「仔犬の頃はきちんとトイレができていたのに、成犬になってから粗相をすることが増えた」、とお悩みの飼い主さんもいらっしゃると思います。成犬になると排泄量も増えるので、粗相をされると飼い主さんも大変でしょう。
しかし、なぜ、成犬になってから粗相が増えてしまったのでしょうか?
そもそも、成犬になってからでもトイレトレーニングは可能なのでしょうか?
この記事では、成犬をトイレトレーニングする際の3つのポイントをご紹介します。ポイントをおさえることで、成犬でもトイレトレーニングは十分に可能です。小さな頃のように安心してお家で過ごせるように頑張りましょう。
成犬がトイレに失敗する3つの理由
トイレトレーニングができていたはずなのに、成犬になってから失敗するようになった、というケースでは、身体的・精神的な問題、生活習慣やトイレ環境などが原因として考えられます。
ここでは、成犬になってからトイレに失敗する3つの理由についてご紹介します。原因を知ることで、適切な対策を行いましょう。
①外での排泄が習慣になっている
犬は成犬になると、子犬の頃より排泄の回数が減り、1日2~3回ほどで済むようになります。
たとえば、朝と晩に散歩をしている場合、散歩の時間まで十分排泄を我慢することができます。そのため、散歩のときの排泄で足りてしまうし、そもそも犬にはマーキングをする習慣もあるため、外での排泄が当たり前になってしまっていることが考えられます。
仔犬の頃のトイレの頻度と事情については、次の記事でご紹介しています。
成犬になると、随分と変化があるので、参考までに、是非ご覧になってみてください。
【子犬のトイレはどうする?犬を家に迎えたらやるべきこと】
②散歩の間隔が長すぎる
外で排泄することが当たり前になってしまっていれば、朝の散歩から飼い主さんが帰宅するまでの間も排泄を我慢できてしまいます。
その場合、基本的に我慢できている間は外でしかしないし、我慢できない場合は粗相をしてしまう、という悪循環になってしまうのです。散歩と散歩の間隔が長くなればなるほど、粗相をする確率が高くなってしまうと考えられます。
③環境面・精神的な原因・体の不調がある
粗相の原因として、精神的なストレスや体調不良、トイレの環境などの原因も考えられます。
たとえば、引っ越しなどで自宅やトイレの場所が変わったり、飼い主さんの留守が多くなったりなどの環境の変化がストレスとなり、粗相につながる場合があります。
また、腎臓の疾患、膀胱炎や尿路結石症などの下部尿路疾患がある場合にもトイレまで間に合わずに粗相をしてしまうこともがあるため、粗相が増えたと感じる場合には、早めに病院を受診してください。
身体の変化といえば、シニア犬になってからの粗相は、機能の低下によりトイレの場所を勘違いしていたり、分からなくなってしまっていたりする可能性も考えられます。このような場合にも、獣医師に相談するようにしましょう。
なお、トイレの失敗の原因については、次の記事でもご紹介しています。
犬がトイレの失敗を繰り返す。3つの原因と対策方法
成犬でトイレトレーニングが成功する3つのポイント
成犬になってからのトイレトレーニングを成功させるには、外での排泄の回数を減らし、家のなかでも排泄できるよう外から室内へ徐々に促していくことが大切です。では、どのようにトレーニングすると効果的なのでしょうか。
ここでは、成犬でトイレトレーニングが成功する3つのポイントについてご紹介します。
①散歩中は飼い主に注目させる
犬は排泄をする前、よく地面のニオイを嗅ぎます。匂いを嗅ぐことで「マーキング」が促され、外での排泄が習慣化されていきます。
このような外での排泄、マーキングの頻度が高くなるのを防ぐため、散歩中は、飼い主さんに注目がいくよう、ご褒美をあげたりしながらできるだけ飼い主の横を歩くようにしましょう。
②家の中でのトイレは徐々に慣れさせる
外での排泄の習慣がついている場合、いきなり室内で排泄させるのは難しいといえるでしょう。
庭やベランダなど外の環境から徐々に室内へトイレ環境に移していきながら、少しずつ慣れさせていきます。
庭やベランダなど敷地内の外の環境をトイレに
普段排泄している外の環境を再現しやすい庭やベランダなどの場所に、トイレトレイやトイレシートを置いておきます。そして、散歩に行く前に庭やベランダに設置したトイレに連れていき、あらかじめ排泄を済ませてから散歩に行きます。
外のトイレに慣れたら室内へ
庭やベランダに置いたトイレでの排泄に慣れてきたら、いよいよトイレ環境を室内に移します。ただし、いきなりゲージの中にトイレを設置するようなことはせず、まずは玄関や窓際など外の環境に近いところにトイレトレイやトイレシートを設置しましょう。ここでうまくいけば、どこの場所でも問題なくなります。
③犬の好む場所をトイレにする
成犬でのトイレトレーニングでは、飼い主さんがあらかじめトイレの場所を決めてしまうより、室内のさまざまな場所で練習し、愛犬が好む場所をトイレにしてあげると、トレーニングがうまくいきやすくなります。
また、排泄してほしくない場所は予め囲っておくなどの対策をしておけば、失敗してしまったときに怒る必要もなくなるでしょう。
愛犬には、トイレの場所そのものを覚えさせるのではなく、トイレ=トイレシートと認識させるようにすると、外出先でもトイレシートさえあればトイレができるようになるので安心です。そして、成功したら、思い切り褒めてあげましょう。
トイレの誘導に、市販グッズを使用するのもおすすめ
愛犬にトイレの場所を教えてあげるためのグッズが市販されています。このようなものを使って誘導してあげるのも1つの方法です。
たとえば、トイレシートに吹きかけるだけのスプレー。アンモニアや犬が好む草花の香りを配合したスプレーをいつものトイレシートへ吹きかけると、トイレの認識がしやすくなり、誘導もしやすくなります。また、アンモニアなどの匂いがあらかじめつけられているしつけ用のトイレシートもあります。
これらのグッズを上手く活用しながら、トレーニングを進めていきましょう。
成犬のトイレトレーニングは時間をかけるのがカギ
すでに外での排泄に慣れてしまっている子の習慣を変えていくのには、当然時間がかかるものです。
焦ってしまうことで、益々、室内での排泄が嫌になってしまったり、さらに排泄そのものが嫌になってしまったりしては困ります。トイレトレーニングは、愛犬のペースですすめるようにしましょう。
また、愛犬が混乱しないように指示は一貫性を持たせることが重要です。しかし、怒らずに。飼い主さんが粗相を怒ったつもりでいても、愛犬は「排泄そのもの」が良くないことと認識する可能性もあります。失敗しても匂いが残らないように掃除をすればいいくらいの心持で取り組むことが大切です。
まとめ
すでに習慣化されている成犬の行動を変えていくには、根気が必要です。
トイレトレーニングがうまくいくと、旅行やドッグカフェに連れて行ったり、病院やペットホテルに預けやすくなったり、愛犬と一緒にできることが増えます。
また、悪天候のとき、飼い主さんの体調が悪いとき、愛犬が歳を重ねて外での排泄が難しくなったときなど、散歩が困難な状況のときにも心配いらなくなります。
室内での排泄がきちんとできるようになれば、生活の質も上がるでしょう。愛犬の性格や排泄パターンを考慮しながら、ゆったりとした気持ちでトイレトレーニングをしてみてください。