犬は比較的骨折しやすい動物と言われています。特に小型犬や子犬はちょっとした事故で骨折をしてしまう可能性があります。痛がってすぐに骨折したことが分かればいいのですが、痛がらなかったため放置してしまうと危険です。
- 骨折したらどんな症状が出るの?
- 骨折でどんな治療を受けるの?
- 特に骨折しやすい犬種ってあるの?
ここではこのように思っている方に向けて、犬の骨折についての情報をまとめました。
犬は日常生活で骨折してしまうことがあるため、ぜひ参考にしてください。
骨折の原因と症状は?
- 高いところから飛び降りる
- 交通事故や家の中での事故
- ドッグスポーツ中での事故
などが多く、身近に起こりやすいことばかりです。抱っこの状態から落下してしまったという症例も良く聞きますので気を付けたいですね。
犬は骨折すると足を浮かせていることが多く、痛がりつつも歩ける捻挫とは違います。
骨折すると犬は鳴いたり、痛そうな様子を見せたりするため、すぐに気づきますが、閉鎖骨折かつ不全骨折の場合は見た目でわかりづらい場合もあります。
また、前肢の骨が折れてしまうと犬は力を入れられず、足を床に付けることができなくなるケースがほとんどです。安静にしてすぐに動物病院に連れていきましょう。
骨折の治療法や治療期間は?
愛犬が骨折してしまったら、動物病院で治療をしてもらう必要があります。治療法は骨折の箇所によって異なります。
- ギプス固定法 軽度の骨折の際にギプスで固定する方法です。すぐに動いてしまう犬には向きません。
- プレート固定法 骨折した箇所にプレートを当て固定する方法です。プレートで固定する際に皮膚を切開する必要があります。
- ピンニング法 細かい骨を固定する時によく使われる方法で、ワイヤーで骨を繋いで固定します。
- 髄内ピン(釘)固定法 太い骨や柔らかい骨の空洞に金属の棒を通して固定する方法です。
- 創外固定法 複雑骨折等の治療方法で、外側から金属のピンやワイヤーを打ち込み固定します。皮膚の切開は必要ありません。
治療期間は症状によりますが、手術費用は20〜30万円が目安です。高額な場合は50万円ほどかかることもあります。治療費はペット保険の対象になっていることが多いので、保険に加入している方は確認してみましょう。
骨折しやすい犬種は?
小型犬は大型犬よりも骨折しやすいというリスクがあります。飼い主さんの抱っこから落下したり、ソファーから飛び降りたりして骨折するケースが珍しくありません。ソファーには階段を付け、滑りやすいフローリングにはカーペットを敷くなどの対策をしておきましょう。
<骨折しやすい小型犬>
- トイ・プードル
- チワワ
- パピヨン
- ポメラニアン
- マルチーズ
- ミニチュア・ピンシャー
- イタリアン・グレーハウンド
上記の犬種以外でも、年齢に関係なく子犬のうちは骨折しやすいので特に注意が必要です。
骨折の応急処置や予防方法は?
愛犬が骨折したけど、動物病院に行くまで時間がかかる時はまず応急処置をしてあげましょう。簡単にできる方法を紹介するので、いざという時に役立ててください。
骨折時の応急処置
足などを骨折した場合、まずはその部分をタオルで巻いて固定します。家にあるもので簡単な添え木を作って巻いておきますが、あまりきつく縛りすぎないように注意してください。
悪化させないように応急処置をして、早めに動物病院に連れて行きましょう。
骨折の予防方法
犬が骨折をしないためにも、まずは予防をすることが大事です。健康に過ごすためにも怪我や骨折がないようにしてあげたいですね。主な予防方法を紹介します。
- 子犬の頃からのしつけ 家具や物などが倒れてくるような危ない場所に勝手にいかないようにしつけをしておく。または、名前を呼んだらすぐに戻ってくるようにしつけをする。
- 食事の改善 栄養バランスの良い食事を心がけ、丈夫な骨を作っておく。(過剰なカルシウム摂取は腸からのカルシウムの吸収率が悪くなり、骨の成長を阻害してしまうことがあるので注意)
- 抱き上げても暴れないよう子犬のころから慣れさせておく
犬の骨折や怪我・こんな時はどうする?
犬は骨折以外にも怪我をすることがあります。ここでは犬の骨折や怪我について知っておきたいことをまとめました。
他の犬や飼い主に怪我を負わせてしまったら?
ドッグランなどでは、噛んだり噛まれたりするだけでなく、体格差のある犬同士がじゃれ合っているだけで小さい犬が怪我をしてしまうこともあります。また、散歩中にリードが外れて他の犬とトラブルになったという話もあります。
こんな時は慌てずに、まずは犬を引き離しましょう。怪我をさせてしまった犬の飼い主さんは、責任を取る必要があります。保健所に連絡して、指示に従いましょう。さらに、相手の犬の病院にも一緒に行き、治療費についての話し合いも必要です。
また、このようなケースは個人賠償責任保険で補償できる場合もあります。なお、ワクチン接種などをしていない犬は対象外になる時もあるので気を付けましょう。
犬も骨粗鬆症になるの?
骨粗鬆症というと、老犬がなりやすいイメージを持つかもしれませんが、犬は加齢以外の原因でも骨粗鬆症になってしまうことがあります。
なりやすい犬種などは報告されていませんが、手作り食を食べている犬は栄養バランスが悪いので注意が必要です。獣医師さんなどに食事のアドバイスを受けましょう。
また、運動不足も骨粗鬆症の原因になることがあるので、天気の良い日は散歩で身体を動かすなどしましょう。
犬の骨や関節の病気にはどんなものがあるの?
犬の骨や関節に関する病気で、代表的なものを紹介します。歩き方がおかしかったり、痛がったりしている場合は早めに動物病院で検査を受けてくださいね。
・関節リウマチ
小型犬に多いとされ、関節のこわばりなどの症状が出る病気です。原因は不明ですが、免疫機能の異常により発症します。犬の様子を見て歩きにくそうだったり、痛がっていたりしたら獣医師に相談しましょう。
・膝蓋骨脱臼
後ろ足の膝蓋骨が脱臼してしまう病気です。初期段階では普通に歩くことができますが、進行していくと歩くこともできなくなります。グレードが4段階に分けられ、3になると骨が変形すると言われています。
原因は遺伝や、落下・打撲などです。高いところから落ちたらすぐに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
・変形性骨関節症
関節が変形することで痛み等が出てきます。上で紹介した膝蓋骨脱臼と同じく小型犬に多く、併発することも多いです。関節から音がすることもあるので、歩くのを嫌がっている場合は音を確認してみましょう。素人では判断しにくいため、異常がある場合はすぐに動物病院に相談してください。
・汎骨炎
中・大型犬に多いとされる病気です。成長段階で骨細胞が異常な状態で増殖することが原因と言われています。原因は遺伝と言われていますが、治療すれば治ることが多いので早めに動物病院に行きましょう。
まとめ(犬の骨折・痛がらない時も)
犬が骨折すると脚を浮かせている時が多いですが、骨折の種類によっては患部がわかりにくいことがあります。
それでも怪我による不調が出てくると思われますので、愛犬の様子が普段と違う時は動物病院に連れていきましょう。
骨折をしてしまうと、程度にもよりますが完治するまでに数か月はかかります。治療期間は愛犬が少しでもストレスなく過ごせるようにサポートしてあげてくださいね。
まずは、愛犬が怪我や骨折をしないように日ごろから対策や予防をすることをおすすめします。
子犬は特に骨折しやすいので、行動に注意を払いつつ、危険な行為をしないようしつけていきましょう。