犬を飼い始めると、食欲旺盛ぶりにびっくりしますよね。
しかし、人間と同じく犬も食べすぎは健康に良くありません。肥満体型になってしまうリスクもあります。
人間が太った時は食事制限や運動でダイエットをしますが、愛犬をもし太らせてしまったらどうすべきかわからない飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では
「ダイエットが必要な体重ってどれぐらい?」
「肥満はやっぱり病気や寿命のリスクがある?」
「どんなダイエット方法があるの?」
とお悩みの方に向けて、ダイエットが必要な犬の体型や肥満のリスク、具体的なダイエット方法を詳しく解説します。
愛犬が太ってきて心配な飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ダイエットを始めるべき犬の体重や体型は?
愛犬が適正体重の範囲を超えていたら、ダイエットを始めるとよいでしょう。
適正体重は犬種によって異なるため、かかりつけの獣医師に確認してみてください。
犬の体重は10グラム単位で図るため、動物病院で測定してもらうと正確に測れます。
病院に行った際に、適正体重の確認と体重測定を同時に行ってもらうのがおすすめです。
体重は人が抱っこして体重計に乗り、人の体重を引くという方法でも測れますが、人間用体重計の多くは10グラム単位ではないため、だいたいの目安として参考にしておきましょう。
体重ではなく体型から犬の肥満度を計測する方法もあります。
環境省のボディコンディションスコア(BCS)は以下のとおりです。
BCS 1(痩せ) | 肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪がわからない。腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。 |
BCS 2(やや痩せ) | 肋骨が容易に触れる。上から見て腰のくびれは顕著で、腹部の吊り上がりも明瞭。 |
BCS 3(理想体重) | 過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。横から見て腹部の吊り上がりが見られる。 |
BCS 4(やや肥満) | 脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。上から見て腰のくびれは見られるが顕著ではない。腹部の吊り上がりはやや見られる。 |
BCS 5(肥満) | 厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。腰のくびれはないか、ほとんど見られない。腹部の吊り上がりは見られないか、むしろ垂れ下がっている。 |
出典:「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」4.体調管理について
理想の体型はスコア3です。
愛犬を立たせて上と横から体型を見て、実際に体も触ってチェックしてくださいね。
愛犬の健康的な生活のためにも、適正体重と理想の体型を把握しておきましょう。
肥満は犬にどんなリスクがある?
犬の肥満には、さまざまな病気を発症するリスクがあります。
愛犬の健康のためにも、負担をかけずに適正体重を維持したいですよね。
ここからは、犬の肥満の原因と肥満が原因でリスクが上がる病気を紹介します。
犬の肥満の原因
肥満の一番の原因は、ドッグフードなどの食べすぎです。
高カロリーなドッグフードやおやつを食べすぎると、摂取カロリーが消費カロリーを上回って太ってしまいます。
そのため、一番気を付けたいのが食事方法です。
ダイエット中の犬に与えるのは、できるだけ低カロリーで低脂質、そして高タンパクな食べ物が理想です。
ほかにも、犬が太る原因として以下のようなものがあげられます。
- 運動不足
- ストレス
- ホルモンバランスの変化
- 病気
- 去勢、避妊手術の影響
特に病気の症状による肥満には注意しなければいけません。
肥満になってしまう病気として、
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- 甲状腺機能低下症
などがあります。
犬の肥満でリスクが上がる病気
肥満体型の犬は、以下の病気になるリスクが上がります。
- 心機能障害
- 換気障害
- 高血圧
- 骨関節炎
- 椎間板ヘルニア
- 糖尿病
- 脂肪肝 など
体重が増えると関節に大きな負担がかかり、骨関節炎や椎間板ヘルニアが発症しやすくなります。発症した後は、強い痛みを感じて運動を余計に嫌がるようになるのです。
運動をしないのに食事はするので体重が増えてしまう、という悪循環に陥ってしまう恐れもあります。
ほかにも、皮膚病や糖尿病にかかりやすくなったり、心臓にも負担がかかったりします。
パグのような短頭種が太ってしまうと、首周りの皮下脂肪が気道を圧迫して呼吸困難になる恐れもあり危険です。
肥満は犬にとってメリットがほぼないので、太ってきたなと感じたらできるだけ早くダイエットに取り組むことがベストと言えます。
犬のダイエット方法・具体的にはどうする?
- 食事はカロリーを意識しつつ変える
- 散歩などの運動を効果的に取り入れる
- 愛犬のストレスに気を付ける
ここからは、それぞれの内容について詳しく解説します。
食事はカロリーを意識しつつ変える
食事を与える時は、摂取カロリーを減らすことを意識するようにしましょう。
摂取カロリーを減らすためには、低カロリー・低脂質のドッグフードがおすすめです。
さらに、原材料に赤身肉などを使用していて高タンパクであるとベストです。
なお、ドッグフードをいきなり変えてしまうと犬も味の変化に驚いてしまい、食べてくれなくなることがあります。
そのため、少しずつ新しいドッグフードを混ぜて与えるようにして、徐々に切り替えていくようにしましょう。
また、1日の食事量を減らして低カロリーな食事を複数回に分けて与える方法も効果的です。
1日の食事量は減りますが、複数回に分けることで食事回数が増えて空腹を感じる時間が短くなります。
散歩などの運動を効果的に取り入れる
愛犬のダイエット中は、散歩や水泳などの運動を効果的に取り入れるようにしましょう。
愛犬と一緒に長時間のんびり歩くようにするだけでも、愛犬にとっては効果的な運動になります。
また、平坦な道だけではなく坂道も歩いてあげるようにするとより効果的です。
しかし、急に激しい運動をさせると関節に負担がかかり、痛めてしまう恐れもあります。
愛犬の様子を見ながら少しずつ運動の強度を上げていくようにしましょう。
なお、プールや川での水泳は関節を痛めにくく、効果的な減量エクササイズになります。
水の浮力で関節に負担がかかりにくいというメリットがありますが、水中は常に事故の危険が付きまといます。
万が一の事故を防ぐために、遊泳中は必ず愛犬を監視してくださいね。
無理は禁物!ストレスには気を付ける
ダイエットは人間でも辛いものですよね。犬も同じく急な変化でストレスを感じたり、飼い主の負担を察してネガティブになってしまったりします。
愛犬のダイエットは、一緒に楽しむという意識で取り組むようにしましょう。
たとえば散歩に行く時でも、飼い主さんが義務的に連れて行こうとすれば、犬もそれを察して散歩を楽しめません。
「愛犬と一緒に出かける」という気持ちで飼い主さん自身が楽しい気分になっていると、愛犬も気持ちを察して散歩や運動を楽しんでくれるようになります。
そして、無理に運動をさせたり食事量を急激に減らしたりすることは絶対に避けましょう。
今まで通りの食事が突然できなくなったり、無理矢理運動させられたりすると、愛犬も強いストレスを感じて問題行動を起こす恐れがあります。
いきなり結果を出そうとせず、長期的な計画を立てて気長にダイエットに取り組むようにしましょう。
飼い主さんが一緒に楽しんであげると、愛犬も張り切ってダイエットに取り組んでくれるはずです。
なかなかダイエットできない。こんな時どうする?
- 運動させたい時、誰かに頼める?
- 犬もパーソナルトレーニングできる?
といった疑問にお答えします。
運動させたい時、誰かに頼める?
たとえば飼い主の怪我や病気、仕事などの理由で愛犬を散歩させられない時は、ペットシッターに散歩を依頼できます。
ペットシッターに散歩を依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 愛犬を散歩に連れて行ける
- 愛犬の運動不足を解消できる
- 飼い主の負担を軽減できる
一方で、
- 費用がかかる
- 愛犬が散歩時間に満足できないことがある
などのデメリットもあるので注意しましょう。
基本的に、散歩代行サービスは30分ごとに時間が区切られます。
大型犬の場合は30分の散歩時間では足りないこともあるので、足りない分は愛犬に我慢してもらうか飼い主さんが連れて行く、もしくは散歩代行を延長してお願いしなければいけません。
しかし、散歩を代行してもらえることで飼い主さんの負担は減るので、どうしても連れて行けない時はペットシッターの利用を検討するとよいでしょう。
犬もパーソナルトレーニングできる?
地域によっては、犬専用のフィットネスジムが存在しています。
犬専用のフィットネスジムでは、愛犬の健康維持・ダイエットのために効率的に運動させることが可能です。
また、施設によってはプロの専属トレーナーが付き、愛犬の体調や健康状態に合わせた専用の運動プランを組んでもらえるところもあります。
専門的な知識によって組み立てられた運動プランは、効率的にダイエットを行うことができますよ。
プロのトレーナーに付きっきりで愛犬の運動状態を見てもらえるため、安心して任せられますね。
まとめ(犬のダイエット方法)
食事のコントロールはもちろんのこと、適度な運動を取り入れることが犬のダイエットの基本ですが、急に無理をさせるのは絶対にやめましょう。
運動によっては体重の重みで関節を痛めてしまうこともあるので、少しずつ強度を上げていくようにしてください。
急に運動量を増やしたり食事を極端に減らしたりするのは、愛犬に大きなストレスを与えることになります。
すぐに結果を出そうと焦らず、長期的な計画を立ててゆっくりと理想の体型に近づけるように工夫を続けましょう。
飼い主さんが楽しんで愛犬のダイエットに取り組んであげると、愛犬も一緒に楽しみながら取り組んでくれるはずです。