
子犬の頃はなんとなくできていたのに、成犬になってからトイレの失敗が増えた……と悩む飼い主は少なくありません。実は「成犬だからもうトイレのしつけは無理」ということはなく、原因を知り、環境と教え方を見直せば、やり直しは十分可能です。この記事では、成犬のトイレしつけがうまくいかない理由から、失敗しない3つのコツ、状況別の工夫までをわかりやすく解説します。
成犬のトイレしつけがうまくいかない主な原因

成犬のトイレしつけがうまくいかない場合、いくつかの共通した原因があります。原因を理解せずにやみくもに叱ったり環境を変えたりしても改善しにくいため、まずは「なぜ失敗するのか」を整理して考えることが大切です。
成犬でトイレを失敗する主な理由として、子犬の頃にトイレ場所やタイミングがきちんと教えられていないこと、過去に強く叱られた経験から排泄そのものを隠そうとしていること、引っ越しや生活リズムの変化でルールがあいまいになっていることがよく見られます。
これらは「性格が悪い」「わざとやっている」という問題ではなく、学習の過程や環境の影響によるものです。原因ごとにアプローチを変えることで、成犬でもトイレを覚え直すことは十分に可能です。
子犬期のトイレ習慣があいまいなケース
子犬の頃にトイレの場所やタイミングをきちんと教えられていない場合、成犬になってからも排泄場所が「なんとなく」でしか理解できていないことがあります。子犬期に自由にさせ過ぎていたり、トイレ場所を何度も変えていたりすると、床全体=排泄してよい場所と覚えてしまうことも少なくありません。
また、排泄のたびに褒める習慣がなかった場合、「トイレで排泄すると良いことがある」という学習ができていないため、成犬になってからもモチベーションが上がりにくくなります。子犬期の習慣があいまいな成犬では、改めて子犬と同じステップでトイレ場所・タイミング・合図を一から教え直すことが成功の近道になります。
叱られた経験でトイレ自体を怖がっているケース
トイレで叱られた経験がある成犬は、「排泄そのもの=怒られること」と学習している場合があります。その結果、飼い主から見えない場所で排泄したり、人のいない時間帯にそっとしてしまったりと、余計に失敗が増える傾向があります。
特に、失敗した直後に大きな声で叱ったり、鼻先を排泄物に近づけるような叱り方を続けると、トイレの場所だけでなく、排泄行動そのものや飼い主の存在まで怖くなってしまうことがあります。こうしたケースでは、まず叱ることを完全にやめ、静かな環境で安心して排泄できるように整えたうえで、「成功したときだけを徹底的にほめる」ことからやり直す必要があります。
環境やルールが途中で変わって混乱しているケース
生活環境や飼い主のルールが途中で変わると、成犬は「どこで排泄していいのか」を判断できなくなり、失敗が増えやすくなります。引っ越しや模様替え、トイレの場所変更、フリーにする時間が増えた、家族構成が変わったなども、犬にとっては大きな変化です。
成犬のトイレの失敗が増えたタイミングと環境の変化を照らし合わせてみることが重要です。原因が環境の変化にあると分かれば、叱るのではなく、サークルの活用やトイレの位置を再固定するなど、ルールをシンプルに戻してやり直すことで改善しやすくなります。
成犬でもトイレは覚え直せる?基本ポイント

成犬になってからでも、トイレは十分に覚え直しできます。大切なのは犬の年齢よりも、飼い主がどれだけ一貫したルールで落ち着いて続けられるかです。子犬より学習スピードはゆっくりな場合がありますが、いったん身についた習慣は崩れにくいというメリットもあります。
成犬のトイレしつけで意識したい基本ポイントは次の3つです。
- 失敗を叱らず、成功だけを強くほめる
- トイレの場所・タイミング・合図をセットで教える
- 家庭内のルールと環境を固定して、ブレさせない
成犬のトイレしつけにかかる期間と考え方
成犬のトイレしつけにかかる期間は、目安として2〜4週間程度と考えると取り組みやすくなります。早い犬では数日でコツをつかむ一方、過去の失敗経験や環境の変化が多い犬は1〜2カ月かかる場合もあります。
トイレしつけは短期決戦ではなく、習慣づけのトレーニングという長期的な視点で進めると飼い主の負担も軽くなります。毎日同じ場所・同じ合図・同じタイミングで繰り返すことで、犬にとってトイレ行動がルールとして定着しやすくなります。
失敗しても叱らないほうがうまくいく理由
叱られる経験が続くと、犬は「トイレ=怖い場所」「排泄=怒られる行動」と学習してしまいます。すると排泄自体を人から隠そうとし、見ていない場所やタイミングでしてしまうため、かえって失敗が増えやすくなります。
トイレのしつけは「失敗を叱る」のではなく「成功を増やしてほめる」ほうが、学習スピードも早く、精神的な負担も少ない方法です。失敗は環境づくりや誘導のタイミングを見直すサインと考えると前向きに取り組めます。
「場所」「タイミング」「合図」をセットで教える
トイレトレーニングでは、「トイレの場所」「排泄のタイミング」「声かけなどの合図」を必ずセットで関連づけることが大切です。成犬は一度パターンとして覚えると習慣にしやすいため、毎回同じ流れで行うほど定着が早くなります。
「場所」を毎回同じに固定する
まずは排泄してほしい場所を一つに決め、トイレシートの位置を動かさないことが重要です。家の中であちこちにシートを広げると、犬は「どこでもしていい」と学習してしまうため、最初は1か所に絞るほうが成功しやすくなります。
「タイミング」をパターンとしてつかむ
成犬は起床直後・食後・遊びの後・興奮が落ち着いた直後などに排泄しやすくなります。これらのタイミングになったら、毎回すぐにトイレ場所へ連れて行くことを繰り返すことで、「このタイミングになったらトイレに行く」というセットの行動が身につきます。
「合図」を短い言葉で統一する
トイレの合図となる声かけは、「ワンツーワンツー」「トイレ」「シーシー」など短くて毎回同じ言葉を使います。トイレの場所に連れて行ってから排泄し始めるまで小さめの声で繰り返し合図を出し、排泄が始まったら声かけをやめて静かに見守ります。
「タイミングが来る → トイレの場所に連れて行く → 合図を出す → できたら褒める」という流れを、毎回同じ順番で行うことが成功への近道です。
トイレしつけ前に準備するものと環境づくり

成犬のトイレしつけを始める前に、道具と環境を整えることで、失敗の回数を大きく減らせます。「どこで排泄してほしいか」を明確に決め、その場所で安心して用を足せるように準備することが最初の一歩です。
適切なトイレシートとトイレトレーの選び方
トイレシートとトイレトレーは、成犬のトイレしつけの「的」をはっきりさせる重要な道具です。成犬には体格に合った大きめサイズと、滑りにくく安定感のあるトレーを選ぶことが失敗を減らすポイントです。
成犬用のトイレシートは、1回分の尿量が多いため、薄型よりも厚型やスーパーワイドなど吸収力の高いタイプが安心です。足ざわりが悪いとシートの上に乗りたがらない成犬もいるため、ザラつきが少ない柔らかめの表面のものを選びましょう。
トイレトレーは、「シートがズレないこと」と「段差が高すぎないこと」が大切です。シート固定用のフレームやクリップが付いたタイプなら、成犬が踏みつけても丸まったりしにくくなります。オス犬の場合は、壁付きやL字型トレーだと足を上げても飛び散りにくくなります。
サークルやケージのサイズと配置のコツ
サークルやケージは「広すぎても狭すぎても失敗しやすい」ため、成犬の体格に合わせたサイズ選びが重要です。目安としては、成犬がケージ内で「立つ・向きを変える・伏せる」が無理なくできる程度で、走り回れるほどの広さは避けます。
| チェックポイント | 目安 |
|---|---|
| 高さ | 前足をかけて立っても飛び越えない高さ |
| 奥行き・幅 | 体長の約2倍程度(寝るスペース+トイレトレーが入る広さ) |
| 入口の高さ | シニア犬でもまたぎやすい段差 |
部屋の中での配置は、家族の気配を感じられる場所に置きつつ、落ち着いて過ごせる位置を選びます。テレビの真横や人通りの多い動線上は避け、エアコンの風が直接当たらない壁際が向いています。
失敗しにくいトイレの置き場所の決め方
トイレの置き場所は、成犬のトイレしつけの成否を左右する重要なポイントです。「静かで落ち着ける・行きやすい・片付けやすい」場所を選ぶと失敗が減りやすくなります。
成犬が安心しやすいのは、人の出入りや物音が少ない落ち着いた場所です。玄関やドアの真正面、テレビの前、廊下の通り道などは落ち着けないため避けましょう。キッチンや食事スペースからは少し離し、サークルやベッドからは「すぐに行ける距離」にすると、もよおしたときに間に合いやすくなります。
多頭飼いの場合や、子どもがよく走り回る家庭では、トイレを壁際や部屋の角に設置し、サークルやパーテーションで半個室のように仕切ると安心しやすくなります。いつもと同じ環境・同じ導線で行ける位置に固定することが、トイレ場所の定着につながります。
成犬のトイレしつけ基本手順をステップごとに解説

成犬のトイレしつけは、いきなり完璧を目指すより、「小さな成功を積み重ねて範囲を広げていく」ことが重要です。以下の4つのステップを順番に実践することで、成犬でも無理なくトイレを覚え直すことができます。
ステップ1:トイレタイミングを正しくつかむ
排泄のタイミングをつかむことが、成犬のトイレしつけ成功の近道です。「いつ・どのくらいの頻度で・どんな前ぶれで」排泄するかを記録し、パターンを把握することが重要です。
成犬が排泄しやすい主なタイミングは以下の通りです。
- 朝起きた直後
- ごはんを食べた10〜30分後
- 水をたくさん飲んだ後
- 遊んだ後、興奮がおさまった頃
- 長時間の休憩や留守番の後
排泄前のサインとして、床やカーペットのニオイを嗅ぎ回る、同じ場所をぐるぐる回る、そわそわと落ち着きがなくなるなどの行動が見られます。このサインが出たら、すぐに静かにトイレへ誘導し、「トイレ」など決めた合図をかけることで、場所とタイミングの関連づけがしやすくなります。
数日〜1週間ほど、排泄の時間と場所、前ぶれとなる行動をメモして記録しておくと、愛犬の排泄リズムが見えてきます。パターンが分かれば、失敗しやすい時間帯の少し前に必ずトイレへ連れて行くことができ、成功率が一気に上がります。
ステップ2:サークル内でトイレ場所を覚えさせる
サークル内では、「寝る場所」と「トイレの場所」をはっきり分けることが大切です。トイレトレーでサークルの約3分の1〜半分を覆い、残りをベッドや水皿のスペースにします。
排泄タイミングになったらリードを付けたままサークルに入れ、トイレ側に誘導し、無言で見守ります。排泄ができたら、すぐにサークルから出し、外でたっぷりほめて遊ぶか、おやつを与えます。「トイレで排泄するとサークルから出られる」「良いことが起こる」という成功体験を積ませることで、サークル内のトイレ位置をスムーズに覚えさせることができます。
ステップ3:サークルの外でもトイレできるようにする
サークル内でトイレ場所がほぼ安定してきたら、少しずつサークルの外でもできるようにステップアップします。いきなり完全フリーにせず、リードや柵を使って行動範囲をコントロールしながら「トイレに戻る」流れを教えることが重要です。
まずはサークルの扉を開け、リードをつけたままサークル周辺を短時間だけ歩かせます。排泄サインが出たら、トイレに優しく誘導し「ワンツー」など決めた合図を出します。成功したらその場でしっかり褒め、おやつも使って印象づけます。
サークル近くで安定してできるようになったら、リードをつけたまま行動範囲を少しずつ広げます。基本は「広げる → 失敗なしで過ごせたら褒める → さらに広げる」という段階的な進め方です。 失敗が続く場合は、範囲を一段階狭く戻して、成功体験を積み直します。
ステップ4:部屋全体に範囲を広げていく方法
サークルの外で安定してトイレができるようになったら、少しずつ行動範囲を広げていきます。一気に部屋全体を自由にさせるのではなく、「成功できる範囲」を少しずつ広げることが失敗しないポイントです。
最初はサークル+その周り1〜2畳程度から始めます。サークルのまわりをフェンスやベビーゲートで囲い、トイレとくつろぎスペースだけを確保します。数日〜1週間、失敗がなければフェンスを動かして範囲を1段階広げる、という形で「ゾーン」を広げていきます。
行動範囲が広くなるほど、犬はトイレの位置を見失いやすくなります。トイレから離れた場所にいるときほど、排泄サインが出たら人がトイレまで連れて行くサポートが重要です。成功したら毎回しっかりほめて、「どこにいてもトイレはあそこ」と関連づけます。
部屋全体を使わせ始めてから失敗が目立つ場合は、「範囲を広げるスピードが速すぎる」ことがほとんどです。そのときは無理に続けず、1つ前のゾーン設定に戻して成功体験を積み直すと、トイレ習慣が安定しやすくなります。
失敗しない3つのコツをわかりやすく解説

成犬のトイレしつけをスムーズに進めるためには、細かなテクニックよりも「必ず守るコツ」を押さえることが重要です。特に効果が大きいのは「成功時の褒め方」「生活リズムづくり」「ニオイの使い方」の3つです。これらを意識するだけで、同じ手順でも成功率が大きく変わります。
コツ1:成功の瞬間を逃さず大げさにほめる
成功の瞬間にほめることは、成犬のトイレしつけで最も重要なポイントです。排泄中〜排泄直後の2〜3秒以内に、大げさなくらい明るい声でほめ、おやつやなでるごほうびをセットにすると、トイレ=良いことと強く結びつきます。
反対に、少し時間が経ってからほめても、犬は何に対して褒められているのか理解できません。成功のタイミングを逃さないために、排泄しそうな時間帯にはあらかじめおやつをポケットに入れておく、トイレの近くで見守るなど、飼い主側の準備をしておくと、しつけがスムーズに進みやすくなります。
コツ2:生活リズムを整えて排泄パターンを固定する
生活リズムがバラバラだと、排泄のタイミングも毎回変わり、トイレの成功率はなかなか安定しません。毎日のごはん・散歩・遊び・就寝の時間をできるだけ固定することで、排泄の時間帯もパターン化され、トイレに連れて行うタイミングを予測しやすくなります。
理想は「朝起きる→排泄→ごはん」「夕方の散歩のあとに排泄」など、1日の流れをいくつかのパターンに決めることです。休日だけ極端にスケジュールを変えると、成犬は混乱しやすいため、平日と休日で大きく崩さないことがポイントです。
コツ3:ニオイをうまく使ってトイレ場所を印象づける
ニオイは犬にとって一番わかりやすい「目印」です。トイレ成功時のシートを少し残しておき、次の排泄まで同じ場所・同じシートでさせることで、「ここが排泄してよい場所」と強く印象づけられます。頻繁に場所を変えたり、ニオイを完全に消しすぎると、トイレだと認識しにくくなるため注意が必要です。
成功したときのシートをうまく活用する
うんちやおしっこで汚れたトイレシートは、ニオイが強い部分だけを小さく切り取り、新しいシートの中央に貼るか、下に重ねます。こうすることで清潔さを保ちながらも、犬が安心して排泄しやすい目印を残せます。数日~1週間ほど繰り返し、トイレ場所に迷いがなくなってきたら、徐々にニオイ付きシートの割合を減らしていきます。
誤った場所のニオイは徹底的に消す
本来のトイレから離れた場所でしてしまったおしっこやうんちのニオイは、その場所を「トイレ」と誤学習させる原因になります。誤った場所はペット用消臭・洗浄スプレーなどを使い、ニオイの元をしっかり分解・除去することが重要です。水拭きやアルコールだけではニオイ成分が残りやすいため、専用の消臭剤を活用しましょう。
香り付きグッズの使い方に注意する
人にとって心地よい芳香剤や柔軟剤の香りは、犬にとって強すぎる場合があります。トイレ周りに強い香りがあると、本来の排泄臭がわかりにくくなり、トイレを避けてしまう原因になることもあります。トイレ周辺では無香料タイプの洗剤や消臭剤を選び、香り付きグッズは離れた場所で使うようにすると、トイレ場所をニオイで覚えやすくなります。
うっかり失敗したときの対応と掃除のしかた

トイレの失敗は、しつけの途中で必ずと言ってよいほど起こります。大切なのは「叱ること」ではなく「静かに片づけて、次の成功につなげること」です。感情的に反応せず、淡々と対応することで、成犬も安心してトイレを覚えやすくなります。
失敗を見つけたときにやってはいけない対応
トイレの失敗を見つけたときに、感情的に叱ったり、大きな声を出す対応は逆効果になります。「現行犬でない叱責」「粗相した場所に鼻をこすりつける」「無理やりトイレに連れて行って怒る」などは、すべてNG行動です。
怖い経験と排泄が結びつくと、愛犬は「人の見ていないところで排泄しよう」「トイレ自体が怖い」と学習してしまいます。失敗を見つけたときは、静かに片づけるだけにとどめ、反応を大きくしないことが、成犬のトイレしつけ成功の近道です。
ニオイを残さないための正しい掃除方法
トイレを失敗した場所にニオイが残ると、犬は「ここがトイレ」と覚えてしまいます。排泄物はすぐに片づけ、ニオイを完全に断つことが、成犬のトイレしつけ成功の近道です。
まずペットシーツやティッシュで、できるだけ尿や便を吸い取ります。ゴシゴシこすると周囲に広がるため、押さえながら吸い取るイメージで行います。その後、ペット用の消臭・除菌スプレー、またはアルコール成分を含まない中性洗剤を薄めたものを使い、ニオイの元を分解します。
家庭用の塩素系・酸性洗剤や強い香りの芳香剤は、犬の鼻には刺激が強く逆効果になる場合があります。床材ごとの使用可能な洗剤を確認しながら、人の鼻でほぼ分からないレベルまでニオイを消すことを目標に掃除すると失敗の繰り返しを防ぎやすくなります。
間違えて覚えたトイレ場所をリセットするコツ
トイレの場所を勘違いして覚えている場合は、「間違えた場所を使わせない」ことと「正しい場所で成功させる回数を増やすこと」の両方が重要になります。誤った場所での排泄が続くほど習慣として定着するため、できるだけ早く環境を整えてリセットを始めることがポイントです。
間違えた場所には、ペットフェンスや家具の配置で物理的に通れないようにする、ラグやマットなど布製品は撤去するなど、「そこでは排泄できない」環境に変えることが第一歩です。どうしてもふさげない場所の場合は、そこで遊ばせたり、フードボウルを置いて「生活スペース」の印象に切り替える方法も有効です。
状況別のトイレしつけアレンジ方法

成犬のトイレしつけは、生活スタイルや住環境によって「正解」が変わります。犬と家族の暮らし方に合わせてルールを少しアレンジすると、無理なく失敗を減らせます。ここでは代表的な状況ごとの工夫を紹介していきます。
お留守番が多い家庭でのトイレ管理の工夫
お留守番が多い家庭では、「失敗しても掃除がしやすく、成功しやすい環境」をつくることが最優先です。留守中は見てあげられないため、失敗を叱って教える方法は一切使えません。トイレの数や配置、使うスペースの広さを工夫して、物理的に成功しやすい状況を作ることがポイントです。
留守中のトイレスペースの作り方
基本は「サークル内完結型」にすると管理しやすくなります。サークルの中に、トイレトレーを2枚並べるなどしてトイレ面積を広めに確保し、残りを寝床と水飲み場にします。長時間留守番の場合は、ペットシーツを一面に敷くなど、はじめはかなり広めにして、失敗が減ってきたら徐々にトイレ部分を狭くしていくとスムーズです。
トイレの数・場所の工夫
留守番時間が長い場合は、トイレを1か所だけに限定しない方が成功率が上がることがあります。サークル内にメインのトイレを置き、部屋の一角に予備のトイレコーナーを設ける方法も有効です。ただし、あまりに多く置きすぎると「どこでもしてよい」と覚えやすいため、2〜3か所を目安にし、場所は固定して動かさないようにします。
ごはん・水・お散歩時間をできるだけ固定する
お留守番が多いほど、生活リズムを一定にして排泄タイミングを予測しやすくすることが大切です。出勤前・帰宅後の時間帯をできるだけ毎日同じにし、ごはん→少し休憩→トイレ→お散歩という流れをパターン化します。排泄のリズムが整うと、留守中にトイレに行く回数も安定し、失敗が減っていきます。
賃貸やマンションでのニオイ・音対策
賃貸やマンションでは、トイレのニオイや排泄音が近隣トラブルにつながる不安が大きくなりやすいです。「ニオイを素早く消す」「音を目立たせない」「トイレ場所を固定して失敗を減らす」ことが重要なポイントになります。
ニオイ対策:発生源を減らし、すぐに封じ込める
ニオイは「つけない・ためない・残さない」の3つを意識すると軽減しやすくなります。
- 吸収力と消臭力が高い厚型シートを選ぶ
- 排泄後は可能であれば毎回、少なくとも1日1〜2回はシートを交換する
- フタ付きのゴミ箱や防臭袋を使い、使用済みシートはすぐ密閉する
- トイレ周りや床は、ペット用消臭スプレーや拭き取りシートでこまめに掃除する
窓を少し開けて換気扇を回すなど、日常的な換気習慣もあわせて行うと、ニオイがこもりにくくなります。
音対策:足音・シートのガサガサ音を減らす工夫
足音やシートを踏む音も、夜間などは意外と響きます。壁や床を伝って音が届くため、トイレの下や周辺に防音を意識した工夫を加えると安心です。
- トイレトレーの下に防音マット、ジョイントマット、厚手ラグを敷く
- 壁際に設置する場合は、壁との間に少し距離をあけるか、クッション材を挟む
- 深夜や早朝に排泄しやすい愛犬の場合、寝室から離れた部屋側にトイレを置く
床に直置きしないだけでも、階下への「コツコツ音」やシートの擦れる音がかなり軽減されます。
近隣への配慮とトラブル予防のポイント
賃貸・マンションでは、事前の配慮がトラブル防止につながります。
- ベランダでの排泄は、ニオイや水洗い時の水が下の階に落ちるため避ける
- 共有廊下・エレベーターで粗相した場合はすぐに水拭きし、消臭剤も使用する
- 日頃からあいさつを心がけ、ペット飼育のルールを守ることで、万が一の際にも相談しやすくなる
屋内トイレをしっかり教え、ニオイと音の対策を行うことで、賃貸やマンションでも周囲に配慮しながら安心して一緒に暮らせる環境を整えやすくなります。
多頭飼いでトイレ場所を共有させるときの注意点
多頭飼いでトイレを共有する場合は、頭数に対して十分なトイレ数を用意することが最重要です。基本は「頭数+1か所」を目安にし、同じ部屋の中でも少し距離を空けて設置すると、落ち着いて排泄しやすくなります。また、トイレを独占しがちな犬や、他犬の排泄を極端に気にする犬がいないか、普段から様子を観察することも大切です。
先住犬と新入りのトイレルールをそろえる
先住犬と新入り犬でトイレの場所やルールが違うと、どちらも混乱しやすくなります。基本的には「トイレの場所・形・合図」はできるだけ共通にすると覚えやすくなります。先住犬がしっかりできている場合は、先住犬の成功を新入り犬に見せながら、一緒にほめることで真似を促す方法も効果的です。
それぞれのペースを尊重して使わせる工夫
性格によっては、ほかの犬が近くにいると排泄できない犬もいます。排泄のタイミングが重なる場合は、順番を決めて1頭ずつトイレエリアに入れる、サークルで区切るなどの工夫をすると安心して排泄しやすくなります。特に新入り犬やビビりな犬には、静かな時間帯や単独でのトイレタイムを意識的に作ることがポイントです。
トイレしつけがうまく進まないときのチェック項目

トイレのしつけが思うように進まない場合は、まず「やり方が間違っている」のか「条件が合っていない」のかを切り分けることが大切です。やみくもに続けるのではなく、原因を一つずつチェックして修正することで、成犬でもトイレ習慣は立て直せます。
健康状態や年齢による排泄トラブルの可能性
トイレの失敗が続く場合、しつけの問題だけでなく健康状態や年齢による排泄トラブルが隠れている可能性があります。特に、急に失敗が増えた・回数が極端に多い/少ない・尿や便の色やにおいがいつもと違う場合は要注意です。
成犬で疑われやすい主な排泄トラブルを表にまとめました。
| 症状の例 | 考えられるトラブル例 |
|---|---|
| トイレに間に合わず漏らす、少量ずつ何度も尿をする | 膀胱炎、尿路結石など |
| 水をがぶ飲みして大量に排尿する | ホルモン異常、腎臓病、糖尿病など |
| 急にトイレ以外で粗相が増えた | 認知機能の低下、ストレス、環境変化 |
| 便がゆるい・血が混じる | 腸炎、寄生虫、食事の問題など |
「今までできていたのに急にできなくなった」「様子もどこかおかしい」と感じたら、しつけを続けるだけでなく、早めに動物病院で相談することが重要です。年齢が上がるほど病気や老化が原因となることも増えるため、高齢犬では特に注意深く観察しましょう。
数週間続けても改善しないときに見直すポイント
トイレトレーニングを同じ方法で数週間続けても改善が見られない場合は、やり方そのものよりも「前提条件」が合っているかを見直すことが重要です。「環境」「タイミング・観察」「ごほうびの与え方」「失敗への対応」が今の犬に合っているかを一つずつチェックすると原因が見つかりやすくなります。
見直しポイント1:環境とトイレの配置
トイレの場所が落ち着かない・通り道になっている・ケージから遠すぎるなど、環境が原因で失敗しやすくなる場合があります。うまくいかない場合は、最初のステップに戻り、ケージやサークル内にトイレを設置し直して「寝床とトイレの距離」「人の動線」「音や物音」を改めて確認しましょう。
見直しポイント2:タイミングの読み取り
排泄のサインを見逃していると、どれだけ教えても成功率が上がりません。食後・睡眠後・遊んだ後などに、本当に毎回サークルやトイレに誘導できているかを振り返ります。排泄前のそわそわ・クンクンと床を嗅ぐ様子が見られた瞬間に誘導できるよう、数日間は特に意識して観察時間を増やすことも効果的です。
見直しポイント3:ほめ方・ごほうびのタイミング
成功したときに十分にほめられていない、あるいはタイミングが遅いと、犬がトイレとごほうびを結びつけられません。排泄が終わった直後ではなく、最後の一滴が出終わる「ほぼ同時」くらいのタイミングで、ごほうびと声かけをセットで与えられているかを確認しましょう。
見直しポイント4:失敗時の反応の見直し
失敗したときの人の反応がプレッシャーになり、かえってトイレを我慢したり、人の見ていない場所で排泄するようになることがあります。数週間経っても改善がない場合は、失敗時に声を荒げていないか、強い口調で注意していないかを振り返りましょう。見つけたときは静かに片づけるだけにし、成功時とのメリハリだけをはっきりさせることが大切です。
専門家や動物病院に相談すべきサイン
症状や失敗の頻度によっては、しつけだけで解決しようとせず、早めに専門家に相談することが重要です。トイレの失敗が「行動の問題」ではなく「体の不調」や「強いストレス」のサインになっている場合があるためです。
動物病院を受診したほうがよいサイン
以下のような様子があれば、まず動物病院での受診を優先します。
- 急にトイレの失敗が増えた、突然できなくなった
- オシッコ・うんちの回数が極端に多い/少ない
- 血尿・血便、濁りや強いニオイ、下痢・便秘が続く
- 排泄のときに鳴く、震える、力んでも出にくそう
- 高齢犬で、寝たまま漏らしてしまうことが増えた
「歳のせい」「性格のせい」と決めつけず、体調の変化がないかを獣医師に確認することが、安全で確実なトイレ改善の近道です。
トレーナー・しつけの専門家に相談したほうがよいサイン
健康面に問題がなさそうでも、行動面で次のような様子があれば、プロのトレーナーへの相談が有効です。
- トイレに連れて行くと逃げる、固まる、震える
- トイレの失敗で叱られてから、飼い主の前で排泄しなくなった
- 気づかれない場所(家具の陰、別室など)で排泄する
- 粘り強く続けているのに、数か月単位でほとんど改善しない
専門家であれば、家庭環境や犬の性格を見たうえで、叱らないしつけ方法や環境調整の具体的なアドバイスを受けられます。
成犬のトイレしつけは、原因を正しく見極めて環境づくりと手順を整理すればやり直しが可能です。本記事で紹介した「成功を逃さずほめる」「生活リズムを整える」「ニオイを活用する」の3つのコツを意識し、失敗時の対処や健康チェックもあわせて行うことで、飼い主にも犬にも負担の少ないトイレ習慣づくりにつながります。
