犬猫のための保護ネットワークとは? どんな活動をしているのか?

飼い主のさまざまな事情で飼ってもらえなくなった犬や猫。野良猫から子どもが生まれ増えてしまうなど、行き場のない犬や猫は残念ながら毎年減ることはありません。万が一、あなたがペットを手放すことになったとしたらどうなるのでしょうか。

新しい家族が見つからない場合、行き場のないペットは保健所などの行政機関により殺処分されてしまうという悲しい現実があります。日本では一部の団体や公的な発言においても、ペットの殺処分0の運動がありながら
いまだ完全に実現できていません。

ペットを迎えるにあたっては、かわいいだけの理由で衝動にかられないようにしましょう。犬と猫の寿命は種類にもよりますが約10年〜20年です。長い生涯を家族の一員として責任をもって最後まで世話をする自覚と覚悟をもって迎えたいものです。

今回の記事では、飼い主の事情で手放され、行き場のない犬と猫を施設に保護し里親さんを探す活動を行っている団体をご紹介します。

団体によっては、施設内には保護犬猫専門の動物病院を完備しているところもあります。また里親が見つからない犬と猫を施設で飼育して殺処分から救命している団体も多く存在します。犬と猫のために手を差し伸べている団体は、普段どんな活動をしているのでしょうか。

保護ネットワークとは

動物愛護の精神で、家族のいない犬と猫の殺処分から命を救うために設立・活動している団体が、インターネットを通じて情報を発信し、新しい飼い主さんを募ります。またNPO団体では、犬や猫を家族に迎えたいと考えている人たちにペットの写真や性格、種類、年齢などを公開し、ペットと人をマッチングさせるサービスがメインの活動です。

保護犬、保護猫のオンライン譲渡会も積極的に行っている団体もありますので、これからペットを迎えたい人にも運命の子が見つかるかもしれません。ペットショップへ足を運ぶ前にぜひ、チェックしてみてください。

NPO団体について

飼い主の都合で、行き場のなくなってしまった犬や猫を保護し、保健所による殺処分から命を救って世話をしています。保護センターからの引き取りや新しい飼い主を探す取り組みなど、小さな命を救うために日々情報を発信している団体です。

NPO法人(特定非営利活動法人)は、市民を主体にして活動をしている非営利団体のことです。それでは、どんな活動をしているか簡単に解説します。

活動内容

●TNR活動

野良猫を、Trap(トラップ)捕獲し、Neuter(ニューター)避妊手術をし、Return(リターン)猫を元の場所に戻す活動です。

猫がケガをしないようにケージなどの捕獲機に入れ、全体を覆い隠して猫を安心させます。その後、今後不幸な猫が増えないようにメスは避妊手術をし、その目印として猫の片方の耳先をVカットします。最後にもといた場所へ猫を戻しますが、ボランティアの方が術後の経過観察をし、エサも与えてきちんと掃除も行う一連の活動です。

●譲渡会の開催

保護犬、保護猫の譲渡会を定期的に開催します。参加するには、いくつかの条件をクリアしなければなりません

保護猫の譲渡会の例で言えば、条件は下記などがあります。

  • 子どもがいる家庭はNG(猫をおもちゃにしてしまう可能性があるため)
  • 18歳以上で経済力がある
  • 普通に医療を受けさせることができる
  • ペット保険に加入する、生涯責任をもって飼育し再譲渡はしない
  • 家族の同意がある
  • 飼育できる家庭環境の室内で飼える

以上の条件を満たしたら、面談があり、その後初めて譲渡が可能となります。

●地域猫活動

自由気ままに生きるのが好きな猫は、その性質からどこの地域にも野良猫が存在しているものです。かわいそうだからとエサを与える人、それを迷惑だと思っている人、地域にはさまざまな人が混在しています。

望まない命は作れないけれど、存在している命は守りたいと思う人たちが、地域に住む野良猫との共生を志して「地域猫活動」を進めるケースが増えてきています。エサやりだけではなく、不幸な猫がこれ以上増えないよう避妊・去勢手術に助成金が出るところもあり行政との連携を図ったりしているのです。

●里親探し

前述したように、オンラインを通じて里親を募集します。保護したペットの写真に、種類や年齢性別、性格などを公表しペットを迎えたい家族の問い合わせに応じます。

●保護センターからの引取、サポート

各都道府県には、動物愛護センターが設置されています。施設では、飼い主のいない犬や猫を引き取って世話をしていて、こちらでも譲渡会を行っているのでチェックしてみるのもよいでしょう。

●しつけ指導

動物愛護センターや保護団体でも、犬の専門家が入り、基本的な家庭犬のしつけ指導を行います。保護されたペットたちは、どんな事情であれ飼い主に手放されたという深い傷を心に負っています。しつけや訓練は人との信頼関係やコミュニケーションを取り戻すのにも役立つのです。

●殺処分を減らすための啓発活動

環境省が発表している「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」をもとに、殺処分を減らし、最終的には0にすることを目指した運動として「アクションプラン」があります。行政と動物愛護の団体、NPO、ボランティア、事業者、そして飼い主さんが一体となって取り組んでいくプランの推進です。

以上のような活動内容は団体により多様にあります。次に、具体的な団体をご紹介しましょう。

どんな団体がある?

団体の種類は目的によりそれぞれです。「ボランティアや社会貢献活動を行うことを目的とした団体」のNPO法人(特定非営利活動法人)一般社団法人などがあります。また、「社会的に良い影響を与え公的な利益になる事業」を運営するといった目的をもつ公益財団法人として活動している団体もあります。

どの団体も事業を通して得た収益を団体の活動のために利用しています。社会から不幸な犬と猫を生み出さないよう取り組んでいることは共通の理念です。

関東の団体

【関東】

特定非営利活動法人あだち共生動物ネット
東京都足立区で活動する非営利活動法人です。人と動物が共生できる地域と社会の実現を目指して定期的に里親会、譲渡会を開催。ドッグランの運営管理、犬のしつけ教室、猫の飼育相談も行い、行政や大学研究機関とも連携しています。

一般社団法人 動物愛護団体 Rencontrer Mignon(ランコントレ・ミグノン)
東京都渋谷区で犬猫のシェルターを開設し、捨てられたペットたちの保護をしている団体です。犬や猫はもちろん、最近ブームになったウサギも保護しています。新しい家族と出会うだけでなく、ボランティアさんとの出会いの場も提供しています。

関西の団体

【関西】

公益財団法人日本アニマルトラスト
大阪府豊能郡の「動物の孤児院ハッピーハウス」を運営しています。新しい家族の元へ巣立っていけるように、訓練士によるドッグトレーニングも行われています。マルシェなどのイベント参加もしているので直接相談ができるかもしれません。

NPO法人大阪ねこ倶楽部
大阪府堺市にある猫のシェルターでの保護猫達の世話をしています。現在、活動ボランティアさんを募集中です。野良猫のいない街づくりを目指すべく、野良猫の避妊手術や健康診断を実行していて、積極的に里親さんを探しています。

まとめ

ご紹介したように、犬や猫たちの小さな命を守るために日々活動を積極的に行うNPO団体やそのほか団体があります。しかし、毎年保護するペットの数は増えていくばかりで、保護やサポートをしている現場はひっ迫している施設も少なくないでしょう。

私たちができることは、不幸なペットを増やさないことです。そのためには、ペットを迎えたら生涯最後まで責任をもって飼うこと。また、迎える前にいまいちど、その覚悟をもつことができるか立ち止まって考えましょう。

一人暮らしや引っ越しする機会が多い家庭でも、途中で飼えなくなり手放すといったことがないよう本当に長年世話をしていけるかをよく検討することが大切です。ペットはとても可愛いく癒してくれる存在ですが、ペット自身は言葉も話せず、飼い主がすべてなのです。命を生涯預かっているということを忘れないようにしましょう。

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