犬と猫は全く異なる種族であり、潜在的にはお互いを敵とみなす傾向があります。でも、だからといって仲良くできないわけではありません。実際には多くの家庭で、犬と猫が親友になっていることが証明されています。
犬と猫を同時に家族に迎えたい。でも仲良くしてくれるか心配……。そんな飼い主さんも少なくないはずです。もしくは、すでに両方飼っていてなかなか仲良くしてくれないなど、悩みを抱えている飼い主さんも、いらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、犬と猫が同じ家族として共に仲良く暮らすヒントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
犬と猫は仲良くなれるのか?
犬と猫は、それぞれが幼い頃からお互いを同種のように認識できれば仲良くなれる可能性が高くなります。
さらに、飼い主さんが平等に愛情をもって接してあげるとどちらかが嫉妬して一方を追いかけ回すといったトラブルも少なくなるでしょう。犬と猫が仲良くなれるようには、飼い主さんの日々の手助けが必要となります。
犬と猫の間で問題が発生した場合、その原因はたいてい犬にあります。
それは、犬のほうが獲物を捕まえる能力が高いからです。ウサギや猫のような小さくてフワフワした動物を本能的に追いかけてしまうので、猫は犬を恐れます。この好ましくない行動を抑制する一つの方法は、犬への服従訓練です。猫を追いかけることは許されない行動であることを犬に教えなければなりません。
犬に「おすわり」「待て」「伏せ」などの基本的な合図を教えましょう。これらのコマンドは、特に先に犬がいて新しく猫を迎える際に、愛犬をよりスムーズに対応させるのに役立ちます。さらに、こうした服従訓練は愛犬と人との信頼関係とコミュニケーションを向上させることにもつながるでしょう。
迎える前にまずは個々の性格に配慮を
犬はアクティブで活発に動きまり、縄張り意識が強い性質をもちます。
猫は静かにじっとしていることが好きで、警戒心が強い性質です。犬と猫が出会ったばかりの数週間は、特に飼い主の監視下でのみ交流させるようにしましょう。
これは猫と犬の両方を守るためです。犬と猫を放っておくと、お互いに攻撃的になり、傷つけ合ってしまう可能性があります。
例外として、犬と猫の個々の性格は必ずしも一致しない場合もあります。例えば、高齢であまり活発でない犬に、遊びたい盛りの仔猫を会わせたらエネルギーの温度差の違いで折り合いがつかないこともあるでしょう。
いま飼っている犬、猫はどんなタイプかをまず考慮することが大切です。
一緒に暮らすための3つのポイント
アクティブな犬と静かに自由気ままに過ごしたい猫。
まったく対照的な動物がストレスなく一緒に暮らして、むしろ仲良く心地よい空間をつくるためにはどんな工夫をすればよいでしょうか。
犬と猫の性質を生かした、家のなかでのルールを決めることが得策です。きちんとした環境を作ることができれば、簡単に双方にとって心地よいスペースが築けるでしょう。
お互いが干渉できないスペースを作る
・遊びやご飯の場所を分ける
外で運動する犬と、部屋でひとり遊び好む猫の一日の運動量は異なります。
それぞれに合った遊びを飼い主さんがコントロールする必要があるのです。また犬と猫では、食べ物の内容が違いますので、取り合いにならないように別々の場所で与えましょう。
・猫のトイレに犬が近づかないようにする
猫は隠れて排泄をしたいため、犬が来られない場所にトイレを設置したいものです。
また、犬はなんでも噛んだり食べたり破壊したりといった行為を好む性質をもっています。猫のトイレのいたずらして猫砂を食べたり荒らしたりしないように、犬が近づかないように囲いなどをして工夫しましょう。
・キャットタワーやゲージなど1人になれるスペースを確保する
猫は部屋のなかで自由気ままに遊べるスペースが必要です。
ジャンプ力を満たすためのキャットタワーで十分な遊びができる環境を作りましょう。犬は、外で運動してエネルギーやストレスを発散します。部屋のなかで寝るときは暗くて狭い場所が落ち着くため、必ず愛犬専用のケージを用意しましょう。
犬種に配慮して犬にしつけを行う
アクティブな犬種の場合は、猫と遊びたい仕草が大袈裟になり、猫が嫌がってしまうこともあるでしょう。牧羊犬と言われる「ボーダー・コリー」や「テリア」などの猟犬の種類は、そもそも動く獲物を追いかけて捉える性質をもっています。
活発な犬は、慣れていない猫に、衝動的に追いかけたり飛びついたりする可能性があるので、しばらくは別室で過ごすようにします。対面させる場合は犬を抱きかかえて、念の為にリードを付けた状態にしておくとよいでしょう。
犬はドッグランなど運動量の多い場所で、犬がもつ狩猟本能や群本能のエネルギーを発散させてあげます。また、「おすわり」「待て」「伏せ」などの訓練をしっかりすることで、猫と一緒にいるときの心を鎮めていられるようになるでしょう。
さらに猫が危険を感じたときは、犬から逃げられるような「安全な場所」を用意しましょう。この「安全な場所」には、犬が近づけないようにしておきます。
一般的には、冷蔵庫の上や本棚、窓際などの犬が上がれない高い場所が猫の安全地帯です。さらに「安全な場所」とは別に、それぞれのペットに合った食事や休息の場所を用意する必要があります。犬も猫も縄張り意識の強い動物なので、それぞれ自分のテリトリーがもてるようにしましょう。
同時に飼うタイミングを考える
犬と猫を同時に飼い始めるタイミングは、仔犬・仔猫の時期だとトラブルが少ないと言われています。
多頭飼いがよいとされているように、小さいうちから一緒に過ごすことでお互いが種類の違う存在を認め合い、社会性を高めていけるからです。
次に、成犬と仔猫であれば、時間はかかるかもしれませんが、犬が仔猫を群れの一員として認識してあげることができればうまく暮らせるようになるでしょう。但し、猫の都合も考えて、前述したような逃げ場は用意しておいてあげます。
仔犬と成猫、成犬と成猫が一緒に暮らすのは、猫が環境の変化に苦手な傾向があることから、注意が必要かもしれません。初めからうまくいかなくても、過度に心配したり神経質になると、その気持ちがペットに伝わってしまい、余計に悪循環になってしまいます。
焦って無理矢理同じ部屋で過ごさせるとかえってトラブルが起きたり、双方がトラウマになってしまう可能性もあります。はじめはうまくいかなくても、ベビーゲートなどで区切ったり別々の部屋で過ごさせるなどの工夫をして無理はしないようにしましょう。
まとめ
大切なのは、犬と猫を初めから無理やりに仲良くさせようとはしないことです。
犬と猫の特性を生かし、それぞれの性質を満足させるような配慮をしてくださいね。犬は猫以上に犬種が豊富です。小型犬、大型犬でも性質が大きく異なるので、個々の性格がどういうタイプかよく観察して、ペットが健やかに育つようゆっくり見守ってあげましょう。
また、人間は主に視覚に頼って生活していますが、犬と猫は嗅覚と視覚の両方を使って周囲の状況を把握しています。犬と猫が仲良くなるためには、お互いの匂いを認識して受け入れることも重要なプロセスとなります。
最後に、犬と猫がお互いのにおいに早く慣れるためのコツをご紹介します。
愛犬と愛猫の寝具を交換したり、猫にタオルを擦り付けて犬の隣に置いたり、その逆を行ったりするのです。あまり仲良くならないなと感じたら、彼らの優れた嗅覚を刺激した方法で、愛犬と愛猫がお互いの匂いに慣れることを期待しましょう。