本当に苦しそうに呼吸している場合や、息が非常に荒れている場合は注意が必要です。その荒い呼吸は、犬の病気のサインかもしれません。
本記事では、息が荒くなる原因や、息が荒くなった場合の対処法などについて解説します。
「愛犬の息が荒い時があって心配」という飼い主さんは、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。
息が荒くなるのはよくあること?
犬の息が荒くなるのは、実はよくあることです。
犬は暑さを感じた時、口を開けて舌を出し、ハアハアと呼吸を行います。
この呼吸のことを、「パンティング」といいます。
犬は、汗腺が足の裏や鼻の頭あたりにしかないので、ほとんど汗をかくことができません。
そのため、パンティングによって体内の熱を吐き出して、体温を調節しているのです。
もし犬が暑そうにしている場合は、涼しい場所に移動させたり、エアコンで部屋の温度を下げてあげるとよいでしょう。
しかし、呼吸の仕方が明らかにおかしかったり、呼吸の回数が多すぎる場合には注意が必要です。
犬は、病気やストレスによっても息が荒くなることがあるからです。
体温調節のために行うパンティングと、病気による息の荒さは様子が異なるので、普段のパンティングの様子を覚えておくと異常を見つけやすいかもしれません。
息が荒くなる原因
- 肥満
- 心臓疾患
- 老化
- 暑さ
- ストレス
- 興奮
主にこの6つが、犬の息が荒くなる原因だといわれています。
それではそれぞれ詳しく解説していきます。
肥満
犬は肥満気味であると、息が荒くなりやすいです。
肥満体型の犬は、散歩中や運動時に少しでも動くと息を荒くしていることがあります。
理由としては、肥満体型であるがゆえに暑さを感じやすいということがあげられます。
暑さを感じることで、体温調節のために口を開けて、体内の熱を放出しているのです。
ほかの原因としては、脂肪で器官が圧迫されて息がしづらくなっている、ということも考えられます。
肥満体型になると、犬の呼吸は浅くなりがちです。
浅い呼吸で酸素が足りなくなると困るので、呼吸回数を増やしてより多くの酸素を取り込んでいます。
呼吸回数が増えると1回の呼吸はとても短くなるので、息が荒く見えます。
肥満体型は犬の健康維持のためにもよくないので、肥満気味であればダイエットを検討しましょう。
犬が痩せることで、呼吸がどんどん落ち着いてくるでしょう。
心臓疾患
犬の息が荒い原因として、心臓疾患が考えられます。
心臓疾患は、犬が高齢になると増える病気です。
心臓疾患である場合は、息が荒い以外にも以下の症状が現れます。
- 咳が出る
- 元気がなく、動きたがらない
もしこれらの症状とともに息が荒くなれば、動物病院を受診しましょう。
心臓疾患は、早期の発見が大切です。
老化
老化によっても、犬の呼吸は荒くなりがちです。
犬は高齢になると、さまざまな体の機能が低下していきます。
中でも心肺機能が低下してしまうと、少し動いたり走るだけですぐに息が上がることも。
そのため、老犬は息が荒れやすくなるのです。
これは高齢になると犬だけではなく人にも起こることであり、特別な病気でありません。
そのため、動かずじっとしている時の呼吸が正常であれば、過剰な心配はいらないでしょう。
暑さ
暑さによっても、犬の呼吸は荒くなります。
犬は足裏や鼻の頭など、体の一部にしか汗をかくことができません。
そのため、体温調節がとてもしにくいといえます。
犬は、運動後で体が暑い時や夏になって気温が上がると、体の熱を放出して涼しい空気を取り込もうとします。
その際に口を開けて舌を出し、ハアハアと呼吸をするのです。
これは犬にとって生理現象であるため、心配は必要ありません。
犬が落ち着くまで、様子をみてあげるとよいでしょう。
ストレス
犬は、ストレスによっても呼吸が荒くなることがあります。
主に以下の感情でストレスを感じた場合、犬の呼吸は荒くなるでしょう。
- 興奮
- 不安
- 恐怖
- 緊張
精神的な要因で交感神経が優位となり、一時的に呼吸が荒くなります。
ストレスを感じている時に、ほかに見られる行動として「あくび」があります。
ほかにも落ち着きがなく動き回ったり、体を震わせて怯えるなどの行動もみられるでしょう。
もし犬の息が荒い時にこのような行動もしていれば、犬がストレスを感じている可能性が高いです。犬がストレスを感じている場合は、落ち着ける場所に犬を移動させてあげます。
飼い主は犬のストレスの原因を探し、解消する必要があるでしょう。
興奮
息が荒くなる理由として、犬が単に興奮しているだけということもあります。
特に興奮して吠えている時は、息が荒れやすくなるでしょう。
犬が興奮している場合は、静かな場所や薄暗い場所などに移動して、犬を落ち着かせてあげます。
興奮時に息が荒れることは普通なので、この場合も基本的に心配する必要はありません。
もし体が震えているなどの症状があれば、興奮以外の原因を疑った方がよいでしょう。
合わせて起こりやすい症状
犬は息が荒くなると、呼吸の乱れだけではなくほかの症状も合わせて起こることがあります。
水をよく飲む
犬は息が荒くなると同時に、水をよく飲むようになることがあります。
原因として考えられるのは、以下の通りです。
- 暑さを感じている
- 熱中症
- 糖尿病
- 腎不全
- 胃腸の病気
特に多いのは、暑さによって水分を補給するために、水を飲んでいる場合です。
ほかにも糖尿病や腎不全などにかかると、犬は頻繁に水分を欲するようになります。
もし暑さを感じる状況ではなく、息が荒くなると同時に水をよく飲むようになれば、何らかの病気を疑った方がよいかもしれません。もし病気の場合は、早期発見が大切です。
早めに動物病院で診てもらいましょう。
震え
犬が息を荒くしながら震えている場合は、注意が必要です。
犬が強いストレスを感じている、もしくは何らかの病気にかかっている可能性が高いでしょう。
特に犬の肺炎は、息がしづらくなり呼吸が荒れて、苦しい時には体が震えることもあります。
震えは病気のサインであることも多いので、見逃さないようにしましょう。
犬がストレスを感じている場合は、呼吸の乱れや震え以外に、ウロウロと歩き回ることが多いです。
これらの行動がみられたらストレスを感じていることが多いので、ストレスの原因を探って犬にとって快適な環境を整えてあげましょう。
嘔吐
ハアハアと息を荒くしながら、犬が嘔吐してしまうこともあります。
犬が息を荒くしながら落ち着かず、嘔吐もするようであれば消化器系の病気が考えられます。
もしくは、部屋の温度が高かったり夏場に激しい運動をした場合、熱中症も考えられるでしょう。
どちらにせよ、嘔吐があればすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
食欲がない
食欲がない状態も、呼吸の乱れと合わせて起こりやすい症状の一つです。
食欲がないのは暑さによる夏バテも考えられますが、内臓疾患を患っている可能性もあるかもしれません。
どちらの場合でも、犬の食欲がなくごはんを食べない状態は栄養が摂取できず危険なので、動物病院を受診しましょう。
息が荒くなった時の対処法
もし犬の息が荒くなった時は、病気の可能性も考えられるので、念のために動物病院へ連れて行きましょう。
獣医師であれば、犬の息が荒くなった原因が体温調節によるものなのか、病気によるものなのかを判断できます。
嘔吐や体の震えがある時は、なるべく早めの受診をお勧めします。
自宅で応急処置をするのであれば、犬をうつ伏せにして、楽な姿勢で息をしやすくしてあげましょう。
そして、エアコンを使用して室内の温度を一定に保ちます。
布に包んだ保冷剤を、犬の首や脇に当てると体温を効率的に下げることができます。
体温調節で息が荒くなっていた場合は、この応急処置でだんだんと犬の呼吸は落ち着いてくるでしょう。
また、急な体温の上昇を避けるために、夏場の日中などの暑い時間帯は散歩を避けることをおすすめします。
まとめ
犬の息が荒くなる原因や、対処法について紹介しました。
実は、犬の息が荒くなるのはよくあることです。
体温調節が目的で行う場合がほとんどなので、心配の必要がないことが多いでしょう。
エアコンで室内の温度を下げたり、布に包んだ保冷剤や氷で犬の体を冷やすことで、落ち着く場合が多いです
しかし、嘔吐や体の震えなど、ほかの症状が合わせて起きると病気のサインであることも。
大切な愛犬のために、少しでも様子がおかしければ早めの状況判断が必要です。明らかに苦しそうであったり、室温を下げても息が荒ければ、すぐに動物病院を受診しましょう。